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生活習慣病のリスク軽減!炎症を抑える「抗炎症作用」が期待できる食べ物5選
人体の炎症作用は、例えば関節炎、脳卒中、循環器系疾患などと関連して生じることが知られています。そしてアルツハイマー病、勃起障害、がんなどにも関係して起こる可能性も示唆されています。今回は、そんな炎症作用への対策にもなると言われている、「アンチ・インフラマトリー(炎症緩和)」が期待できる食品についてご紹介しましょう。
今回は、食品栄養素やウエルネス (=Wellness、世界保健機関 が国際的に提示した「健康」の定義をより、広範囲な視点から見た健康観を意味する)に造詣の深いアメリカ人ジャーナリスト、ニーナ・バハドゥール氏(Nina Bahadur)の調査によってピックアップされた5つの食材を解説します。
美味しい食材でありながら身体に良いとされるものばかり集めましたので、無理なく継続して食することができることでしょう。
近年、この「抗炎症な食事法」や「抗炎症作用が期待できる食材」が注目され、正誤問わずあらゆる情報で溢れかえっています。
もっとも、このワードをアメリカ国内な有名にしたのがアメリカンフットボール選手、ニューイングランド・ペイトリオッツ所属の大スター、トム・ブレイディ選手でした。彼の行っている極めて(信憑性の薄い!?)厳しく(怪しい)食事管理法がアメリカを中心に注目されたいました。彼は炎症作用が期待できると言われているキノコ類やナス科の食材まで、制限しているというのです。
◇ところで体内の炎症作用というものは、そこまで気にすべきものなのでしょうか? そして、私たちの日々の食材が、はたしてどれくらい影響しているものなのでしょう?
まずは、それらの問いに対してお答えしましょう。
まず私たちの身体にとって、「炎症作用が必ずしも悪いばかりとは言い切れない」という点から抑えておきましょう。
炎症作用には次の2種類があるとされています。ひとつは「急性とされる炎症」ですが、これは特定の怪我や病気の症状に対する、私たちの肉体の自然な反応として引き起こされるものです。
そしてもうひとつが、「慢性の炎症」とされるものです。これは肉体の起こした炎症作用が1週間や1カ月間、場合によっては1年間も継続するというものです。
「体感を伴わないこともあるこの種の炎症ですが、身体のトラブルを訴えるサインである場合があるのです」と説明してくれたのは、『アンチエイジングのためのヒーリング・スーパーフード(Healing Superfoods for Anti-Aging)』の著者であるカレン・アンセル先生。
アンセル先生はニューヨーク大学で臨床栄養学の修士号を取得し、R.Dつまり登録栄養士の資格も取得しています。現在、全米で栄養コンサルタントやジャーナリストとして活躍している女性です。
ではいったいどのようなトラブルが起こるのでしょうか?
炎症作用とは、例えば関節炎、脳卒中、循環器系疾患などと関連して生じることが知られています。そしてアルツハイマー病、勃起障害、癌(がん)などとも関係して起こるのです。「国立保健研究機構(NIH)」によれば、大腸炎や指定難病のひとつクローン病(大腸及び小腸の粘膜に慢性の炎症または潰瘍をひきおこす原因不明の疾患)など、消化器系の炎症性疾患を患う人々にとっては結腸がん、大腸がんのリスクを高める危険性も秘めているそうなのです。
つまり、慢性的な炎症は私たちにとって、歓迎できないものであることは間違いないようです(どの程度の影響が実際にあるのかについては、不明な点もあるようですが)。では、慢性的な炎症を回避する術はあるのでしょうか? あるとすれば、そのために役立つ食材とは何でしょうか?
