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40代からも健康な体を維持する7つのコツ ― 生活習慣や食事改善で健康な身体に
40歳を過ぎたアスリートにとって不安が募っていくこの先、最高の身体のコンディションを保つためには何をすべきなのでしょうか?
今回、アメリカの数多くの主要ニュース番組に出演するジャーナリストで、「エリート選手の寿命」に関して著書を出している41歳のジェフ・ベルコビチ氏が、誰にでもできる方法を授けてくれます。彼の生の声をお聞きください。
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私(筆者ベルコビチ氏)はアスリートとしては、別にエリートというわけではありません。
中年として衰える身体に危機感を覚えつつ、ランニング、サイクリング、そしてサッカーやテニスなどを楽しんでいるというごく普通の男性です。できれば週に2度ほど、激しい運動をおこなった後でもなお、活発に動き回る娘との遊びに、難なく付き合えるようなエネルギーが残っているようであるなら、私にとっては大満足なのです。
それが、現在の私にとっての判断基準と言えるのです。プロとして肉体を鍛える人であれば、予算についても、生活時間についても、とにかくカラダ優先で考えていれば良いかもしれませんけどね。何十万円も何百万円もの大金を費やし、遠赤外線加工の衣装を身に着けて酸素カプセルに入りたいというのであれえば、どうぞご自由に…。
でも私にとっては、必要な効果を得られるもの、そして安全なもの、さらには私のスケジュールと予算と見合うものでどうにかするしかありませんよね。ということで毎日働き、腰痛もちで、赤ちゃんの生まれたばかりのこの男性の話に耳を傾けてみてください。これから紹介する事柄は、私の新著『PLAY ON』の執筆のための2年間におよぶ取材で、私自身の身を挺して学びとったものでもありますので…。
ピリオダイズ式調整法(期間・時間に分けること)
いきなり難しい単語を出してきたと思って、ここでこのページへの興味を失ったりしないでくださいね。
「ピリオダイズ」とはピリオドを打つということ。それは期間を分けることによって、計画性と段階ごとの目標をもちながら時間を分けて取り組むことで、モチベーションを維持しながら続けていこうというものになります。それを無視することのリスクといえば…サッカー指導者のレイモンド・フェルハイエン氏、それから運動学者のトレント・ステリングワーフ博士への取材時に、私の頭の中に刻み込まれました。
傑出したアスリートにとって、「ピリオダイズ」とは肉体を鍛えるための計画的なプログラムを組むこと、それからフィトネスのピークを長く維持するための手法を意味しているのです。
ですが、私のような人間にとっては、それはより基本的な意味をもっているのです。例えば段階的にトレーニングの質を高めてゆくこと、特定の目的達成のために身体を仕上げてゆくこと、老化を回避することなどです。もし私がサッカーに誘われたとして、身体のコンディションが整っていなかったり、プレーをためらうような不調を抱えていたりすれば、私はその誘いを断るでしょう。
ベンチから試合を眺めるのは楽しくありません。ですがそれ以上に、無理にプレーすることによって故障してしまい、シーズンをまるまる棒に振ってしまったら最悪ですので…。
40代の運動:回復に重点をおく
重量挙げのエリート選手たちと私たちとでは、40代の運動の仕上げ方が異なります。負荷をかけることと、それをリカバリーすることの大切さについて、専門家はこのように言っています。
「負荷を一度かけたら、必ずそれを取り除かなければならない」と言うのです。私なりに次のように置き換えてみました。例えば私たちにとって、「負荷を取り除く」のはヨガやフォームローリング、アイシング、水中ランニング、それから瞑想(メディテーション)のようなものです。回復を助け、特定の動きで身体についてしまった癖を直すことによって、ケガのリスクを軽減させるのです。
私もかつては運動後のハッピーアワーを、意味のあるクールダウンだと考えていました。いまではそれに代わって、ストレッチやセルフ・マッサージを欠かすことなく、クローゼットにはそのための紐類やバンド類、フォームローラーやらクロス用のボールといった器具で一杯です。
しかしこれには、時間の余裕をもてなければ難しいことになります。なので、多くの人はトレーニング後のストレッチを軽視してしまうのですが、それは良くない代償行為となるに他ならないのです。
ハードに、そして単純に
筋トレの一定量は高密度であるべきですが、物事にはバランスが重要です。軽度のトレーニングを、できれば80%ほどは組み入れるべきなのです。
両極性のあるトレーニングプログラムに、私自身こだわっているわけではありません。ですが、それでもステリングワーフ博士の指摘する「アスリートが犯しがちな間違い」は、なるべく避けるよう心掛けています。「余裕のある日には激しすぎる運動を行うものの、余裕のない日には同レベルの運動をしない」と、私が日々注意していることがその例となります。
そんなわけで私はハードな筋トレをより高密度に、しかし、短時間で行えるものに変えました。高齢アスリートのエリートたちのトレーニングは熟考を重ねた末に時間を制限し、特定の技術の向上を意識し、フィットネス上の弱点の克服を目的として行われるものです。私はトレーニングを始めるまえに2分ほどの時間をとり、付箋にその日のプランをメモすることを習慣にしています。多少でも意識的になることで、長続きする習慣ができるのです。
