2018.09.19

いま窮地に立つ米アメフト ― NFLにとって、目を離すことができない事態だ!

選手の肉体的、精神的負担はこれまで以上に大きい…。彼らに尊敬の念を抱かずにはいられません。
 
※本記事は、アメリカで33年間アメフトに携わっているスポーツジャーナリスト、オースティン・マーフィ氏による寄稿になります。

 
The NFL Is at a Crossroads — and We Can't Look Away 
 

 日本のことではありません…いま、アメリカで最上位に位置するプロアメリカンフットボールリーグであるNFL(ナショナル・フットボール・リーグ)に、何かが起きているのです。2018年9月6日(木)に、第52回スーパーボウルを制した王者フィラデルフィア・イーグルスがアトランタ・ファルコンズを迎え撃つという“バード対決”という第一戦から2018年NFLレギュラーシーズンが幕を開けたばかりですが…。それでは、それが何か?をまとめてみましょう。
 
 さっそく2018年9月9日(日)に、人種差別に抗議するため国歌斉唱時に起立を拒否するという問題が発生しました。この日、フロリダ州に本拠地を置くマイアミ・ドルフィンズのワイドレシーバーであるケニー・スティルス選手とアルバート・ウィルソン選手の2選手は、地面に膝をついて起立を拒否したのでした。
  
 このような選手たちによる起立拒否のムーブメントは2016年から始まったものであり、2年の歳月を経た2018年シーズンも開幕早々発生しました。
 

 

 その発端となった選手が、当時サンフランシスコ・49ersに所属していたコリン・キャパニック選手です。彼は2016年8月26日に行われたプレシーズンマッチで、試合前の国歌斉唱でベンチに座ったまま立ち上がらず、起立を拒否したのでした。その理由を、「黒人や有色人種への差別がまかり通る国に敬意は払えない」と述べ、人種差別に対しての抗議を表現したのです。それらはTwitterにも投稿されて物議を醸し、賛否両論が飛び交いました。
 
 そこで当時のチームからの声明では、「宗教や表現の自由をうたう米国の精神に基づき、個人が国歌演奏に参加するかしないか選択する権利を認める」と同選手の決断を尊重すると発表。NFL側のほうも、「演奏中に選手たちが起立することを奨励するが強制ではない」と声明で指摘しました。その後も起立を拒否し続けているうちに、賛同する他の選手たちも増えるのです。そして、同調するようにNFL全体に拡大。すると、この彼らの行為に対してトランプ大統領がSNSで批判するなどし、社会問題にまで発展していったのでした…。

 
 するとNFLは今シーズンから、新ルールを導入することを決定。選手らに起立を義務づけるとともに、違反すれば罰金を科すことにしたのです。しかし、屈強な選手たちは、これに反発。折り合うことなくシーズン入りしたというわけです。
  

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Photograph / Getty Images
 
 
 
 しかし一方で、われわれはこの素晴らしいスポーツを楽しむということは忘れてはいけないのです。
 
 アメリカ国民にとって、最高の娯楽スポーツに位置づけられているのですから…。たとえ、このスポーツを運営している”強欲な資産家”や権力者の存在を知っていようとも、このスポーツ自体に関して言えば、私(筆者)は愛せずにはいられないのです。
  
 私が大学2年生のときのことです。私は父に、「フットボールを辞める」と言うと、父は思わず泣き出してしまったのです。しかし、私の中ではフットボールをやり尽くしたと感じでいたので、後悔はありませんでした。しかし、私の最初の仕事は、フィラデルフィア郊外にある「Bucks County Courier Times(バックス・カウンティー・クーリエ・タイムス)」でのフットボール取材でした(笑)。私はせっかく、この世界から足を洗おうと思っていたのですが…。フットボールは、私を解放してくれなかったのです。

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From MEN'S HEALTH
By AUSTIN MURPHY
On SEP 5, 2018

 
Translation / Kazuhiro Uchida
※この翻訳は抄訳です。
Edit / Lumiere SATO, Kaz OGAWA

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