炎症を抑えるのに役立つ食材については、専門家の間でも明確な見解というものがまだありません。しかしながら、ハーバード大学公衆衛生大学院(HSPH)における栄養学の権威であるフランク・フー博士によれば、私たちの免疫系にとって重要な枠割を果たす臓器内の「細菌叢/微生物叢(さいきんそう/びせいぶつそう)」と食材との関係は、小さくはなさそうです。
「健康的な食事を摂ることが、私たちの体内の細菌叢(さいきんそう)のバクテリアの健全性を向上させ、害のあるバクテリアを減少させることが、これまでの研究によって明らかになっています」と、フー博士は言います。
また「加糖飲料、精製穀物、加工肉などの食品を制限することで、慢性的な炎症状態を回避することができます」と、フー博士は言っています。
ちなみに、2015〜2020年版の「アメリカ人のための摂食ガイドライン(Dietary Guidelines for Americans)」の中で、フー博士の推奨する食材などを参照することができます。糖分や飽和脂肪の摂取を控え、全粒粉や果物類の摂取を増やすことをすすめています。
それでは、食生活と慢性的な炎症との関係についての学術的見解には未確定な部分もありますが、抗炎症に効果があるとされる食材について、5つ例を挙げておきましょう。
【1】キヌア
まだまだ、馴染みの薄い方も多いかも知れませんが、近年スーパーフードとして注目を浴びている食品です。キヌアは南米が原産で、必須アミノ酸をバランス良く含むことが特徴の雑穀です。
「繊維質の多い食事は、体内におけるC反応性蛋白のレベルを低下させることが分かっています。体内の炎症作用を引き起こす原因となるタンパク質です」と、アンセル先生は説明します。ちなみにC反応性蛋白とは、体内で炎症反応や組織の破壊が起きているときに、血中に現れるタンパク質のことです。
「問題は私たちの多くが、本来必要とされている量の半分も、繊維を摂れていないということです。毎回の食事の際に意識的に摂ることが、解決の鍵となります。食材1カップあたり5グラムの繊維を摂りたいところです。玄米などの繊維質の少ない穀類の代わりにキヌアを用いることで、炎症作用を抑えるのに役立ちます」とアンセル先生。
半カップのキヌアには、およそ4グラムのタンパク質とおよそ3グラムの繊維質が含まれており、非常に優れた栄養食と言えるのです。
【2】ブルーベリー
ベリー類には食物繊維に加えて、抗酸化物質のアントシアニンが豊富です。この物質は体内の炎症を抑制し、がんのリスクを下げてくれる可能性が示唆されています。抗酸化物質が豊富に含まれていることが分かっており、抗炎症効果が期待できるのです。
ハーバード大学公衆衛生大学院(HSPH)における栄養学の権威であるフランク・フー博士が、特に進めるのは「ブルーベリー」。カリウム、ビタミンC、ビタミンK、マンガンなどの成分も豊富に含んでいます。そのままおやつに食べるか、もしくは冷凍したものを毎朝のスムージーに加えても良いでしょう。
【3】アーモンドほか、ナッツ類
「アーモンド、カシューナッツ、クルミ、ピスタチオ、ブラジルナッツなどのナッツ類は、炎症作用を抑制する効果がある」とする研究結果があります。
「『ピーカンナッツ(=ペカンナッツ)になると、動脈の炎症を抑える効果がある』という研究も発表されています。ポリフェノールという抗酸化物質が作用するのですね」と、アンセル先生は説明します。
サラダに加えたりギリシャヨーグルトに混ぜたり、もしくはそのまま食べてもいいでしょう。
ちなみにナッツと聞くと、ほとんどの人は「脂肪」を思い浮かべるかもしれません。ですが、「食物繊維」も実に豊富に含まれています。アーモンドでは1オンス(約28.3グラム)あたり、およそ平均3.5グラムもの「食物繊維」が含まれているそうです。
これは、他のナッツ類と比べ高い数値となっています。果物と合わせておやつ代わりに食べれば、栄養価の高い組み合わせとなるでしょう。
【4】イワシ、鮭
日本人なら、「大好き!」という人も多いのはないでしょうか。その反面、「しかし、肉ばかりで魚をあまり食べていないな…」なんて方も少なくないはずです。
「脂の乗った魚には、オメガ3脂肪が豊富に含まれています」と、アンセル先生は説明します。オメガ3脂肪を日常的に摂取することで、心臓疾患や高血圧の予防が期待できるとも言われています。
「イワシはとても豊富にオメガ3脂肪を含む、非常に優れた食材です」と、アンセル先生は繰り返しすすめます。オイルサーディン缶から直接食べるのも良し、パスタの具にしても良し、トーストに載せてデニッシュ・スタイルを楽しむのもまた良いでしょう。
【5】ターメリック(ウコン)
ターメリック(ウコン)には、培養細胞や動物の研究において抗炎症活性が見られる研究結果も発表されているクルクミン(curcumin)という成分が多く含んでいるので、期待できます。ですが、炎症性の病状の治療での有効性を調べた対照臨床試験はほとんどないので、まだ決定的とは言えませんが…。
「関節痛を持つ方は、特にターメリックを摂るようおすすめします」と、アンセル先生は言います。
「ローストした野菜にターメリックをひと振り」、もしくは「ターメリックの入ったカレーパウダーをスープに加える」、「スクランブルエッグに混ぜる」など、調理方法はさまざまです。また、ターメリックには記憶力を高め、気分を安定させる作用も期待できるという研究結果も発表されています。期待の範囲ばかりですが、良いことだらけなのでぜひお試しください。
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Source / Men's Health
Translation / Kazuki Kimura
※この翻訳は抄訳です。