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Kenichiro Higa
ロロ・ピアーナ社製の生地を用いたダブルブレストのブレザーは、着丈を少し詰めて長年着つづけているもの。多少カスタムしてもバランスがくずれず、本質的に優れている一着だと実感したとか。

長年着続けることで、本当の魅力に気づくこともある

「ボタンダウンシャツのタグに『大』って書いてあるのですが、これは大平の『大』。母がクリーニング店に出したときに目印として書かれちゃったんです(笑)。それ以来、自分で出すようになりましたが、店側には面倒くさいと思われていたと思いますね。のりをつけずに手アイロンで、しかもつるしでやってくれなんて、10代の若造が注文をつけてくるんですから(笑)」と話すのは、「ブルックス ブラザーズ」でブランドアンバサダーを務める大平洋一さん。

高校生のときに「ブルックス ブラザーズ」と出合った大平さん。ニューヨークの店舗そのままのような、当時の青山本店に衝撃を受けたとのこと。

「初の海外進出店舗だったこともあり、かなり力を入れていましたからね。当時は『J.プレス』『ポール・スチュアート』という、いわゆるニューヨーク御三家のうちのふたつがすでに上陸していましたが、『ついに本丸の登場』』という触れ込みでしたし…」と大平さんは語ります。

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その後、東海岸から西海岸へ興味を移しつつも、「ブルックス ブラザーズ」のボタンダウンシャツは常にクローゼットに残されていたそうです。

「ボタンダウンシャツに関しては、これぞベーシックのお手本的アイテムだと思っています。いわば時代に左右されない存在…。気づけば、原点回帰(げんてんかいき)とばかりにここに戻ってきます。ただし、決して『昔のほうがよかった』なんて懐古趣味的な話をしたいわけじゃないんです。タイドアップしても、(タイなしで第1~2ボタンを)開けてもきれいな襟のカタチなど、合理的に見ても完成された美しさがあります。『ブルックス ブラザーズ』は過去にドラスティックな変化を求めた時代もありましたが、結局ここに戻ってきているのは、そうした確固たる理由があるからなんですよ」と、ボタンダウンシャツについてコメントしてくれました。

事実、撮影時に持参してもらったシャツたちは、今も現役です。

「着れば着るほど、その魅力に改めて気づかされます。むしろ、長年着続けてきた今だからこそ、本当の魅力がわかってきたと言いますか。そうしたベースがあるからこそ、時代に沿ったコーディネートにも違和感なくなじむ…。現在のマイケル・バスティアン(『ブルックス ブラザーズ』のクリエイティブ ディレクター)による提案は、まさしく僕が体現したかったことなんです」と、大平さんは微笑みます。

「これだけ長い間好きでい続けられるモノがあるって、幸せですよね」と、インタビューの最後に締めくくってくれました。

【PROFILE】
大平洋一さん
ブルックス ブラザーズ
ブランドアンバサダー

1963年生まれ、東京都出身。1979年に日本初上陸した「ブルックス ブラザーズ」にほれ込み、当時の青山本店でアルバイトを経験。その後、正式に入社し、今や勤続30年以上。現在はブランドアンバサダーを担う。

Edit / Satoru Yanagisawa