毎年コスチューム・インスティチュート（NYメトロポリタン美術館の衣装部門）と『VOGUE』が実質的に共催するファッションイベント、MET Gala（メットガラ）。毎年同美術館がキュレーションする服飾展のオープニングを飾るのが寄付集めも兼ねたこのガラパーティ。意味深なテーマから、如何にその「文脈」を理解したファッションで来場できるのか…招待客であるセレブリティとデザイナーとエージェント、そしてそれを伝えるメディアすらも「ファッション偏差値」をジャッジされてしまう恐ろしい場でもあります。
「それはブルーじゃなくてセルリアンよ」と、ミランダ・プリーストリーに全員が指摘される可能性がある場所で、歴代男性ゲストが見せた各方面から「及第点」を付けられたドレスアップ姿をピックアップしてみました。
ジャレッド・レト 2023年
テーマ：Karl Lagerfeld: A Line Of Beauty
カール・ラガーフェルドの遺産を受け継いだ愛猫シュペットの姿で登場した「中の人」、それはジャレッド・レトです。
見事なヴェルサーチェのドレスで現れたアン・ハサウェイの目の前でネタバラシ。
毎年、METガラ的「大賞」を狙うのを避け、「敢闘賞」あたりを狙ってくるゲストも一定数いるため、その類かと一瞬思わせたジャレッド・レト。
ところが、猫の中身はこの見事なケープジャンプスーツ。ラガーフェルドが多用したデザインを彷彿とさせるものでした。
バッド・バニー 2023年
テーマ：Karl Lagerfeld: A Line Of Beauty
ラガーフェルドと言えば…のツイードのスーツ。「ジャックムス」がアレンジしたスタイリングは、ラッパーのバッド・バニー。
バックサイドにはこんな遊び心が。
キー・ホイ・クァン 2023年
テーマ：Karl Lagerfeld: A Line Of Beauty
キー・ホイ・クァンはディオールで登場。ラガーフェルドがエディ・スリマンがデザインするディオールを着るためにダイエットしたという逸話を知っていれば、興奮してしまう”コスチュームプレイ”。
ペドロ・パスカル 2023年
テーマ：Karl Lagerfeld: A Line Of Beauty
ココ・シャネル1938年のレッドベルベットスーツや、ラガーフェルドがシャネル1994-95秋冬コレクションで発表した一連の赤のシリーズを思い出させたのは、ペドロ・パスカルが着たヴァレンティノのこのルック。もしかして今年は「アンジーの右脚（#AngiesRightLeg）」ならぬ「ペドロの右脚」がトレンド入り？
エイサップ・ロッキー 2021年
テーマ：In America: A Lexicon of Fashion
こちらもヨーロッパのファッション文脈から距離をある程度置いたからこそ生まれた、アメリカ的服飾文化を想起させるもの。
ティモシー・シャラメ 2021年
テーマ：In America: A Lexicon Of Fashion
ハイダー・アッカーマンの“スエット”スーツにコンバースを合わせ、アメリカ的折衷を見事にまとめたドレスアップは圧巻の出来。
ハリー・スタイルズ 2019年
テーマ：Camp: Notes On Fashion
この年のテーマ「キャンプ」を、クィア的文脈で見事に表現したスタイルズのグッチ。
ファレル・ウィリアムズ 2018年
テーマ：Heavenly Bodies: Fashion and the Catholic Imagination
カトリックと宗教的美意識を湛えたファレル2018年の衣装は、ヘレン・ラシチャンとの組み合わせである種のアイロニーを感じさせます。
ゼイン・マリク 2016年
テーマ：Manus x Machina: Fashion in an Age of Technology
「テクノロジー」をどの切り口で落とし込むかで、表現の幅が広がったこの年。身体の一部が機械化されたようなヴェルサーチェのスーツ姿で現れたゼイン・マリクは、当時のパートナー、ジジ・ハディッドと。
アレキサンダー・マックイーン 2006
テーマ：AngloMania: Tradition and Transgression in British Fashion
英国が生んだ天才デザイナーが「英国趣味」をテーマにスタイリングすれば、当然ながら誰も文句の言えない完成度。
