地中海料理はしばしば発がんのリスクを和らげ、健康で丈夫な心臓へと導くという期待とともに語られます。そしてこのたび、ここに新たに喜ばしい研究結果も加わったのです。それは…「性生活とも無関係ではない」というもの。

 ギリシャのアテネ大学の科学者たちは、地中海風の食生活を営む660人の男性を対象に調査を行いました。

 地中海の食生活の基本は、果物・野菜・豆類・魚介類・ナッツ類・そしてオリーブオイルを豊富に摂ることです。そんな生活が基本となっている地域の統計では、平均67歳の男性で勃起不全に悩む人の数は5分の1にしか過ぎなかったという結果を『ニューズウィーク誌』が報じたのでした。

 対してアメリカではどうでしょう? 40歳から70歳の男性のうち、実に52パーセントが勃起不全だという報告が、米国・メリーランド州「ジョン・ホプキンス病院」よって発表されているのです。

これはGiphyの内容です。詳細はそちらでご確認いただけます。

 アテネ大学の研究報告は、ドイツのミューニックで開かれた欧州心臓病学会にて行われたものです。

 さきほどの『ニューズウィーク』誌の記事の内容に触れれば、1週間あたり大さじ9杯のオリーブオイル、13種の野菜、6回の果物、魚介類は3種類、2食分の豆類を食べることで、勃起不全のリスクが軽減されるというのです。その中でも、血管の健康を保つ効果のあるオリーブオイルが特に効果が高いということ。男性器の勃起と血流の関係は切っても切れない関係にあるのですから、とても重要なことは察することはできるでしょう。

「地中海料理を常食とし、特に多量のオリーブオイルを摂っている男性について言えば、高齢期における勃起不全のリスクが40パーセントも減少するのです」と名言するのは、研究グループを率いたクリスティーナ・クリソホー博士です。

「例えばバイアグラのような薬品に頼らずとも、男性が“元気”な状態を長く維持できるということです」とのことなのです。しかし、本当に食生活が“元気”の秘訣となりうるのでしょうか?

実際に効果はあるのでしょうか?

「オリーブオイルそのものに、治癒力を高めたり勃起不全を防いだりする、なんらかの神秘的な力が宿っていると考えるべきではありません」と今回のメールでの取材に答えてくれたのは、ヒューストン・メソジスト病院の泌尿器科医であるネイサン・スターク博士

 スタテンアイランド大学病院で男性性機能障害および泌尿器系補綴(ほてつ)の分野の責任者であるミゲル・ビネダ博士もまた、「食材とオリーブオイルを組み合わせることで物事が解決する訳ではない」と、スターク博士の考えに合意します。

「勃起障害を治す、もしくは防ぐための即効薬など存在しないことを知ることは重要です」と、ピネダ博士も取材に答えています。

「オリーブオイルが勃起障害に効くという見出しに釣られて、不健康な食生活を改善するでもなく、運動不足を反省するでもなく、ただオリーブオイルを摂ることで結果を求める人々が現れないか心配です」と懸念しています。

 充分な運動や健康な地中海の食生活を試み、より健康な習慣をつけることで、インポテンツが改善する可能性があるという話なのです。

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 地中海風の食習慣を取り入れることにより、良質な脂肪分とじゅうぶんな果物、野菜を摂ることができるのですから、心臓にとって良い影響があることは大いに期待できるでしょう。

 だからこそ、「心臓と血液系にとって好ましいことは、勃起機能にとっても好ましいのは当然と言えます。なにしろ勃起は、陰茎動脈に流れる血液によってなされるわけですから…」と、スターク博士は説明しています。

「その観点からすれば、研究報告には賛同できます」と。

 さらに、地中海料理を摂ることで減量の効果もあり、それもまた勃起障害の改善と無関係ではないのです。このことは、「メンズヘルス」が過去にも取り上げた記事『勃起不全に対処する11の方法』に掲載した通りです。

 もし、あなたが勃起不全に悩んでおり、さらに適正体重よりも20パーセント以上オーバーしているのであれば、まずは健康的な食生活に改善するよう努力することから始めることです。そこから期待できる効果が見えてくるのではないでしょうか。

From MEN'S HEALTH
BY MELISSA MATTHEWS