「ジョージ・クルーニー」という名前は、どこか親近感の持てる全人類の人気者と言える響きを持っています。そんなクルーニーは、よくスーツを着用しています。そしてまた、短く刈り込んだヒゲを生やしていることもたまにあるでしょう。でも、ひとつだけいつも同様の印象で貫いているところもあります。それが、常にさっぱりした印象を醸すヘアスタイルです。
世間一般からこれだけ同じように解釈されるには、それなりに長い時間がかかるものです。現在はクラシックなワードローブでいつもキメ、クールでインテリジェンスあふれる表情を浮かべる男として世界が認識するクルーニーですが、実は現在の状態に辿り着くまでには長い時間がかかったのです。このことを最近我々は忘れていました。
現在58歳であるクルーニーが若かりしころ、バットマン役で大ブレイクする以前は、(ラジオ番組で一緒に司会をしていたモデルたちとよくデートをしていたことも知られていますが…)そのころの彼は、いろいろな流行のヘアスタイルをしていたものでした。
まず1985年ごろ(当時24歳)の彼に触れましょう。このころの彼は、フサフサした鬣(たてがみ)のようなヘアスタイルでした。が、これは彼が非常に強力な遺伝子の持ち主であることを強く示す証拠でもあり、同時に彼があまり知られていない『トゥルー・ブルー』というアクション映画の主役の座を射止めたことを示すものでもありました(ちなみに『トゥルー・ブルー』は、米国の映画批評サイト「ロッテン・トマト」で23%しか前向きな評価を得られていませんが、それでも作品中に登場するクルーニーの力強いもみあげのおかげで、インパクトある作品と言えるのです)。
次に1992年ごろ(当時31歳)のクルーニーは、オールバックのヘアスタイルをしており、どこか違和感のあるものでした。次に、ブロンドの髪をしていた1998年ごろ(当時37歳)のクルーニーです…この時代の彼は、忘れたほうがいいかもしれません。さらに、実際にはあらゆる流行のヘアスタイルを試していた2000年前後のクルーニーのことも、目をつぶっておいたほうがいいかもしれませんね…。
人の過去の粗探しをすることは簡単なことです。しかしながら、映画『アウト・オブ・サイト』で主役を演じていたころのクルーニーは、1990年代に大流行した脱色を最初に試した俳優のひとりです。そんな彼の冒険によって、現在活躍するゼイン・マリクやザック・エフロンなど多くのセレブたちのヘアスタイルは誕生しなかったことでしょう…。
人というものは若いころには流行を積極的に取り入れ、色々と新しいものを試した後にようやく、いつまでも自身に似合うヘアスタイルを見つけ出していうものなのです。世間ではよく、「あなたももういい年齢なのだから、自分自身を見つけていてしかるべきだ」というセリフはよく聞くはずです。
こうしてクルーニーはじっくり時間をかけ、ディズニー映画の王子さまのようなカールした髪やフレンチクロップなど、ある程度リスク覚悟で試しながら、現在のヘアスタイルへと落ち着いたのでした…。
クルーニーがヘアスタイルにまつわる、あらゆる冒険をしたうえで成功者への道を切り拓いたのですから、そんな彼のやり方こそ、皆さんが見習うべきかもしれません。
しかしながら、もうすでにお気に入りのヘアスタイルを見つけているのであれば、そのヘアスタイルをぜひともキープしてください。
From Esquire UK
Translation / Hayashi Sakawa
※この翻訳は抄訳です。