社会的な肥満化の進む今日、ハードなトレーニングに励み、食生活を意識的に変えてまで肉体を管理しようと減量に励む人々の姿には、ついつい憧れの眼差しで観てしまいますよね。
日常のあらゆる局面で、より健康的な生活を達成するために…そんな彼らの試みについて、私たち「メンズヘルス」も取り上げています。肉体的健康については、同様に難しく大きな課題がもうひとつあります。
それは「いかにして体と筋肉を増強するか」という問題になります。
スポーツ、美意識、もしくは健康趣味など、肉体改造のインスピレーションをなにから受けるにせよ、それに没頭するのは容易いことではありません。
なかなか効果の現れない日々にあって、あなたも自分自身の遺伝子を恨んだり、新陳代謝の速さに文句をつけたくなったりするかもしれませんし、それにも一理あるのです。でも、もしかしたら思ったよりも速く、筋肉増強の叶う方法というのがあるかもしれません。
「筋肉量の増加がなかなかできない細身の男性の多くは、単に間違った食事やエクササイズをしてしまっているのです」と、マイアミ・リサーチ・アソシエイツで栄養問題のディレクターを務めるダグ・カルマン博士は「メンズヘルス」の取材で応えています。
それでは、改善すべき点を挙げてみましょう。1週間で約500グラムの筋肉増量を図るために、次の原則を守るようトライしてみてください。
筋肉増強の最大化
あなたも聞いたことがあるかもしれませんが、筋肉ムキムキの彼ら曰く、「筋力増強の秘訣はプロテイン(タンパク質)にあり」なわけです。あれこれ言われたりもしますが、だからと言って、それが間違っている訳でもありません。
プロテインは、筋肉の成長を助けるガソリンのような存在なのです。正しく、科学的に立証されていおり、製薬会社のでっち上げた似非科学などでは決してありません。
ところであなたの体内のプロテインは、例えばホルモンの生成などに、常に消費されてしまっているのです。対抗策として、「あなたの体がプロテインを分解するよりも速く、新たなプロテインを生成して蓄える必要があるのです」と言うのは、バージニア工科大学で栄養学の教授を務めるマイケル・ハウストン博士。
伝統的な見方としては、体重1キロあたり2グラムほどのプロテインを摂取することが、筋力増強に必要とされています。ですが、マックマスター大学の最新の研究によれば、それほどの量は必要ないかもしれないとのことなのです。
前者に従えば、体重70キロの男性は140グラムほどのプロテインを毎日摂取すべきということになります。225グラムほどの鶏の胸肉、もしくはカッテージチーズ1カップ、ローストビーフ・サンドイッチをひと切れ、卵2つ、牛乳をグラス1杯、もしくは60グラム弱のピーナッツから摂れる量になります。
倫理的観点や宗教上の理由から肉類を口にしないという皆さんもご安心ください。他の食材からも、同等のプロテインを摂取することが可能です。大豆、アーモンド、レンズ豆、ほうれん草、えんどう豆、特に豆類にはプロテインが豊富です。
日々摂取するカロリーを、炭水化物、脂肪分の2種類の栄養素に分類してみましょう。
米国のストレングストレーニングとコンディショニングに関する国際的な教育団体「National Strength and Conditioning Association(NSCA)」のガイドラインによれば、プロテインからのカロリー摂取を12〜15%、炭水化物からは55〜60%、そして脂肪分で25〜30%を補うのが適当とされています。
カロリー制限を止める
適量のプロテインを補給できたら、より多くのカロリー摂取もまた必要です(プロティン摂取がカロリー摂取量に影響しますので、この2つは切っても切れない関係なのです)。
1週間に500グラムの筋肉増強を成し遂げるためには次の計算式に従って、1日に摂取すべきカロリーを求めてください(結果が出るまで2週間ほど実施してみてください。もし、それでも効果が現れなければ、1日あたりのカロリー摂取量を500グラムほど増やしましょう)。
【A】あなたの体重(ポンド計算)※1ポンド=約454グラム
【B】Aに12を掛けた数字が、あなたに必要なカロリーの量です。
【C】Bに1.6を掛けた数字が、あなたの安静代謝量(※基礎代謝量に特異動的作用によるエネルギー消費量,体温維持のための加算量を加えたエネルギー代謝量に相当する)です。
【D】筋トレ:あなたが一週間におこなうウエイト・リフティングのの分数に5を掛ける。
