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「乳首の痛み」と聞くと女性の問題と思われがちですが、実際はそうではありません。男性でも乳首が過敏になることはあり、出血や擦り傷、その他の痛みを伴う症状が現れることもあるのです。
とはいえ、そんな突然の乳首の痛みに襲われたとしても、パニックに陥る必要はありません。基本的には何らかの合理的な説明がつき、まったく無害なこともありますので。もちろん、医者の診断が必要な健康上の問題を示唆している可能性もありますが...。
男性の乳首の痛みや違和感にはいくつかの原因があり、幸い基本的には、予防・治療が可能なものです。今回は男性の乳首に痛みがある場合に考えられる原因と、その対策を解説します。
【乳首の痛みの原因1】トレーニングウエアの素材が合っていない
「ランニングやエクササイズでの衣服との摩擦は、男性の乳首の痛みの最も一般的な原因の1つです。このような症状にはそのまま、『Runner's nipple(ランナーの乳首)』という名前がつけられています」と語るのは、ノースウェル・ヘルスで救急医療の助教授を務め、レノックスヒル病院の救急医でもあるロバート・グラッター医師。
グラッター医師によれば、衣服との摩擦は他にも乳首の刺痛や過敏化、擦り傷や出血を伴う皮膚の損傷などを引き起こすことがあると言います。
「ランニング以外にも、サッカーやラグビー、プライオメトリクストレーニング、ボクシング、ズンバ(zumba)など多くの垂直移動や水平移動を伴う運動を定期的に行う人に、この症状は見られます」と、グラッター医師は説明します。
このような摩擦は、タイトなシャツやタンクトップで起こりやすく、綿の場合でも起こると言います。ストレッチやヨガなど発汗の激しくない運動では、スパンデックス生地のウエアがより適切かもしれません。この摩擦に関しての度合は、乳首の形状にもある程度影響されるとのこと。グラッター医師によれば、突出した乳首では洋服に接触することが多いため、しばしば摩擦のリスクが高まると言っています。
対策としては、ナイキ「Dri-Fit」のような最新の合成素材を着ることでしょう。これなら体にぴったりフィットしつつも、体との摩擦が起こる可能性を下げてくれます。
「私のほとんどの患者はフィットネスウエアとして、タイトなシャツやタンクトップを好んでいることがわかりました。また、ほとんどの男性は乳首の摩擦を減らせる大きめサイズのシャツを好んでいることもわかりました」、とグラッター医師。
また、一部の男性は応急処置的な対策として、ニップガードやバンドエイドで乳首をカバーして保護することもあるそうです。
【乳首の痛みの原因2】新品の衣服や生地へのアレルギー
運動をしていない人でも、乳首が摩擦を起こして痛むことはあります。
「男性の乳首にとって、新品の衣服から特に刺激を受ける場合が多々あります。目の粗い綿や化学処理された生地などは、摩擦係数が多い。そこで、かなりの刺激になることがあります。また、すぐさまアレルギーを引き起こしたり、あるいは接触性皮膚炎の症状が出ることもあるのです」とグラッター医師。特にアトピーや乾燥肌になったことがある人は、こういった症状は出やすいと言います。
極端な場合には、じんましんや水疱、乾皮症、火傷や腫れのような症状が出ることもあります。
「そのままにしておくと皮膚の赤みや落屑を引き起こし、火傷に似た水ぶくれができることもあります。こうなった場合、刺激を起こした服を着るのは避けたほうがよく、冷湿布で冷やして医者に見せたほうがいいでしょう」と、グラッター医師は注意しています。
「また、ウール素材の服を着ることも、ほどほどにしておいた方がいいでしょう。この素材は汗や湿気を蓄積し、それと相まって刺激をもたらしますので…。ウールセーターは、乳首を過度に刺激するという主張も多いのです。シンプルな対策としては、その下に「Drii-Fit」のようなシャツを着ることになります。これなら乳首は保護されますし、皮膚の損傷や2次的感染をもたらす湿気も吸収してくれますから…」と、グラッター医師は続けて話してくれました。
そもそもウールを1枚だけで着る人は少ないかもしれません。が、とにかく重ね着は有効となるようです。
【乳首の痛みの原因3】乳首の感染症
乳首の感染症は、体毛の処理による刺激や乳毛へのカミソリの使用などで引き起こされることがあります。
「体毛処理の鋭いカミソリの刃によって、切り傷や刺し傷ができた経験のある方も少なくないでしょう。乳首や疎性結合組織の傷は、かなりの出血や痛みをもたらすことがありますので要注意です。この組織には多くの血管があり、神経が走っていますから…」と、グリッター医師は説明します。
そして、このような傷が感染症の原因になる可能性があるのです。
