米国で愛されているハンバーガー・チェーンが 続々と日本に店をオープンさせており、あらゆるタイプのハンバーガーショップが展開されているのです。

「エスクァイア」 US版のエディターは、2015年7月に自由が丘でオープンした「ベアバーガー」がどのような経緯で日本にオープンさせたのかに注目しました。

ベアバーガーとは? その魅力

このたび、トゥモローランドの創業者である佐々木啓之のサポートを得て、ベアバーガー(2009年創業の北米を中心にオーガニックハンバーガーを展開するハンバーガーショップ)がグローバル化しました。

アメリカのハンバーガーショップ、ベアバーガーでCEOを務めるユリピディーズ・ペレカノスは、約2年前に友人から日本の男性グループがベアバーガーレストランの開店を目論んでいたことについて聞いており、非公式に言及していました。

オーガニック100%天然成分を使用するファストカジュアル・ハンバーガーチェーンの最高経営責任者であるペレカノスからは、この種の話をよく耳にしておりましたが、とにかくそのグループと会って話し合うことを提案したところ、同意してくれたそうです。

「よくある奇妙で、ぎこちない会話だったよ。誰が誰なのか、何が何なのかを皆が把握しようとしているのだから」と、ベアバーガーの最高経営責任者は笑いながら話します。「その後彼らは約5カ月間、音信不通になってしまってね。ほどなくして突然、翻訳者の方から電子メールを受けとった。そのグループは佐々木という一人の日本人と話をしたことがあるのだそうだ」と、ペレカノスは当時を振り返りました。

その話に聞いていた佐々木氏とは、創業37年になる日本のブランド会社トゥモローランドのブレーンである佐々木啓之会長であったのです。佐々木氏は自力で大成した起業家であるばかりか、ライフスタイルブランドと日本のアウトレットの主宰者を務める実業家でもあったのです。

彼のメンズウェアのカジュアルラインを、Editionというブランドを例に見てみると、「ミリタリー」「ワーク」「スポーツ」からインスピレーションを得ていることがわかります。

佐々木氏がペレカノスのオフィスを訪問し、東京にベアバーガーの支店を作るという考えを彼に売り込むのに、さほど時間はかかりませんでした。「彼は、『そうしたいと思う気持ちがすべてなのだ』と語った」と、ペレカノスは回想しています。そして佐々木は、非常に明確な態度を取りました。「料理の味からレストランの設計・サービスの実行方法に至るまで、すべて気に入った」と、佐々木はメールに書きつづったいたとのこと。

過去にレストランのコンセプトについて試行していた佐々木は、「外食産業界のスローガン的な言葉「ベターバーガー(ニューヨークで展開されているハンバーガーのファストフード店。

すべての食材がナチュラルで、肉は成長ホルモンや抗生物質が投与されておらず、オーガニック肉が使用される場合もあるとのこと)」のコンセプトはいけるかもしれない!」、と自信をもって共感していたのです。日本ではファストカジュアル・チェーン店があふれており、国による「和牛肉の潤沢な供給」のおかげでハンバーガーは人気メニューアイテムである、と彼は言っています。

しかし日本では、全国的に健康的な食事がいま好まれているため、ペレカノスは数週間後に日本を訪問したときには断念する余地があったかもしれません。「零細企業家を除けば、その(オーガニック、100%天然バーガー)ニッチに誰も適合しない」と、彼は東京について語っていたのです。そして彼の口から「東京に進出する必要性を見出した」と、自信の言葉が解き放たれたのでした。

東京に進出する必要性を見出した…

ペレカノスはとりわけ、投資家がファストカジュアルのコンセプトを求めていることが証明された、1月のシェイク・シャックの新規株式公開を踏まえて、ベアバーガーのグローバル化を熱望しました。しかし、日本の消費者にブルックリン育ちのブランドを説明するのは容易なことではありません。

