アメリカで初めての「セクシャル・ハラスメントに対する抗議のための全国規模のストライキ」が、2018年9月18日に行われました。
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Workers at McDonald's to Stage a #MeToo-Inspired Strike
2017年秋に巻き起こった「#MeToo」運動は、ハリウッドのエンターテイメント業界において女性たちがいかに男性からのセクシャル・ハラスメントの標的となり、そしてその被害に悩まされ、さらにキャリアを妨害されてきたのかを明らかに示した、初めての組織立った運動となりました。
しかしながら、この運動が起きた当初から繰り返し投げかけられている疑問は、1年が経った今もなお、こだましているのでは事実です。ですが、#MeToo運動の影響ははたして、エンターテイメント業界の外に暮らす女性たちの日常に対しても影響を及ぼしているのでしょうか?
当然のことながら、この運動にまつわるエピソードの数々には、大きな意味と価値があります。
メディア業界に慢性的にはびこる性的暴力の存在を表面化させ、それに終止符を打つべく団結して立ち上がった女性たちに、先ずは感謝と敬意を表さねばなりません。でも、それだけで終わりにしてはなりません。ネクストステップを踏まなくては…。そう次は農業や販売業、サービス業など、他の業種で働く女性たちにも目を向けるべきでしょう。
彼女たちもまた、同様のハラスメントそして不公平なパワーバランスという問題を抱え、その被害を受けているのですから…。
しかし彼女たちにも「闘うべき足場がある」と、はたして言えるでしょうか?
そのような女性たちを救うべく現れた「#TimesUp」(=「時間切れ」を意味するハッシュタグ)という呼び掛けに応じ、すぐにエンターテイメント業界だけではなく、テック産業や金融業など、同じような暴力と不平等にさらされている、あらゆる業種で働く女性たちに対する法的支援を目的とした基金が立ち上がりました。
そしてついにまた、全国の女性たちにとって重要な意味を持つ、新たな運動が起ころうとしています。
国内11の都市で、マクドナルドの従業員たちがファーストフード業界におけるセクシャル・ハラスメントに対する抗議のために、丸1日のストライキの決行を宣言したのです。
英「ガーディアン」紙によれば、「アメリカで初めてのセクシャル・ハラスメントに対する抗議のための全国規模のストライキ」と謳われており、もうひとつの大きな提言として、1時間あたりの賃金を$15に引き上げるなど、労働環境の改善も訴えられることとなりました。
同社で働く何万人もの従業員は、最低賃金を遥かに下回る賃金での労働を強いられているのです。そして2018年9月18日のランチタイムより、デモ行進が開始されたのです。
AP通信によれば、このストライキは「ウィメンズ・コミッティー(Women’s Committee=女性委員会)」により計画されたもので、同団体は今年すでに雇用機会均等委員会(EEOC)に対し、女性の労働環境改善の訴えを起こした実績があります。
そして当日はシカゴ、ロサンゼルス、マイアミ、ニューオリンズ、セントルイス、サンフランシスコなどの都市で、従業員がデモに参加したのでした。
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マクドナルド側はAP通信に対し、「社内のポリシー、実務、そしてトレーニングを通じ、セクシャル・ハラスメント予防に取り組んでゆく」という内容の企業としての声明をメールで伝え、フランチャイズにおいても同様の取り組みがなされるとしています。
ストライキに参加する従業員たちは、セクシャル・ハラスメントに対する実行力の伴った社内制度の改革を求め、同時にその問題を監視するための「従業員、経営陣、フランチャイズ店経営者、そして国際的女性団体の代表者たち」を交えた委員会の発足を求めたのです。
この決行されたストライキが、あらゆる職種の女性たちに及ぼす影響は極めて大きなものとなる可能性を秘めています。デモが通過する際の沿道からの応援、SNSによる発信や拡散、デモ行進の妨害をしないなど、さまざまな形でのサポートも行われたようです。
従業員たちの訴えに対し、マクドナルド側がどのような対応を取るかは定かではありません。ですが、このストライキがきっかけとなり、#MeToo運動に端を発したアクションがさらに増えてゆくことが予想されています。