「乳首の周辺が火照り、圧痛(あっつう)や腫れがある場合は、できるだけ早く医師に相談するべきです。熱や悪寒(おかん)がある場合、かなり差し迫った症状なので近所の救急病院に行ったほうがいいでしょう」。
前述の摩擦による痛みに比べて治療は厄介ですが、心配することはありません。
「乳首の皮膚感染の治療には、抗生物質が必要になるでしょう。一連の治療は通常は7〜10日で終わります」と、グリッター医師は説明しています。
【乳首の痛みの原因4】女性化乳房症
「女性化乳房症は、男性の胸部に過度の脂肪組織があるときに発症します」と、グリッター医師。
これにはエストロゲンとテストステロンのバランスの乱れ、薬物治療やアルコール摂取などのライフスタイルの変化など、いくつかの生理的原因があります。
「青年期の女性化乳房症は、珍しいことではありません。幸い、これは薬物治療や外科的な介入の必要なく、通常は1〜2年でもとに戻ります」と、グリッター医師は説明します。
米国ミネソタ州ロチェスター市に本部を置く総合病院「メイヨークリニック」によれば、あまり一般的ではないものの、女性化乳房症は成年男性が発症することもあり、そのリスクは年齢とともに高まるそうです。50〜69歳の男性のおよそ4人に1人が、この症状に何らかの影響を受けると言います。
「およそ10〜20%のケースでは、薬物治療が女性化乳房症の原因となります。多くの場合、ベンゾジアゼピン系として知られる『バリウム』、『ザナックス』などの抗不安薬が原因となっています」と、グリッター医師は言います。
単純にこれらの薬を飲むことをやめるだけでも、1〜2カ月で変化が訪れるでしょう。
また、グリッター医師によれば、過度のアルコール摂取が女性化乳房症の原因となることもあるそうです。アルコールにフィトエストロゲン(女性ホルモンのエストロゲンに化学構造が似た成分)が含まれているためで、女性化乳房症が飲み過ぎを示唆している可能性もしばしばあると言います。
女性乳房症への薬物治療は間違いなく有効ですが、体の変化に気づいてから最初の1〜2年のうちに治療を開始することが重要です。
「薬物治療を6〜12カ月続けても効果が見られない場合、あるいは女性化乳房症を発症してから、かなりの期間が経っている場合には、乳房縮小手術も1つの選択肢とあります」とグリッター医師は語ってくれました。
【乳首の痛みの原因5】のう胞
「のう胞」とは、乳腺から分泌された液体が乳管内に溜まり、袋状になった良性の腫瘤(しゅりゅう)です。
グリッター医師によれば、男性の場合でも寒冷な気候やアトピーによる乳首の乾燥や摩擦によって、胸部にのう胞が出現したり乳房組織が細菌感染することがあると言います。こういった場合、乳首の皮膚にひび割れや小さな開口部ができ、皮膚細菌が入り込む原因となる可能性が高まります。
「細菌感染は乳腺炎や蜂巣炎を引き起こし、抗生物質や温罨法による治療が必要になることがあります」と、グリッター医師。
【乳首の痛みの原因6】乳がん
ここまでに触れたどの原因にも当てはまらない場合、乳首の痛みはより深刻な疾患を示唆している可能性があります。
「痛みのないしこりや乳房組織の肥厚は、稀に男性乳がんの徴候である可能性もあります」とグラッター医師。ただしグラッター医師は、「男性が乳がんになることはかなり稀だ」と強調しています。「米国乳がん基金」によれば、「乳がん患者のうち男性の占める割合は1%以下である」というデータが出ています。
通常こういったしこりに痛みはありませんが、ときに圧痛を伴うこともあります。癌(がん)が広がれば、脇の下やリンパ節、鎖骨の周りが腫れることもあります。極端な場合、男性乳がんが進行すれば皮膚潰瘍(ひふかいよう)ができることもあるそうです。
【乳首の痛みの原因7】乳房パジェット病
「パジェット病」とは、乳首と乳輪に影響を及ぼす珍しいがんの一種であり、周辺の皮膚のかさつきやはがれ、痛みなどをもたらします。
「国立衛生研究所(National Institute of Health)」によれば、この病気の症状はアトピーなどとも似ているため、誤って診断されることもあるということ。パジェット病を患うほとんどの人は、乳房組織にがん性腫瘍が出現しますが、この症状を引き起こす原因については医者たちもはっきりわかっていません。
乳首の過敏さや痛みが解決しない場合、医者の診断を受けるべきです。
このように男性の乳房に関しても、さまざまなリスクがあります。グラッター医師は、「何らかの深刻な疾患に発展し得る問題を早期発見するためにも、男性も毎月自分の胸や乳首、周囲の組織を自己検診するように」とおすすめています。
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Source / Men's Health
Translation / Wataru Nakamura
※この翻訳は抄訳です。