シンプルながらスタイリッシュなこの一杯を飲み干した後には、きっと笑顔がこぼれおちていることかと。
完璧なマティーニを作る方法をサヴォイホテルのチーフバーテンダーから伝授してもらい、その素晴らしさについて語ってくれました。
◇美味しいマティーニとは?
マティーニほどクラシックなカクテルはありません。
優れたバーテンダーの証は、多くの材料は含まないかもしれませんが、その所作の中に隠されていると言えます。そして、計算の世界へと足を踏み入れる前から、用語上の難しさが存在するのです。「教えてください、君の割合は何?」というように。
「カクテルの美学は、儀式的な行為そのものにあるのです」と、エリック・ロリンチ氏は言います。彼は、受賞歴のあるサヴォイホテルのアメリカンバーのチーフバーテンダーなのです。
「大切なのは準備です。私は日本を訪れて、マティーニに夢中になりました。これって、結構驚くべきことではありませんか?けれども日本は、細かなディテールと儀式的な行為への配慮があることで知られる国です。マティーニには、それが非常に重要なのです。さもなければ、大失敗してしまいますから!」と、ロリンチは専門用語を解読する手ほどきをしてくれました。これであなたも、無垢な丁寧さで自分の1杯をオーダーすることができます。
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1 | ジンかウォッカか?
マティーニには、ジンのマティーニしかないことを理解してください。技術的に言って、ウォッカは材料としてみなされません。もし、ウォッカだと言い切るのなら、あなたにはヴェスパー(下記を参照)が合っているかもしれません。
2 | ジン
必ず、ロンドン・ドライを使うべきでしょう。主要のジュニパーの他に、シトラスやコリアンダーのような良い香りのするものもあります。私はボンベイ・サファイアを使っています。
3 | ベルモット
植物的な浸出液を加えたフォーティファイド・ワイン(ジンととても似ていますが、素晴らしいコンビネーションです)。フランス産かイタリア産が良いですが、クラシックなマティーニには常にドライを使ってください。私はCocchi(コッキ)エクストラ・ドライを使っています。
4 | 苦み
多くの人が苦みを忘れがちですが、オリジナルのレシピに含まれています。マティーニを理解したいなら、起源はマーガレットです。1896年の文献に初めて記述されました。ジンとベルモット、そしてオレンジビターを数滴加えたものです。
5 | シェーカーかマドラーか?
シェーカーを使用すると、氷がくだけて冷たくなりますが、水分がマティーニに混入するため仕上がりが薄まってしまいます。さらに、泡のある濁ったドリンクになるのです。マドラーを使用すると、前者よりも1、2度、温度が高くなるが、艶のある仕上がりが得られます。ロリンチはマドラー35-40回か、良質の氷でシェーカー15秒を奨励しています。
6 |ウェットかドライか?
ベルモットが多いと、マティーニはウェットになります。基本的なジンとベルモットの割合は、ウェットなら2:1、ドライなら4:1です。元英首相チャーチルは、ベルモットをグラスには加えず、ただその瓶を部屋に置くよう要求したそうだ。だがそれでは、「単なるコールドジン&レモン」ですよね。
7 | 絞りを効かせて
レモンのひと絞りが、マティーニをキリッと仕上げてくれます。大きなレモンがグラスのそこに沈んでいたり、果汁がグラスの縁に付くのみでフレーバーが加わらないことがないよう気をつけましょう。
皮を薄くむき、細かな霧のフレーバーが散りばめられるよう、グラスの上から絞りましょう(ちょうど手品をする容量で)。しかし、量はとても小さくなくてはなりません。そうすることで、マティーニが仕上がる頃には、酸味が少し飛んでいる計算になります。酸味が強すぎては、あまり心地良くありませんので。レモン以外の柑橘系も良く馴染みます。植物的なブレンドの1つである、タンカレーNo.10のジンとグレープフルーツを組み合わせてみましょう。
8 | グラス
大きすぎないように、気をつけてください。さもなければ、半分しか飲み終わらないうちに、カクテルがぬるくなってしまいます。最後の一口まで、心地良い冷たさを保てなければなりません。私は、フリーザーの中で冷やしたバカラのグラスを使います。
Source / ESQUIRE UK
Translation / Spring Hill, MEN'S +
※この翻訳は抄訳です。