ウンチを見れば健康状態がわかる
人間が排泄する「ウンチ」は、健康について多くのことを語ってくれます。
たとえばウンチに血が混じっていたら…。それは痔から大腸がんまで、様々な体の問題を訴える警告だと言えるでしょう。では、ウンチの色自体に問題はないものの、ウンチが便器の底に沈まずに浮いてしまう場合はどうでしょう?
このような「水に浮くウンチ」は、必ずしも一般的ではありません。ですが、経験のある人も少なくないでしょう。では、このようなウンチは何を教えてくれているのでしょうか?
「水に浮く便は、水に沈む便よりも単に密度が低いのです」、そう話すのは消化器内科医のニール・ストールマン氏です。
医者たちはこれまで、ウンチに含まれる過剰な脂肪が水に浮く原因と考えてきました。しかし、医学雑誌『ニューイングランド・ジャーナル・オブ・メディシン』に掲載されたある研究結果では、「その原因と言えることは、実際、便に含まれる気体に対してのある可能性を示唆している…」と記載されています。
ストールマン医師によれば、「脂肪か気体のいずれかが原因となる可能性が高いのですが、おそらく気体ではないでしょうか」と解説しています。
乳製品や食物繊維を摂り過ぎた場合に起こりやすい!
「便に含まれる気体は、吸収されなかった炭水化物が原因となる可能性があります。乳糖や食物繊維などの炭水化物は、腸内で発酵してガスを発生させるからです」と、ストールマン医師は言います。
ウンチに気体が多く含まれるのは、一度の食事で乳製品や食物繊維を摂り過ぎた場合や、乳糖不耐症(消化器系統で乳糖(ラクトース)の消化酵素である「ラクターゼ」が減少して生じる不耐に関する諸症状に関して。多くの場合、消化不良や下痢などの症状を引き起こします)の人に起こりやすいそうです。
また、別の消化器内科医のケネス・ブラウン氏によれば、甘いアルコール飲料や人工甘味料なども、ウンチがよりガスを含む要因になるといいます。
するとウンチは、通常より多くの空気やガスを含むことになります。なので、同じ大きさ、正しくは体積どおしで比べると、軽くなるわけです。より密度は低くなるわけですから…水に沈まず、浮きやすくなるのです。
とはいえ、「ウンチに含まれる過剰な脂肪によって水に浮いてしまった」という可能性も消えたわけではありません。その場合は、脂肪分の多い食べ物を摂ったことが原因と言えます。腸が過剰な脂肪分を吸収できない場合、これらの脂肪はウンチに含まれて排泄されるからです。
脂肪便とは?
滅多にないことですが、脂肪分が多く、水に浮くウンチ(正式には脂肪便と呼ばれます)が、吸収不良と呼ばれる内臓の機能不全のサインになっていることもあります。
脂肪便とは、「大便の中に過剰な脂肪が存在している状況」のことを言います。
この場合は、体が脂肪などの栄養分を適切に消化・吸収できないという状態を伝えています。
ブラウン医師は、「ウンチが水に浮くだけでなく、便器に油滴が付着している場合には、膵臓が食べた脂肪分を吸収するための役割を適切に果たせていない可能性があります」と語っています。
また脂肪便の場合、小腸の細菌が腸外で増殖し、それによって小腸で吸収される以前で機能低下に陥っている可能性も示唆していました。
吸収不良は、便中脂肪テストで診断されます。これはその名の通り、ウンチに含まれる脂肪分の量を測るものです。水に浮くウンチの原因が吸収不良の場合、頻繁な軟便や極端な悪臭を放つ便、腹部のけいれん、おならなど他にもサインがあるはずです。
注意点
…とはいえ、ほとんどの場合、水に浮くウンチだけで何らかの体の問題があると考えるのは少々早とちりとも言えるでしょう。
「毎回、同じような便が出るという人はほとんどいないでしょう。その変化の要因に関しては、ほとんどの場合、食事や薬が原因と言えるのです」と、ストールマン氏は語っています。
しかしながら、1カ月かそれ以上の期間にわたって、違和感のあるウンチが続くようでしたら、医師に相談することをおすすめします。
Source / Men's Health US
Translation / Wataru Nakamura
※この翻訳は抄訳です。