【E】有酸素運動:あなたが一週間におこなうランニング、サイクリング、その他のスポーツの分数に8を掛ける。
【F】DとEを足して、7で割る。
【G】CとFを足した数値が、あなたに必要な1日のカロリー摂取量です。
【H】Gに500を足すと、1週間に500グラムの筋肉を増強するのに必要な数値を算出できます。
最も大きな筋肉を鍛える
もし、あなたがまだ初心者というのなら、おおよそあらゆるワークアウトからタンパク質合成(プロテイン合成)の高い効果を得ることが可能でしょう。
しかしながら、あなたが既に十分なトレーニングの実践者であるのなら、胸・背中・脚といった大きな筋群に注力することにより、筋肉増強の効果を速めることができるのです。「スクアット」、「デッドリフト」、「プルアップ」、「ベントオーバー・ロウ」、「ベンチプレス」、「ディップ」、そして「ミリタリープレス」といった複数のリフトを組み合わせたワークアウトを行うことで、効果は飛躍的に高まるはずです。
成長を促進する細胞プロセスを刺激し、筋肥大を引き起こすのがあなたの目的でしょうから…。
研究によれば、上記のワークアウトを6〜12レップ、30〜60秒の休憩を挟んで2〜3セット行うことで、大きな効果を得ることが期待できるのです。このようなワークアウトを行うと、筋肉にダメージが生じます。そのダメージを復元するために、摂取しておいたプロテインが使われる…そして、体はその負荷に次は負けないようにと、より大きな筋肉を作り上げるのです。
筋力増強のための方法のひとつに、有酸素運動の制限もあります。もし、あなたが日課としてランニングを行っているのなら、筋力増加に困難を覚えることになるかもしれません。有酸素運動は、ジムでのトレーニングの行わない日に限るのが良いでしょう。
正しい準備運動を行う
テキサス大学の2001年の研究により、ワークアウトの前にアミノ酸と炭水化物を含んだ飲料を飲んでいるウエイトリフターのタンパク質合成は、同じ飲料をワーウアウトの後に飲むウエイトリフターよりも、効率よくなされることが判明しています。
6グラムの必須アミノ酸と35グラムのタンパク質を含んだ飲料を、ぜひともお試しください。
「細胞に養分や酸素を運搬する血液の流れが、エクササイズにより増加します。炭水化物とプロテインをミックスした飲料をワークアウト前に飲むことで、筋肉に吸収されるアミノ酸の量を増やすことになるのです」と、テキサス大学医学部ガルベストン校で運動栄養学の研究をおこなうケヴィン・ティプトン博士は、「メンズヘルス」のインタビューに応じて述べています。
「乳清タンパク質をひとさじ、およそ20グラム加えたシェイクなどが良いでしょう」と。
◇プロテイン飲料を消化できない?
100グラム強のターキー、アメリカン・チーズのスライスを全粒粉パンに挟んだサンドイッチからも、同等の栄養素を補給することができます。プロテイン20グラム、炭水化物35グラムという栄養素を、とにかく摂るようにしてください。
「流動食は吸収されやすいのです」と、カルマン博士は言います。がんばって、ワークアウトの30〜60分前に飲むように心がけましょう。1日の終りにも、飲料による栄養摂取が効果的となりますので、他と差をつけたい人はこれも実行するべし!です。
就寝前に体を作る
炭水化物とプロテインを合わせた軽食を、就寝の30分前に食べるように心がけることもおすすめです。
「睡眠中にこそカロリーが体に蓄えられ、また、筋肉内のプロテインの分解が減少する時でもある」のだと、カルマン博士は述べています。レーズンブランに低脂肪乳を加えたものをコップ1杯、もしくはカッテージチーズと小さなボウル1杯のフルーツを合わせて食べてみてください。
就寝前に、カゼイン(牛乳やチーズなどにふくまれるリンタンパクの一種)を混ぜたシェイクなどを飲むのも良いでしょう。カゼインは他の乳製品よりも、プロテインが壊れにくいことで知られています。体内により長く留まり、寝ている間の筋肉の組成に力を発揮してくれるのです。
目覚めたら、またすぐに食べましょう。
「積極的になればなるほど、良い結果を得ることができるでしょう」と、カルマン博士も言っています。
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From Men’s Health
Translation / Kazuki Kimura
※この翻訳は抄訳です。