出来も状態も良いこの特注車、ぜひ手に入れたいものです。
Courtesy of Hyman Ltd
1960年代の自動車は、クラシックカーのコンクールイベントでは珍しいものではありません。そのため、このようなイベントで、「60年代の自動車で目立ちたい」という人は本当にユニークな1台をもち込む必要があります。
今回ご紹介するのは、特注仕様のベントレー「S2」ワゴンのシャーシにメルセデス「W112」のボディを組み合わせた、世界に1台だけのカスタム車です。最近売りに出されたこのクルマなら、そんな条件にぴったり当てはまるのではないでしょうか。
ミズーリ州セントルイスの中古車ディーラーであるハイマン社の販売担当者によれば、「ウェンドラー」と名付けられたこの1960年製のベントレー「S2」は、ニューヨークのあるクライアントの依頼で作られたものだといいます。このクライアントは当初、W112型のステーションワゴンの生産をメルセデスに依頼。しかし、これを断られたために同様の車を自分たちの手でつくることを決め、このワゴンのカスタムをドイツの車体製造者であるウェンドラー・カロセリーバウ社に注文したといいます。
ちなみにカロセリーバウ社は、ポルシェ「550スパイダー」やポルシェ「718RSK」の車体製造に関わっていたことでも知られています。こうしてできたのが、ベントレーとメルセデスのハイブリッドとも言える今回のクルマなのです。
このクルマは、ベントレーのシャーシやドライブトレーンをベースにメルセデス製のパネルやトリム部品(ヘッドライトなど)などを組み合わせています。また、美しいレッドレザー、ウッドパネルが並ぶリアハッチ内部などの内装も魅力的です。後部座席は折り畳んでフルフラットにすることができ、かなり広々とした荷物スペースを確保することもできるでしょう。
このクルマは1台のみの特注車ですが、2012〜2013年にコネティカット州ストラトフォードのオートモーティブ・レストレーションズ社が行ったフルレストアのおかげで、現在の状態は最高となっています。レストアの後、このクルマはアメリア・コンクール・デレガンスなど、いくつかのクラシックカーイベントに展示されたそう。それが今、ハイマン社で売りに出されており、価格は57万5000ドル(約6400万円)になっています。
現実的に、いま、このようなユニークなクルマに値をつけることはそう簡単にはいきません。ですが、このクルマの出来と状態を鑑みれば…適正な価格であることは間違いないでしょう…。
ベントレー「S2」“ウェンドラー” #1
Courtesy of Hyman Ltd
ベントレー「S2」“ウェンドラー”のリアデザイン。「007」に出てきても違和感のない、クラシカルなデザインです。
ベントレー「S2」“ウェンドラー” #2
Courtesy of Hyman Ltd
ベントレー「S2」“ウェンドラー”の内観。シンプルながらも、男のロマンを感じさせてくれる設(しつら)えとなっています。
ベントレー「S2」“ウェンドラー” #3
Courtesy of Hyman Ltd
ベントレー「S2」“ウェンドラー”のインストルメントパネル、いわゆる「インパネ」をご覧ください。レトロながらも、上質な印象をもたらしています。
ベントレー「S2」“ウェンドラー” #4
Courtesy of Hyman Ltd
ベントレー「S2」“ウェンドラー”の後部座席はベンチシート。さらに、上質なレッドブラウンのレザーが、高級感を漂わせてくれます。
ベントレー「S2」“ウェンドラー” #5
Courtesy of Hyman Ltd
ベントレー「S2」“ウェンドラー”のフロントデザインは、いわなれば大学でいつも教室をいっぱいにしている人気教授のよう。気品をもちながら、適度な愛嬌と抜群のIQでわれわれに心地いい空間を提供してくれます。やはり、ベントレーのデザインは秀逸です。
ベントレー「S2」“ウェンドラー” #6
Courtesy of Hyman Ltd
ラゲッジスペースは通常時でも十分に広いのですが、さらにスペースを広げたい方は後部座席も倒してみてください。こんな風になります…。
ベントレー「S2」“ウェンドラー” #7
Courtesy of Hyman Ltd
ベントレー「S2」“ウェンドラー”のフロントデザイン。英国貴族に似合うノーブルを極めたハンサムさを有しています。
ベントレー「S2」“ウェンドラー” #8
Courtesy of Hyman Ltd
シンプルでクラシカルなデザインに、二度見確実の面構え…。そして、三度目に凝視した際には、惚れ惚れしてしまうこと間違いなしです。
From Road & Track
By Brian Silvestro
Translation / Wataru Nakamura
※この翻訳は抄訳です。
Edit / Shun Yamanoi