筋肉強化に効果的なものを食べる
アスリート向けとして提案されている“栄養学“の多くは、デタラメです。
健康的な食生活をおくっている限り、種類の異なる果物や野菜、そしてプロテインと全粒粉を多く摂り、砂糖と加工食品を食べすぎないようにしていれば、あなたはにはなんの問題もないはずです。しかし、「加齢とともに筋力を失いたくない」と言うのであれば、いくつかの指針を決めるのも悪くない判断でしょう。
私の場合、トライアスロン選手であり栄養学の専門家であるアスカー・ユンケンドロップ博士の助言に従って、プロテインの量と摂取頻度を増やしました。「ジョンソン&ジョンソン・ヒューマン・パフォーマンス・インスティテュート」の運動生理学のディレクターであるクリス・ジョーダン博士によれば、プロテインの摂取量を増やすことは、血糖値を適切に保つのにも役立ちとのことです。
砂糖の少ないオート麦とチョコレートチップのクッキーに、アーモンドバターを少々つけて食べてみるのはどうでしょうか。私は毎日のワークアウト後に飲むスムージーや牛乳に、3〜5ミリグラムのクレアチン・パウダーを混ぜるようにしています。個人的ではありますが、筋力を維持するために、その効果を実感できるほどですので…。
小さなことでも気にかける
これはおそらく、私たちの全員に当てはまることでもあります。
長期離脱を余儀なくするほどの故障を経験したことのあるアスリートにとって最大の課題となるのは、トレーニングによって得る別のストレスです。つまり、強化したい部位のためのトレーニングなのですが、その代償として、その他の部位にもストレスがかかっているのです。ときにそのストレスは、新たな故障を生み出すこともあるのです。
もしあなたが、(空気圧を利用して自重を免荷した状態でトレーニングができるトレッドミルを手掛ける)「AlterG」社製の反重力ランニングマシンや、カーツ社製の加圧ベルトを利用できるのなら問題なく最高と言える環境と言えるでしょう。もしそうでなくても…、実は代わりになるものはたくさんあるのです。
エクササイズに用いるウエイトの重量を上げる代わりに、例えばメディシンボールを手の下において腕立て伏せを行うことでバランス感覚を養ったり、スクワットの際に抵抗バンドを膝に装備したりすることによる余剰効果も期待できるのです。無視されがちな小さな筋肉群へ注意を向けることで、基礎体力を向上させ、故障しない身体を作ることも大切なのです。
関連記事:「ランナー膝(腸脛靱帯炎)」と言われる膝の痛みの原因と対処法
新たなスキルを学ぶ
同じトレーニングばかりを毎日、そして何年間も続けることは、あなたの身体を蝕むことにも繋がるということ、ご存じですか?
異なったトレーニングを取り入れることこそ、最大の解決策となります。われわれはアスリートのエリートたちに憧れを抱きます。そしてときには、彼らに嫉妬を覚えることもあるでしょう。しかし彼らも、私たちを羨むべきかもしれません。
何か新しいことに挑戦し、そして熱中し、それから徐々に慣れてゆくこと…これほど素晴らしいことはありません。これだけ発展した科学ですが、私たちを若返らせる術は未だに得ていません。ただ、いま言えることは、なにか好きな方法を見つけ、それを我が物にしてゆくこと…それこそが、私たちが若々しさを維持するための最善のことではないでしょうか。
身体を「いじめないで」走る
「ホカオネオネ(Hoka One One)」や「アルトラ(Altra)」といったメーカーのランニング・シューズを履いた高齢のランナーの姿を、よく見かけるようになりました。自分の足が爪先から着地しているのか、踵から着地しているのかも分からないような、分厚いソールのシューズです。
難解な研究報告を苦労して読んだり、生化学者の話を聞いたりしてゆくなかで、私はある結論に達しました。
クッションの少ない靴底で、さらに踵ではなく、爪先や足の中央部で地面を捉えるようにすることこそメリットがあるのだと気づいたのです。あなたの脚はバネのようなもの。バネは硬ければ硬いほど、地面を蹴ったときの反発は力となって身体に伝わり、促進力が増すのですから…(でも、それだけ脚にストレスがかかることは忘れずにいてください。それには限度を知ることで、アフターケアの重要性もです)。
《注意点》
走り方を変えることを強く望むのなら、付き添ってくれるコーチを先ず見つけましょう。「自分が自然と行う走り方こそ、その人にとって最もエネルギー効率の高い走り方だ」という最近の研究結果もあります。生化学者のジェイ・ディカリー博士によれば、「地面の蹴り方よりも、ストライドに問題がある場合も少なくありません」とのことです。「ランナーたちの多くが、オーバーストライドで走っているのです」と、ディカリー博士は指摘しています。ストライドの幅を狭めることにより、地面の蹴り方にも変化が現れます。意識することによって走法が変わり、関節に対するストレスの軽減と、ケガのリスクを低下させます。タイムは遅くなるかもしれませんが、「故障が減るのなら喜ばしいことだ」と、私は思うのです。
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『朝立ちは健康の証。眠っているときに勃起しない男たちへ』
Source / Men's Health US
Translation / Kazuki Kimura
※この翻訳は抄訳です。