ファッションウィークのキャットウォークからSW9(ロンドンの新興ファッションエリア)で見かけるスタイルまで、テニスファッションの魅力は至るところで取り入れられています。それはなぜかと言えば、そこには「親しみやすい優雅さ」があるからでしょう。きちんと洗濯され、清潔でぱりっとした白いテニスウェアほど、「着るものの手入れも行き届き、趣味のスポーツをする余裕」をアピールするものはないように思えます。
ウィンブルドンなどの大会に臨むためのウェアというわけではなくても、テニスカルチャーをルーツに持つメンズウェアブランド「パルム(Palmes)」のポロシャツと、テニスウェアにインスパイアされたアイテムを展開するカサブランカ(Casablanca)のショートパンツという組み合わせは休日のアスリート風スタイルでありながら、パブにちょっと立ち寄るのにも十分な装いになるでしょう。全般的に、テニスというスポーツ自体とテニスウェアには、上品でプレッピーな雰囲気があり、「サッカーウェアでは大胆過ぎるし、ラガーシャツでは無骨過ぎてちょっと…」と心配する人にもかなり親しみやすいもののはずです。
ですが、2023年1月にNetflixで公開されたドキュメンタリー『ブレイクポイント: ラケットの向こうに』 を観ると、テニス界のことをあまり知らなかった人は、「ちょっと気取った正統派」というような見方に、ちょっと揺らぐかもしれません。
このドキュメンタリーはテニス界の新星が、往年のレジェンドたちのような有名選手になるべく必死で努力する姿を追ったものです。選手たちの舞台裏の姿を描いたこの番組では、メンタル面の苦悩やテニスが個人的な人間関係に与える影響にも焦点を当てており、アディダスのスニーカー「スタンスミス」のタンに描かれている人物が誰かがわからない程度に、テニスを知らない人にとっても入りやすい内容になっています。
この番組は、ファッション志向の人々にもグランドスラムを中心としたテニスの話題に対応できる知識を与えてくれるもの。ということで、今回この記事でも、テニス史に残るベストドレッサー選手の一部を取り上げます。2023年5月28日(土)から開催されるグランドスラム(テニス四大大会)の一つ、「全仏オープン」が始まる前にぜひご覧ください。