知人や友人に自分の魅力を見せたいと思っている人は、そう少なくないはず。清潔感のあるオープンキッチンで自分の手料理を振る舞うとき…、ちょっと色々ワクワクしちゃいますよね。

 でも、もしあなたに料理のテクニックがなければ、マイナス効果になりかねないでしょう。で、そんなあなたのために、とっておきのオシャレなレシピを伝授します。

◇ビーゴリ・イン・サルサ(Bigoli in Salsa)を作り方

■材料(4人前):

  • オリーブオイル漬けアンチョビ缶(50グラム) 3~4缶
  • 玉ねぎ(大)2個
  • エクストラヴァージンオリーブオイル
  • 白ワイン グラス1杯分
  • 乾燥スパゲッティ 400グラム
  • バター 大き目の一欠分
  • 刻み生パセリ 手づかみ一杯
  • 粗挽き黒胡椒
  • 皮がパリパリとしたパン(パスタに添えるため)

■作り方

  1. アンチョビの缶を開けてアンチョビを取り出す。塊のようにお互いくっついていることが多いので、慎重に一匹ずつ剥がして、小皿に並べて置いておく。缶に残った汁は後で使うので取っておく。
     
  2. 玉ねぎをみじん切りにする。底が重い大きめのフライパンに、オリーブオイルを適当に回しかけて熱し、温まったら弱火に切り替える。玉ねぎを投入し、約10分炒めて甘みを引き出す。鍋底にくっつかないように気を付けながら、柔らかくなるまで炒める。
     
  3. フライパンの火を少し強め、アンチョビを加える(この時、スパゲッティを茹でるためのお湯を強火で沸かし始めるといい)。アンチョビを炒めながら、とろけた玉ねぎとアンチョビを木べらの裏でつぶしながら混ぜ、ややペースト状にしていく。水分が少な過ぎるようなら、とっておいたアンチョビ缶の汁を適量プラス、 そのまま混ぜ続ける。白ワインを加え、ときどきかき混ぜドキドキ飲みながら(笑)、弱火で10分間煮詰める。
     
  4. 沸騰したお湯にスパゲッティを入れて、表示時間通りにアルデンテに茹でる。時間が経ったら、即座にお湯を切る。フライパンにバターを投入し、火を止め、パセリを加えて混ぜる。お湯を切ったスパゲッティとアンチョビソースをかな り大きめのミキシングボウルに入れ、ソースを絡めて、温めた4枚のお皿に盛り付ける。最後に粗挽き黒胡椒を振りかけ、トッピングに刻んだパセリを乗せたら完成!!
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 私はかつて、友人達のために料理をしている最中に酔っ払ったことがあります。で、当然のように、料理は上手くいかなかったわけです。当時私は、20代前半のナーバスな若者であり、なんちゃって料理人を気取っていた時期でしたが、料理をもっと極めなくては…という志が湧き出したのも、ちょうどその時だったんです。この方程式にワインを3杯ほど足せば、事は割と簡単に解決するのです。

 キッチンに一人立たされた場合の問題点と言えば、隣の部屋で行われているディナーパーティのペースに追いつけなくなることぐらいでしょうか。皆がガヴィ・ディ・ガヴィ(ワイン)を楽しくすすっている間、自分は鍋を火にかけ、顔が火照り、せわしなく動き、玉ねぎを刻んでいる合間に隣室の会話にちょっと加わったかと思えば、すぐさまキッチンに戻ってソースを焦がさないようにかき混ぜる。それから他の皆と比べて、2倍の速さでアルコールを口に流し込込む、そんな感じですね。

 このときはディナーパーティに呼んだゲストの一人が、私を気にかけてくれました。彼女はちょこちょことキッチンに顔を出しては、僕のコップにアルコールを注いでくれた(彼女は僕に好意を寄せていたんだと思う。まあ、僕がエプロン姿だったからだろう。女性はエプロン姿の男が大好きだから)。事実、そのときのことを振り返ると、かなり喉が乾いていたにも関わらず、僕のグラスはおそらくほぼいつも満杯だったのです。半分しか減っていないグラスをいつも注ぎたがるタイプの人間がいますが…、彼女はそういうタイプの人でした。ギリシャ人はそういう人たちを、セノシリカフォビア(空っぽのグラス恐怖症)と呼んでいます。

 厨房に立っているときに一番気をつけなければならないのが、タイミングです。プロのシェフたちは複数の料理を各料理の所要時間や工程を計算しながら、完璧なタイミングで完成させるのでした。それは容易なことではありません。一晩につき300人分の料理を振るまい、皆に正しい料理を完璧なタイミングで出すには、極限の集中力と精密なタイミング計算が必要なのです。酔っ払っていたら話にならないので。

 そのとき、私が作っていたのはわずか6人分の料理だったのですが、炊飯器のスイッチを入れ忘れ、鮪(マグロ)のステーキを思いっきり焦がしてしまいました。すべてが良からぬ方向へ進んでいたのです。しかも、手作りしていたワサビドレッシングには肝心な材料を入れ忘れてしまうハメに…。曖昧な記憶ですが、たぶんそれは肝心のワサビだったような気がします(笑)。調理が終わって料理を皿に盛り付けてゲストにサーブする頃には、もう手遅れであったのです。

 ディナーパーティは大混乱となったのです。料理はめちゃくちゃであり、ほろ酔い気分は自分の失態で瞬く間に覚めてしまい、テーブルに並べるはずの食事は作った本人すら食べたくないようなゴミのような悲惨な状況でした。幸いにも、その夜は友人たちのユーモアと寛大なココロ、そしてオーブンに入れるだけでできた冷凍ピザに救われたのでした。

 たとえ目の前にアルコールがなくても、キッチンでの予期せぬハプニングは、ここぞという時に起こるものであり、何事も同じ! 事前の下準備が重要なわけなんですね。…というわけで、僕は常に突然の来客にも備えて、家にあるものでできるレシピを隠しもっているのでした。これらのレシピは、ほとんどの家庭にある材料だけを使ってできます。急な来客時に私がよく作るのが、ベネチアの伝統パスタ料理ビーゴリ・イン・サルサをちょっとアレンジしたもの。あの夜、このレシピを知ってさえいれば、恥をかくことはなかったのに…と私は悔やんでも悔やみきれません。

Source / ESQUIRE UK
Translation / Spring Hill, MEN'S +
※この翻訳は抄訳です。