スターバックスが提案する地球を救う特別な蓋つきカップとは、どんなものだろう⁉

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  Starbucks Is Banning Plastic Straws to Save the Planet

 スターバックスがプラスチック製ストローを廃止して、正しいことをしようとしています。 

 2018年7月9日(米国時間)、同社は全世界のスターバックス店舗で使用しているすべてのプラスチック製ストローを、2020年までに段階的に廃止していくことを発表しました

 同社ではこの取り組みを、2018年秋にまず米シアトルとカナダのバンクーバーで開始する予定。その後、他の地域にも拡げていく考えでこの取り組みを通じて、毎年10億本のストローが地球上のゴミ捨て場や海に廃棄されるのを防げると見込んでいます。

 現在同社は、「自社店舗と認定店で26,000店以上を運営しており,自社の計算によると毎年20億本のプラスチックストローを使用しています」と、自然保護団体であるSierra Club(シエラクラブ)のウェブマガジンに記せられています。 

 スターバックスではプラスチック製ストローを廃止する代わりに、同社が2016年に導入した特別な蓋つきのカップでコールドドリンク類を提供する予定です。

 ちなみにこの容器に対し、インターネット上では「大人用のベビーマグ( "adult sippy cups" )」というあだ名がつけられています。ストローと違い、この容器の蓋はリサイクル可能となっているのです。 

 また、「冷たいフラペチーノを飲みには、やはりストローが欲しい」と願うスタバ中毒者のために、同社のバリスタは今後、紙製のストローと生分解性のプラスチックでできたストローを手元に用意することになります(ただしこの生物分解性のプラスチック製ストローは、海洋生物によって分解・吸収されるものではありません)。

これはvimeoの内容です。詳細はそちらでご確認いただけます。

すべては、シアトルの偉大なる決断から始まった。

 上の動画は2017年9月1日に公開された、プラスチックストローを禁止することにしたシアトルのキャンペーン映像になります。

 これは海洋プラスチック汚染と戦うため。そして、「できるだけ多くの人がすぐ取り組めるように。まずは、小さなことから始めるべきではないか…」というコンセプトから、シアトル市が下した英断になります。

 これは習慣です。そう簡単には変わらないということにシアトル市は気づいたのでしょう。

 カフェの店員はお客が何も言わずとも、プラスチック製の容器にストローを挿した冷たい飲み物を差し出してくれます。とくにプラスチック製のストローはその形状から、ほとんどリサイクルされずにごみ箱に捨てられる運命なのです。

 皆さんは今日もカフェで、もしくはコンビニでプラスチック製ストローを挿したアイスコーヒー(またはアイスカフェオレ)を購入しませんでしたか? そしてそのストローは、皆さんが使用したあとはゴミ箱へ…。次に埋め立て地に運ばれ、その後は何百年も残ったままです。

 メディア「GLOBAL CITIZEN」には、「アメリカでは1日に5億本のプラスチックストローが消費されていると言われており、世界中でも毎日、十億本以上もプラスチックストローが使用されています」と記せられています。
 そして、それらを含めた数えきれないほどのプラスティック製品が、最終的に海へたどり着き、そして海洋動物に誤飲されているとのことなのです。

 このプラスチック製ストローの習慣を変えようとする試みが、アメリカ西海岸のシアトルでいち早く始まったのでした。シアトルは2018年7月1日以降、レストランやカフェそしてその他の食品サービス業での使い捨てプラスチック製ストローおよびナイフ・フォーク・スプーンなどのカトラリー類を提供することを禁止する偉大なる条例を発表したのでした…。
 実はシアトルでは、すでに何百万ものプラスチック製ストローの削減に成功しているとのこと。その削減には、Lonely Whale財団や地元の企業、市の職員、海に優しい紙製ストローを製造している企業の協力のもと施行されました。2008年頃にはレストランやカフェや他の企業が、使い捨ての包装容器に入れて食事を販売すること、自然分解しない、またはリサイクルできないストローやカトラリー類を提供することを禁止する条例を発表していたのです。

 すでにシアトル・マリナーズのホーム球場であるセーフコ・フィールドやNFLシーホークスのホームスタジアムであるセンチュリーリンク・フィールド、さらにスペースニードル、シアトル・タコマ国際空港といった会場で営業している200店舗のレストランがこのキャンペーンに参加しているのでした。2017年9月には、シアトル内で1カ月の間に230万本の使い捨てプラスチック製ストローが廃止されていたのです。

 プラスチック製ストローとカトラリー類に関して適当な代替品が見つからない場合には、この条例に従うことは先日まで免除されていました。しかし、その条例免除も2018年6月30日で期限切れとなったのです。

 この条例がスタートしてから、シアトル一帯で生分解性のプラスチック製ストローが広く使われるようになりました。がしかし、これには落とし穴があったのです。生分解性プラスチック製ストローは、実はそのまま捨てても自然には分解されません。ある一定の温度や微生物を必要とするため、そのための特別な設備で処理する必要がある…ましてや海に入ってしまったら、半永久的に残り続けることも忘れずにいてください。 

 そうしてこのシアトルのストローレス運動に、ようやく地元の巨大企業…そう、スターバックスは動いたのです。

 プラスチックストローを廃止すれば、プラスチック汚染を減らすことができる

 こうしてスターバックスは、100店舗以上ある地元シアトルのお店から生分解性プラスチックのストローで規制に対応することにしました。そしてさら、2020年までにストローを廃止して、その代わりに「ストローなしのフタ」に変更すると決めたのです。前出の幼児のためにつくられた、液体がこぼれにくいデザインのコップの大人版といった感じの容器でです。

「プラスチック製ストローを廃止しても、私たちの海を救うことにはつながらない」と、環境保護活動家らは注意を促しています。

 しかしながら、プラスチック製ストローの使用をやめれば、海洋生物の生存を脅かすプラスチック汚染を減らすことができることは事実。また、ゴミ全般の減少自体には確実につながるのです。 

 そしてここで注目すべきは、「ストローというツールは、いちばん簡単に無くてもいいと考えられるもの」であるという点です。それができれば、私たちはもっとたくさんのプラスチック製品を、自分たちの生活から取り除きたいと思うかもしれない…という希望が広がるのです。

 ストローを「入り口となるプラスチック製品」と呼ぶのは、そのためだそうです。 
  

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Photograph / Getty Images 

 
 スターバックスがこのキャンペーンを実施するなら、きっとすぐに世界的なトレンドとなるでしょう。私たちがアイスコーヒーや低カロリーの炭酸飲料を飲むときに感じる、あの罪悪感も今後徐々に減っていることでしょう。…ですが、その罪悪感を感じているなら、いまからでも自主的にストローレス運動を始めてください。
 2018年6月には、UKとアイルランドにあるマクドナルド1300店舗でも、「プラスチック製ストローの代わりに紙ストローへ変更する」と発表していますので…。これからさらに注目となります。その前にぜひ…。

By Sarah Rense on July 10, 2018
Photos by Getty Images
ESQUIRE US 原文(English)
TRANSLATION BY Hayashi Sakawa
※この翻訳は抄訳です。 
編集者:山野井 俊