誰も教えてくれない…じれったい「お尻のかゆみ」、6つの原因を解説
さりげなく椅子に擦り当てたり…どんなにかゆくても、仕事中にオフィスでこっそり「お尻」やその周辺を掻いているところは見られたくないものです。
座っているときに、お尻やその周辺のあたりがかゆくなり、どうしても「掻きたい!」という衝動に襲われた経験はありませんか? ですが、掻くことはかゆみの根本的な解決にはなりませんし、オフィスが外出先ではあまり好まれるような行為でもありません。
「お尻やデリケートゾーンのかゆみは一般的な症状で、一部の人にとってはひどくムズムズすることもあります」と説明するのは、ニューヨーク大学ランゴンヘルス医学科で准教授を務めるミッチェル・バーンスタイン医師。結腸・直腸手術部門を統括するバーンスタイン医師によれば、「人によっては寝ているときに、無意識にお尻やデリケートゾーンを掻いてしまう人もいます。そして、あまり強く掻きすぎると症状はさらに悪化してしまうのです」と言います。
この衝動は「pruritus ani」と呼ばれるもので、ラテン語で「かゆい肛門」を意味しています。日本では「肛門かゆみ症」とも呼ばれるこの症状ですが、症状には2つの種類に分かれるそうです。
一つは、はっきりとした原因などなく、かゆみを感じる「primary pruritus ani」というもので、もう一つは痔核(いぼ痔)や裂肛(れっこう=切れ痔)、細菌感染などの肛門や直腸の状態が原因となっている「secondary pruritus ani」の2つに分かれるそうです。
今回は、このような不快なデリケートゾーンのかゆみに悩まされている人のために、考えられるいくつか原因と、そのかゆみを和らげるためにできる対策をご紹介します。
【原因と治し方1】お尻の拭き方が不十分
お尻を常に清潔にしていないと、デリケートゾーン周辺に残った便の一片により、かゆみや炎症が引き起こされることがあります。
トイレ後の拭き方が十分ではないのかもしれません。また、ヘルスケア情報メディア「WebMD」によれば、コーヒーを飲みすぎると肛門の筋肉が緩み、便が漏れやすくなる可能性もあるという研究結果の報告もあります。
- 改善方法
肛門周りの便が気になる場合は、シャワーを使ってお尻を洗うべきでしょう。とはいっても、単にシャワーで流すだけでなく、石けんと手持ちのシャワーヘッドを使いましょう。また、発明大国の日本には、皆さんご存知のウォシュレット(温水洗浄便座)がありますので、それで清潔に保つものよいでしょう。
米国ニュージャージー州のアトランティックケア・リージョナル・メディカルセンターの消化器科を率いるジョエル・クラッチマン医師によれば、男性のデリケートな部分を洗うときには「Sensitive(敏感肌用)」、あるいは「gentle(低刺激)」の表示があるものを選ぶべきだと指摘しています。
【原因と治し方2】お尻を拭き過ぎも注意
不十分な拭き方も問題ですが、逆に、お尻を強く拭き過ぎている場合にもデリケートゾーンのかゆみの要因となることもあります。
肛門周辺の皮膚は柔らかく敏感です。機能性消火管障害に関する「国際財団(International Foundation for Funcctional Gastrointestinal Disorders)」によれば、乾燥したトイレットペーパーで強く拭き過ぎると、この皮膚を傷つけてしまうことがあり、これがデリケートゾーンのかゆみにつながることがあると言っています。
また、一部のトイレットペーパーは素材の地が粗く、簡単にボロボロと崩れてしまうものもあるため、肛門周辺の皮膚にこういったトイレットペーパー片が残るという結果が生じ、それが炎症を引き起こすということもあるそうです。
- 改善方法
自分の拭き方が少し強過ぎるかもしれないと思う人は、ウォシュレットなど肛門を清潔に保つ別の方法を検討すべきかもしれませんね。また、温水洗浄便座を持っていない場合も、トイレットペーパーを大量に使うのではなく、シャワーで洗うほうがいいでしょう。
【原因と治し方3】性感染症(STD)
「デリケートゾーンのかゆみは、性行為でうつる感染症が原因となっていることもあります」、そう説明するのは、米国・カリフォルニア州ビバリーヒルズで内科医として働くエウサン・アリ医師。彼によれば特にヘルペスや淋病、クラミジアなどが、その原因になり得る可能性があるそうです。