「6,000マイル離れた、全く英語を話さないグループメンバーと仕事をするという一連の独自課題を抱えている」と、ペレカノスは述べています。そして彼は翻訳者を雇ったものの、日本の習慣に困惑したままでした。

「ニューヨーク市ではプロジェクトに割けるのは1~2人程度だけど、彼らは5~6人という人数でプロジェクトを行っている」と、彼は言います。「多かれ少なかれ、効率的に実行できるかどうか確信が持てない」とも、ペレカノスは話しました。

幸いなことに、ライセンス契約(フランチャイズではない)では新ベアバーガーは、(例えば)ニュージーランドとオーストラリアから肉を現地調達し、拠点へ送るという操作ができるようになっていました。

「野菜のほぼ99.9%が現地栽培」と、ペレカノスは述べています。「海外から取り寄せているのは、アボカドと弊社のカレーケチャップ、レムラード・ソース、それにバターミルクランチドレッシングといった少しばかりのソースだけ」と、ペレカノスは加えています。

新店舗では尾崎牛を用いたトゥモローランド・バーガー、鶏挽き肉と日本の野菜で作られたつくねバーガーなど、日本固有のメニューを展開しています。マーケティングとPR活動の甲斐あって、レストランが7月下旬にオープンしたときには、200人のお客さんが玄関先で入店を待ちわびていました。「東京でシェイク・シャックを打ち負かせるだけの知識は十分にあると感じていた」と、ペレカノスは述べています。

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オープン前の「ベアバーガー 自由が丘店」。日本での事業はここから始まりました。

「成長に適切なタイプ」

ペレカノスは、新規に出店された東京支店の今年の収益は240万米ドルに達するものと想定しています。しかし彼は今のところ、幹部レベルの24人、レストランレベルの約1,000人の従業員と共に、ベアバーガーを自己資金によって維持することを決定しました。

彼は、自らの創業6年になるレストランの「慎重に事を進める」考え方について「いわば成長に適切なタイプ」とし、投資家については「適切な店舗に適切な人材。ビジネス課題以外のものが必要」と述べています。「オーガニックと100%自然食品を心から愛し、ビジネス面についても同様に愛している人材を見つけるということ。適切な商売に適切なパートナー」と続けています。

パシフィック・コンサルティング・グループのレストラン・アナリスト、ジョン・ゴードンは「ペレカノスは裕福な人々、青少年の顧客、子供連れの家族にアピールする方法を考える必要がある」と述べています。

米国のハンバーガー市場

アメリカには有限市場が存在しており、東海岸の人々であれば、魅力的なベアバーガーの最良のバーガーコンセプトを発見できる可能性がある(5つの州とトロントにチェーン店舗が存在)一方で、中西部郊外の誰もが喜び勇んで、それにお金を払うことにはならないでしょう。実際には、標準的なバーガーは10ドル以上の値段であり、二人分の平均的な食事代金は、たやすく20ドルに達してしまいます。

反面、東京店の目的がアメリカのブランドであることに注意を引くためであれば、ペレカノスが来年に進出を考えているドイツ・フランクフルトのようなヨーロッパの都市における将来的な発展のためには理想的であり、それほど心配する必要はないのかもしれません。

家賃が高すぎず、店舗がアクセスの良いエリアにある限り、予算を切り詰めることなく、ベアバーガーの国際的なアピールを強化することができるでしょう。

ファッションリーダーである佐々木は、うまくいくものと信じている様子です。「私たちは、比較的同じ状態を保つべき製品に焦点を当てるのですが、デザインとサービスは常に進化する必要があります。」という点について、佐々木は「ファッションビジネスは食品ビジネスにそっくりです」と述べています。

これまでの話を踏まえて、興味のあるかたはぜひ「ベアバーガー 自由が丘店」に足を運んでみてください。新たなハンバーガーの味わいをご堪能ください。

Source / ESQUIRE US
Translation / Spring Hill, MEN'S +
※この翻訳は抄訳です。