山で過ごす時間からも、そこで子供たちの姿を写真に収めることからも、気がつけば彼は手を引いてしまっていたのでした。
そうして2017年、40歳になったピーターソン氏の体重はなんと、130キロに達していたのです。そして、ここで転機が訪れます。それは10歳と8歳になった子供たちの山歩きに、ついて行けなくなっている自分に気づいたときです。いまのままの自分に強い嫌気を感じたのです。
「家族連れでバックパックを背負い、ある山に出かけたときです。“アハ体験(「あっ!」というような、不思議なひらめきを感じる体験)”と呼んでもいい、決定的瞬間が訪れたのです」と、彼は言います。
息を切らし、胸を詰まらせる彼を置き去りにして、子供たちはどんどん先へと進んでいったとのこと。「そこで自分は、それまでの我が人生を振り返らざるを得ませんでした。今、自分がどのような状態にあるのかを見つめ直し、それから、かつて自分がどのような人間になりたかったのか? それを思い返したのです」と…。