「体液に関しての悩みがある」という方は、そうたくさんいないでしょう。ですが、「おへそからなぞの液体が出てくる」という症状に関しては、聴いたことのある方も少ないはずです。

現役の医師が記事を監修

「普通のへその人も、出べその人も、よくある、へそのかさぶたのようなものは経験したことはあることでしょう。これは人間の皮膚細胞が定期的に再生しているためにできるものです」。そう語るのは皮膚科医で、オンライン医療コンサルティング企業ジャストドク・ドットコムのチーフドクターであるアディティ・ジャー医師です。

こういったへそのかさぶたは、入浴によって洗い流されます。しかし、この一部はへそのひだに詰まることもあり、乾燥皮膚として溜まることがあります。これは朝起きたときに出る“目やに”のようなものです。

しかし、ジャー医師によれば、「こういったへそからの分泌物が乾燥したものではなく、液体である場合、それは体に何らかの問題が起きていることを示している可能性がある」と言います。このような場合、原因が分からないからといって、むやみにへそを手でほじくったりすべきではありません。

血液に乗って細菌が全身にまわり、深刻な症状を引き起こす可能性が…。

「へそについては、どんな医師に話を聞いても『いじくり回すべきではない』という答えが返ってくるでしょう。へそは身体の中で、最も血液の排出に関与する部分だからです。つまり、あらゆる腹部の静脈がへその部分から分岐するということです。このため、へそ周りで何らかの感染があれば血液に乗って細菌が全身にまわり、深刻な症状を引き起こす可能性があります」。

へそから液体が出てくることは、正常な症状ではありません。このため、こういった症状が起こった場合はすぐに医師の診察を受けるべきです。

もっとも可能性が高いのは、何らかの感染症にかかっているということです。こういった感染症は、腹部の手術が原因の可能性もありますが、へそ周りをきれいにするために、雑にいじくり回したことでかかる場合もあります。

「へそをいじくることで、擦り傷や引っかき傷ができることがあります。そして、細菌が中に入り、血流中に侵入する可能性もあるのです」と、ジャー医師は注意します。

普通、へそから出てくる液体は青白かったり、くすんだ黄色や薄緑であったりなど、風邪をひいたときの鼻水のようにも見えるかもしれません。また、この液体は不快な酸っぱい匂いを放つこともあり、これも何らかの感染症を示唆するサインでもあります。

臍(へそ)からの液体は感染症が原因になっている可能性が高い

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この他にも、へそ周りのかゆみを伴う発疹や腫れ、痛みなども感染症の可能性を強く示しています。こういった症状は、お腹まわりの嚢胞(のうほう=軟組織内に病的に形成された液状成分を持ち、液状成分周囲を固有の単層上皮に覆われている球状の嚢状物を指します)の治療や、ヘルニア手術などに伴って出てくることもあります。いずれにしても、医師の診断を受けるべきです。

改善する方法は?

一方ジャー医師は、へそからの液体と糖尿病のつながりを指摘する説については否定的です。

「『へそからの液体が糖尿病の示唆している』という話を聞いたことがある人もいるかもしれませんが、これは単なる神話に過ぎません。高血糖とカンジダ症(へそ周りに影響が出ることもある感染症)のつながりを示唆する一部の研究に基づく話なのかもしれませんが、このつながりは単なるこじつけです」。

ジャー医師の主張するように、へそからの液体は感染症が原因になっている可能性が大です。この場合、普通は抗生物質で治療します。とにかく、この液体を長い間放置しないようにしましょう。診断の遅れは細菌感染や敗血症をもたらす可能性がありますので。

Source / Men's Health US
Translation / Wataru Nakamura
※この翻訳は抄訳です。