アリ医師によれば、「これらの性感染症は、特にコンドームなしでアナルセックスを行う人々の間でかなり一般的となっているというデータが出ています」と言います。
このような行為で性感染症にかかった場合、肛門周辺が炎症になり、これがかゆみを引き起こすことがあるとのこと。ヘルペスあるいはヒトパピローマウイルス(HPV)では、イボができることもあり、これはさらなるかゆみや痛みをもたらします。また、これらの性感染症は発疹や肛門からの分泌物、陰茎や睾丸の痛みなどにつながることもあるそうです。
- 改善方法
性感染症の疑いがある場合は、まずは医師の診断を受けましょう。適切な治療をすれば症状は収まり、かゆみもなくなることでしょう。
【原因と治し方4】アトピー性皮膚炎
デリケートゾーンを、強く掻きむしりたくような衝動を覚えたとき、それはアトピー性皮膚炎が原因となっていることがあると言います。この場合、赤いウロコ状の発疹が特徴で、延々とかゆみが続く傾向にあるとも言われています。
ダーム・ウェアハウス社の創業者で皮膚科医であるアラン・パークス医師によれば、アトピー性皮膚炎の正確な原因ははっきりしていないものの、免疫システムの過剰反応と関連づけられており、アレルギーや喘息が引き金になる可能性があると言います。この症状は天候の変化や石けん・洗剤などの家庭用品との接触など、外部の要因により生じることもあるそうです。
また、ストレスが原因となることもあり、ストレスによって症状が悪化することもあります。人間の体は緊張したとき、炎症を増加させる形で防御反応を起こします。これがアトピー性皮膚炎の症状として、ある部分(この場合は肛門です)のかゆみを促進させることがあるそうなのです。
- 改善方法
パークス医師によれば、この症状は通常ステロイド外用薬(クリームなど)などで緩和でき、これらの外用薬は炎症を抑えることでかゆみをかなり迅速に和らげてくれると言います。一方、他の薬用クリームでは、炎症やかゆみを悪化させてしまうこともあるので、医者に処方されたものを使用することをおすすめしています。
【原因と治し方5】真菌感染症(しんきんかんせんしょう)
「水虫・たむしなどの真菌(しんきん)が、デリケートゾーン周りに感染する可能性もある」と聞くと、ゾッとします。とはいえ実際に、肛門はかなり真菌が増殖しやすい部位なのです。
パークス医師によれば、どんな人間も皮膚の真菌と共生していると言いますが、真菌がもっとも繁殖しやすいのは下着の中など温かく湿っていて、風通しの悪い部位だそうです。
人間の身体は通常、侵入者を寄せつけないよう機能していますが、病気になったときや過剰なストレスを受けたとき、患部が汗びっしょりになったときなどには、外部から侵入した真菌が残ってしまうことがあるとのこと。この場合はアトピー性皮膚炎と同じように、デリケートゾーン周辺に赤みや炎症が現れます。
- 改善方法
このようなケースでは、医者から外用あるいは内服の抗真菌薬を処方されることが一般的です。また、下着の中の蒸れは細菌や病原菌の増殖の原因となる可能性がありますから、現在使っている下着をより通気性の良いものに変えた方がいいかもしれません。また、以前『かゆみや感染と無縁! 清潔な「股間」をキープする6つの方法』という記事を紹介しておりますので、そちらも参考にしてみてください。
【原因と治し方6】洗濯用洗剤
デリケートゾーン周辺にかゆみを伴う発疹が出た場合には、下着の洗濯に使っている洗剤が原因となっている可能性もあるのでお確かめください。
このような洗剤に含まれる刺激性のある化学物質が、接触性皮膚炎を引き起こすことがあるのです。ヘルスケア情報サイト「Healthline」によれば、この場合は赤い発疹や軽度から重度の痒みが出ることがあると警鐘を鳴らしています。特に股間など、汗で蒸れる部分では炎症反応が強くなることがあるそうです。
- 改善方法
このような皮膚炎を防ぐためには、無香料・無染料の洗剤に切り替えることが先決がしょう。ご自身に合うか否か、洗剤の見直しも考えてみるべきでしょう。
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Source / MEN'S HEALTH US
Translation / Wataru Nakamura
※この翻訳は抄訳です。