「不眠不休で頑張ろう」という考えは、もう見直したほうがいいかもしれません。

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 How Long Can You Go Without Sleep? You Don't Want to Find Out

 国立睡眠財団(National Sleep Foundation)のガイドラインにより、「1日あたり7~9時間の睡眠をとることが望ましい」という理想の睡眠時間については、皆さんすでにご存じのことと思います。

 例えば筋肉や細胞の修復、記憶の固定化、そしてホルモンの活性化などのためには、規則正しい睡眠が必要であるということもここで改めて言うまでもありません。

 しかしながら…ここでは、さらに正直になりましょう。

 試験勉強に追われたり、仕事の締め切りが迫っていたり、そのような状況で「とても眠っている場合ではない!」という日だって、実はちょいちょいあるはずです。では、人間はいったい何時間、不眠で活動することが可能なのでしょうか?

これはGiphyの内容です。詳細はそちらでご確認いただけます。

 不眠時間の2018年時点での「世界記録」保持者であるランディー・ガードナー氏は、11日間と25分という不眠記録を持っています。

 ところが、「ザ・スリープ・ソリューション(The Sleep Solution)」の著者としても知られる睡眠の専門家のW・クリストファー・ウィンター博士は、この記録には疑わしい点があると指摘しています。

「記録に挑戦する中で、同氏が定期的に“マイクロスリープ”の状態に入っていたと認める審査員がいるのです」と、ウィンター博士は言っています。「マイクロスリープ」とは、ほんの数秒間だけ人が陥る睡眠状態を意味します。

 仮に数日間の不眠を貫けるのだとしても、そのことが精神的健康に与える悪影響について知っておかなければなりません。

 例えばこのような事例があります。

 1959年、児童の生活支援を目的としたチャリティー番組を行うとして、ニューヨークのタイムズスクエアに設置したガラス張りの放送スタジオから、実に201時間ぶっ通しの生放送に挑戦したピーター・トリップ氏というラジオ番組の司会者がいました。

 3日目の放送中、トリップ氏の様子が怪しくなります。

 周囲の人々に対する悪口を言いはじめ、蜘蛛の幻覚に悩まされるといった状態に陥ったのです。それでもどうにか番組をやり遂げ、その後間もなくして、一応の回復をした同氏ではありましたが、その後の彼はもはや別人のようになってしまったと家族は証言しています。

 インターネット上には、人々の不眠のエピソードや、毎晩1時間しか眠ることができない人々の話などが多く流れています。

 しかし、ウィンター博士は、このようなエピソードに対しても疑いの目を向けています。「医者が(もしくは寝床を共にするパートナーが)なんと言おうとも、自分は眠れていないのだと言い張って譲らない人は少なくありません」と、ウィンター博士は言います。1晩で1時間しか眠れないと思い込んでいる人も、実はその夜の間、何度となく短い眠りに落ちている可能性が高いのです。

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 真実をお伝えするならば、何日間も不眠のまま過ごすなどということは、肉体的に不可能なのです。

 脳が強制的に、私たちを睡眠状態にしてしまうからです。あなたがどれだけ頑張って起きていようと思っても、脳がそれを許さないのです。その点に関して、私たち人間にできることはほとんどありません。それよりも、長期間の睡眠不足による健康リスクを心配すべきでしょう。

ザ・スリープ・ドクター(The Sleep Doctor)』というウェブサイトを運営する睡眠問題の専門家のマイケル・J・ブルース博士によれば、体重増加、生殖能力の低下、免疫能力の低下など、睡眠不足によって引き起こされる副作用は数多くあると言っています。さらに睡眠不足による運転は、交通事故の大きな原因になってしまいます。

 人がどれだけ長く不眠状態を続けることができるかを明確な数字で答えることはできません。ですが、「とにかくそのような実験は行うだけ無駄である」と、ウィンター博士は言っています。

「私自身の記録は48時間です。最後のほうでは幻聴で母親の声が聞こえてきたりして、大変でした…楽しいことなんてありませんよ!」と、ウィンター博士も身をもって断言してくれました。

Men's Health(原文:English)
BY MARIO ABAD
SEP 20, 2018
Translation / Kazuki Kimura
※この翻訳は抄訳です。
Edit / Mirei Uchihori,Kaz Ogawa