昨今の日本では日傘ばかりでなく、日焼け止めクリームやUVカットが施されたアイテムなどの着用と…日本人の男女問わず日焼け対策はしっかりとする傾向が高まっています。その裏には、シミやそばかす防ぎ、さらに白い肌を維持するという意識が強まっているからでしょう。

 一方で欧米に目を向けてみると、それは対照的な答えになります。

 老若男女問わず、こんがりと小麦色に日焼けした肌、バカンスをしっかりと取っているという証となり、ある種のステータスのひとつとしてみなされています。異性を引きつける要因のひとつという考え方もまだまだ強いようで、照りつける太陽の下、こぞって白い肌に日焼けを行っているのです…。

 そんななか英国では、治療がより難しい「皮膚がん」について…その発症する可能性の高い遺伝的特徴に関する研究結果が発表されています。

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 The Genetic Trait That Might Make You More Likely to Develop Harder-To-Treat Skin Cancer  

「赤毛の髪と明るい色の肌(白い肌)をもった人は、皮膚がんの原因になるDNAの変異が生じる可能性が高い」、と示唆する研究結果が、2016年7月に英国で発表されました。

 この研究を実施した研究者たちは、MC1R遺伝子(メラノコルチン1受容体というタンパク質)の特定の変種をもつ人々と、そしてMC1Rの通常のコピーをもつ人々の両方から採取し、400以上の悪性黒色腫(メラノーマ)を分析しました。

 ちなみにこの「MC1R遺伝子」は、髪の毛の色に強い影響をもつものです。

 この「MC1R遺伝子」の変種のコピーがふたつある人は、「赤い髪とそばかすの多い白い肌のもち主」になります。この肌は日光にあたると、色が黒くなる代わりに赤くなってしまうのです。

 研究者たちは「赤い髪の遺伝子」をもつ人が、通常の「MC1R遺伝子」をもつ人に比べて、日光に当たった場合に遺伝子の変異が起こる確率が42%も高いことを見つけ出しました。

これはGiphyの内容です。詳細はそちらでご確認いただけます。

 この42%も高いという確率増加は、一般の人(通常のMC1R遺伝子をもつ人)の21年分の老化に相当するそうです。つまり、他の人とは比べ物にならないくらい長い時間、日光に曝されて過ごしたことになるのです。

「日光へ肌をさらすことは、悪性黒色腫の発病につながるリスクの第1位である」と、この研究論文をまとめたデビッド・アダムズ博士は述べています。彼はサンガー研究所のシニア・グループ・リーダーを務めています。

「赤毛の人たちは、肌の中に紫外線の侵入を防ぐ色素がないせいで、それだけ紫外線がDNAに侵入しやすなります。そして、紫外線の侵入によって遺伝子が異常をきたし、皮膚がんの原因になり得る変異につながる可能性があるのです」とアダムズ博士は説明します。

 今回の研究結果で導き出された「DNAの変異の増加」は、ふたつの重要なことを教えてくれます。「ひとつは、赤毛の人たちはそもそも悪性黒色腫になりやすいということです」とアダムズ博士は述べています。

 同時に、変異によって腫瘍が予想しにくくなる可能性があることから、赤毛の人たちがかかる悪性黒色腫は大きくなるスピードが速く、治療もより難しくなる可能性があることも示しています。

 しかし意外なことに、赤毛の人たち以外にも悪性黒色腫のリスクを抱えている人たちがいます。

これはGiphyの内容です。詳細はそちらでご確認いただけます。

「髪の色がブロンドあるいはブルネットで、そばかすの多い白い肌をした人たちも、赤毛の遺伝子のコピーの片方を有している可能性があります。そしてそのせいで、彼らも赤毛の人たちと同じくらい遺伝子の変異の影響を受けやすいのです」と、アダムズ博士。

 そこで気になるのは、自分がどうやって「皮膚がん」のリスクを知るかということでしょう。

 そばかすがある人は、この「MC1R遺伝子」の片方のコピーがあることを示す重要な手がかりだとアダムズ博士は言います。そして当然、両親のどちらかが赤毛の場合、自信が赤毛でなくてもその子供は「MC1R遺伝子」の変種のコピーがふたつあるという遺伝子をもっています。

 自分が赤毛の人は、日焼け防止に特別気を配る必要があります。

「外出時には、SPF(UV-B(=紫外線B波)の防止効果を表す目安の数値)が最低30はある日焼け止めを使用し、また、数時間ごとに塗り直すようにしましょう」と、アダムズ博士は注意をうながしています。

 この遺伝子の変種をもつ人たちは、肌の色が比較的黒い人たちよりも余計に日焼け対策を講じる必要があるのです。

 日差しがもっとも強い午前10時から午後4時の間は、【1】帽子を被る、【2】サングラスをかける、【3】長袖シャツを着る、【4】日陰にいる、などの対策を心がけてください。


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From Men's Health
By Alisa Hrustic
Aug 9, 2016