目が覚めて、歯を磨き、鏡に映る笑顔をチェックしているときに、舌が不思議な色に変色していることに気づき、そしてあなたは「一体なにが起こった?!」と驚くことでそしょう。しかしながら、そう心配は必要なさそうです。
「舌の色の変化に気づき、その症例をグーグルで検索したりして、恐怖にひきつった表情で病院に飛び込んでくる患者さんが、ときどきいらっしゃいます。胃の調子の悪いときに薬を飲んだりすると数時間、舌が変色するようなことがあります。大抵は、そんなケースなのです」と説明してくれたのは、ニューヨークの「スマイル・デザイン・マンハッタン」を創業した歯科医のリー・ガウス博士です。
舌の変色やその表面の変化は、実に多く(そして、恐るるに足りないほど)の原因によって引き起こされるということが、近年では判明しています。
「舌の厚みや表面の変化は、体調の変化と相関関係にもある」と、ガウス博士は説明します。また、「表面が灰色になっていえれば、胃潰瘍や消化性潰瘍が原因も考えられます。そして、茶色く変色している場合には、肺の状態と関係している場合があります」と、体調のヒントをくれる場合もあるとガウス博士を言います。
健康な舌は、淡いピンク色をしています。
もし、皆さんは自分の舌に異変を見つけたら…いくら「恐るるに足りない…」という形容があったとしても、当然ながら心配することでしょう。そう、どんな些細なことも心配し、確認しておくことが体をケアするうえで一番。そうして早期発見が生まれるのです。
では、「すぐに元の健康な状態に戻さなくては!」という本能的な思いを洗面台の上に置いて、鏡の前に立って「あーん」してみてください。。
その前に、舌の状態から推測できる健康状態とさまざまな対処法を、ここに確認していきましょう。
【症状1】舌が白い場合
厚みのある白い幕のようなものに舌が覆われる、「白板症」と呼ばれる状態かもしれません。それは喫煙による影響である可能性があります。
「表層部だけの問題で、大したことではない」とガウス博士は言います。鵞口瘡(がこうそう=カンジダという真菌の感染によって、口の中の舌やほおの粘膜に白い斑点ができる病気)と勘違いしないようご注意ください。
鵞口瘡の場合は、「舌の表面が、チーズ状の層で覆われたかのようになります。そうなれば、糖尿病や免疫疾患からのものではないかと私たちは疑います」と、ガウス博士は説明します。
「白板症」はヘビースモーカーに多い症状です。「喫煙が体にとって良くないのは当然ですが、喫煙本数の少ない人に、この症状が現れることは滅多にありません。本数が増えた際には、要注意です」と、ガウス博士。
症状が現れても、気づくのに時間のかかるケースも多いようです。
「白板症は、少しずつ進行するものです。はっきりそれと分かるようになるまで、患者本人はまったく気づかない場合もあります」と、ガウス博士はつけ加えます。「ですから、症状が進行しているにも関わらず、歯科医や内科医に診てもらうまで気づかれないまま放置されることも多いのです」。
では、どうすれば? …それは、かかりつけの医師に定期的に診てもらうことが一番となるでしょう。
【症状4】黒い毛のようなものが舌に現れた場合
「何これ気持ち悪い!!!」というのが、この状態を最初に発見したときの典型的な反応ではないでしょうか。
習慣的な喫煙や、バクテリアの増殖によって引き起こされる症状です。
「1日に3度の歯磨きやフロスを行う、または禁煙するなどして、口腔内の衛生状態を気に掛けることで改善されます」と、ガウス博士は説明します。あなたが喫煙者であれば、口の中のクリーニングを非喫煙者よりも高い頻度で受けるべきかもしれません。
「口腔内の清潔を保つために、電動歯ブラシを用いるのはとても良いことです」と、ガウス博士は加えます。
「喫煙者であろうとなかろうと、歯磨きの際には舌も同時に磨くべきですし、薬局で手軽に入手可能なタンスクレーパー(舌みがき)を用いることも効果的です」とのこと。
舌の黒ずみは、もうひとつ、別の理由によって引き起こされている場合もあります。
「ぺプト・ビズモル(=アメリカで一般的に用いられる、消化不良・腹痛・下痢など胃腸関係の万能薬)」です。
「このぺプト・ビズモルの内容成分のひとつ、ビスマスによって黒く変色する場合があるようです」と説明してくれたのは、ニューヨーク大学歯科医科大学を卒業し、現在は主要歯科医師のクリニカルコンサルタントとして新製品や新材料の開発に関するアドバイスをする、米国の歯科業界ではパイオニアと呼ばれているジョン・マラシ博士です。
【症状8】淡いパール色のような舌の場合
淡くパール色のような変色は、ビタミン不足もしくは他の栄養素の不足が疑われます。特にビタミンB12、そしてビタミンAの不足にご注意ください。
「医師の指示に従い、食生活や投薬の状況を見直すことで簡単に改善される症状です」と、マラシ博士は言っています。
ニンジンやサツマイモ、カボチャやメロン、ケールなど、ビタミンAを豊富に含んだ食材、また、レバーや魚類、牛肉、栄養素の加えられたシリアルなどビタミンB12を多く含んだ食材を摂ることを心がけましょう。
以上、舌の異変に気づいた場合には、まず心を落ち着けることが重要となります。そして、そこで曖昧な自己診断だけには留まらず、病院や歯医者などできちんと診てもらい、適切なアドバイスに従いましょう。
From Men's Health
Translation / Kazuki Kimura
※この翻訳は抄訳です。