チーズやヨーグルトなどの乳製品が好きな、イギリス在住の方や英国人には、とってもショックなニュースでしょう。イギリスのEU離脱後、それらの製品が贅沢品になってしまう恐れがあるというのです。

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Cheese could become a luxury in the UK, thanks to Brexit

 ヨーロッパ最大規模の乳製品メーカーである「アーラ・フーズ」の依頼を受け、「ロンドン・スクール・オブ・エコノミクス(LSE)」が行った調査によると、輸入の際に上乗せされる関税や海外労働者の受け入れ制限の影響により、イギリスで一部乳製品が値上げもしくは輸入制限の対象になってしまう可能性があると英紙「ガーディアン」は報じています。

 アーラ・フーズもEU離脱の影響でイギリスは「乳製品ジレンマ」に陥り、ヨーロッパから乳製品を輸入することが困難になってしまうと懸念。また国内の生産量が限られているため、深刻な乳製品不足になってしまう恐れもあると心配されています。

 自由貿易協定が締結されたとしても、通関手続きが長引けば各コンテナに追加料金(7分ごとに約16,200円)がかかってしまうといわれています。それに年間1億5000万の申告を処理しているイギリスの税関申告システム(Customs Declaration System)は、EU離脱後には2億5000万の申告を処理しなければならなくなるうえに、乳製品は国境措置が必要であるため、さらなる費用がかかる見込みだと伝えられています。

 この問題に関して、アーラ・フーズイギリス支社のアッシュ・アミラマディ代表取締役は、「イギリスは乳製品の輸入に依存しています。EUを離脱すれば、我々のサプライチェーンに大きな混乱が生じるでしょう。乳製品不足、価格の高騰、そしてバター、ヨーグルト、チーズ、赤ちゃんの粉ミルクなど、毎日の食生活に欠かせない乳製品が贅沢品になってしまいます。国内生産が難しいとされている珍しいチーズも手に入らなくなるかもしれません」と警告しています。

 EU離脱はイギリスに「新たな可能性をもたらすかもしれない」と語るアミラマディ氏ですが、「乳製品自給率をアップさせるには何十年もかかる」ため、今後のためにも「スムーズな通関やEU圏内出身の熟練スタッフの確保」を呼びかけているのです。

 他にはどんなものが値上がりするのか、日本への影響はなど、他人事ではないイギリスのEU離脱をめぐる問題は、まだまださまざまな課題が山積みのようです。

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Translation / Reiko Kuwabara