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世界初、2度の顔面移植を受けた男性「生きる希望をみつめて…」

43歳のフランス人男性ジェローム・ハモン氏は、最初の顔面移植に体が拒絶反応を示したため、2度目の手術を受けざるを得なくなったのです。    

※本記事は、アメリカ人女性ジャーナリスト、メリッサ・マシューズ氏(Melissa Matthewsによる寄稿になります。また記事内に、手術に関する過激な表現とショッキング写真が含まれております。今回の記事が、こうした手術を受けざるを得ない人への理解と、技術の進歩に繋がることを信じて。

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PHILIPPE LOPEZ / AFP / Getty Images

《概要》
▶2度の顔面移植手術を受けた、世界でたったひとりの人物。それがこの43歳のフランス人男性です。

▶最初の手術から5年後、彼の体が拒絶反応を起こしてしまったのです。

▶極めて珍しい理由から、彼の顔面の崩壊は起こりました。

「3つの顔を持つ男」…2度の顔面移植手術を経たジェローム・ハモン氏のことを、人々はそう呼びます。

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Courtesy of HEGP AP-HP(via AP)

 2010年、「神経線維腫症(しんけいせんいしゅしょう)タイプ1」という珍しい遺伝子疾患を発症したフランス人男性が、顔面移植手術を受けたことを『CBSニュース』が報じました。

 兆候や症状はさまざまですが、「この疾患を発症するおおかたの患者たちには、ある共通の要素があるのでは?」と、アメリカ国立衛生研究所(National Institute of Health)は報告しています。 

 それは幼少期のうちに、色の濃いあざのようなものが顔にできるというのです。そのあざや斑点は年齢と共に拡大しながら増え続け、成人後には、このハモン氏の場合と同じように顔面の崩壊に至るケースも少なくないそうです。

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PHILIPPE LOPEZ /AFP / Getty Images

 手術から5年間、ハモン氏の顔面移植はひとつの成功例でした。しかし2015年になり、ハモン氏が別の病気を患った際に用いられてきた免疫抑制剤がうまく作用しなくなってしまったのです。 

 そして2017年11月、ついに彼の体が移植された顔面組織に対する拒絶反応を示しました。 

 あらゆる種類の移植手術について言えることですが…外部より移植された器官というものは、元々の体に備わる免疫システムによって「害をおよぼす可能性がある」とみなされた場合には攻撃を受けるストーリーになっています。そのような理由から、移植手術を受けた患者たちは免疫抑制剤を摂り、移植された器官が抵抗のないものであると自らの免疫システムを欺くようにすることが必要となってきます。

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PHILIPPE LOPEZ / AFP / Getty Images

 顔面組織の切除された状態のハモン氏の姿は、「まるでゾンビさながらでした」と執刀医のローラン・ランティエリ博士は『CBSニュース』に語っています。その間この43歳の男性は、口を利くことも物を食べることもできず、コミュニケーションの唯一の手段は筆談だったということです。

 2018年初頭、2人目のドナーとなる提供者が見つかりました。

 そして2018年1月のうちにハモン氏は世界初の、2度の顔面移植を受けた人物ということになりました。自らの回復について、ハモン氏はユーモアを込めながら次のように語っています。

「私は43歳ですが、ドナーはまだ22歳の若さでした。つまり、私は20歳も若返ったというわけです」と、フランスのテレビ局のインタビューに対してハモン氏が応える様子を『CBSニュース』がレポートしています。

「ハモン氏の体験は、想像を超えるほど非常に辛い経験だったはずです。が、彼はこうして前を向いて元気にやっているのです」と、ランティエリ博士は語ります。

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PHILIPPE LOPEZ / AFP / Getty Images

 熟練の技を要する手術ではありますが、顔面移植にもまた、他の器官における移植手術と変わらない一面があるそうです。

「顔面移植を受けた患者さんたちのことを知れば知るほど、慢性拒絶反応が現実的に大きな課題であることを突きつけられるのです」と『CBSニュース』に対して述べているのは、顔面移植の執刀経験のあるボーダン・ポマハック博士。

 移植された顔面がいつまでもつのか…、その結論はまだ出ていないと彼は説明しています。

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Courtesy of @anbuheart(via Instagram)

「患者それぞれの運によるところもあるでしょう。ある患者にとっては長持ちするかもしれません。ですが、多くの場合においては、ある時点でまた改めて顔面組織を移植しなおさなければならなくなるというのが、今の医療技術における限界とも言えるのです」とボマハック博士。

 そもそも、顔面移植は極めて珍しい事例です。

これはyouTubeの内容です。詳細はそちらでご確認いただけます。
Greffé pour la seconde fois du visage, Jérôme Hamon dit se sentir « très bien »
Greffé pour la seconde fois du visage, Jérôme Hamon dit se sentir « très bien » thumnail
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 また、今回の2度の手術をおこなったのはフランスですが、世界でいちばん最初に顔面移植を行ったのもフランスでした。最初は、イザベル・ディノアールさんという女性です。また、2018年5月にはカナダで65歳の高齢の男性が、狩猟中のアクシデントにより、大きな怪我を負い顔面移植をしています。 

 今後は今まで以上に、この分野における医療技術の向上と原因追究が、フランスを中心に進むことを期待するばかりです。



Source:CBS NEWS「In a medical first, man gets 2nd face transplant」
From MEN'S HEALTH
Courtesy of @Le Monde(via Youtube)
Translation / Kazuki Kimura

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