DJ、アーティストでランニングチーム「Run Dem Crew」創始者のチャーリー・ダークさんが、活気あるロンドンのランニングシーンについて語ってくれました。

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Courtesy of Jaybird

    
Run in My World: London

「ランニング」は変わったのです。もはや運動のひとつという枠を超えています。「ランニング」とは単なる趣味でもありませんし、体重を落とすために耐え忍ぶような行為でもありません。世界中の都市において、革新的なビジョンを持ちながら走る若者たちによって刺激され、「ランニング」というスポーツは文化となったのです。

 それは「ライフスタイル」そのもの…「多様性」や「フィジカル」を称え合う集いの場となったのです。 

 この連載ではイアホンやヘッドホンなどを手がける「Jaybird」の協力のもと、先見の明を持つ人々の話を聴きました。なぜ彼らは、都会の喧騒の中を自らの脚でランニングすることが最適だと考えているのか? そして、彼らにとって走るとは何なのか? 彼ら自身の言葉で語ってもらいました。
   

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 まず最初に、DJ、アーティストでランニングチーム「Run Dem Crew」創始者のチャーリー・ダークさん。彼は、どのようにランニングシーンを楽しんでいるのか教えてくれました。 

 そもそもランニングを始めたのは、健康な体を手に入れたかったものの、ジムに行く余裕がなかったためでした。ですが、ランニングを始めてから、自分の態度から外見まであらゆることに変化が起こったのです。そして、この変化をロンドンのコミュニティと共有したいと思うようになりました。 

 とはいえ、私は従来のランナーのイメージを自分を重ね合わることはしませんでした。ランニングや運動は、特に若い人々にとって本当に重要なものだと私は考えていました。なので、社会階級や人種、性別、体格にかかわらず、あらゆるバックグラウンドを持つ人々を歓迎するコミュニティを作りたかったのです。
  


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 こうして2007年に、ランニングチーム「Run Dem Crew」は生まれました。もともとは私たちが作ったこのチームですが、現在は世界中にメンバーがいます。Run Dem Crewはランニングカルチャーの概念を拡大してきました。 
 

これはyouTubeの内容です。詳細はそちらでご確認いただけます。
Jaybird Presents / Run Wild / Chapter 2 Teaser: Rhythm
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 私自身は、ランニングやこのチームのメンバーとのつながりを通して、まったく新たな方法でロンドンを体験してきました。誰も見たことがないようなこの街の側面を、私は見てきたのです。

あらゆるバックグラウンドを持つ人々を歓迎するコミュニティを作りたかった

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写真:Run Dem Crewが応援ステーションを設置しているロンドンマラソンの21マイル(約34km)地点。Photograph / Courtesy of Jaybird 

【ランニング環境】  
 普段は深夜0時や午前2時などの遅い時間、あるいは午前4時などの早朝にランニングをします。ロンドンは、多くの人々が眠っているこの時間に新たな顔を見せてくれます。距離やタイムに関心はありません。ランニングキャリアの中では、一時期気にかけたこともあったかもしれませんが、今の私は「マインドフルネス」をより重視しています。

 街が眠るこの時間にその暗闇を感じ、川沿いや運河沿い、公園などを走りながら、瞑想的なフロー状態を求めているのです。とはいえ、受け身なランナーというわけではありません。ゆっくりジョギングすることはなく、地面を押し叩くかのように力強く走っています。
 



 
 周りの環境に意識を向けることが重要です。私は、自分の目に映るものにインスピレーションを受けます。そして私にとって、ストップウォッチの中で起こっていることはあまり重要ではありません。多くのランナーはスピードや距離など、ストップウォッチの情報に意識を向けてしまいます。そして数字を見てしまうと、ランニングは必要以上にハードなものとなってしまうのです。ランニングで重要なのはフィーリングであり、自分の感覚に合わせて走ることです。

走ることは、私にとって音楽制作上のヒントになった

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写真:Aures LondonでDJをするダークさん。Courtesy of Jaybird 


【ラン中の音楽】 
 DJや詩人、プロデューサー、Attica Blues(ダークさんの所属するバンド)の結成メンバーとして、音楽は私にとって非常に重要なものです。しばしば音楽をかけながらランニングをします。とはいえ、いつも音楽をかけながらランニングを行っているわけではありません。ランナーは自分の呼吸をサウンドトラックとして聴くことも、心地よく感じるべきだと思いますから。 

 ですが音楽は、トレーニングの最良のパートナーになり得ます。走ることは、私にとって音楽制作上のヒントになってきました。ロンドンは音楽が盛んな街ですが、暗く静かな夜にランニングをするとき、ある場所から別の場所に音楽を聞きながら移動するのはとてもエキサイティングな体験です。 

 ランニング中に音楽を聞くときやランニング用の曲を探すときは、気持ちよく感じさせてくれることを重視します。もちろん、音量を上げてエネルギッシュなムードにすれば、よりハードに走ることも可能かもしれません。ですが個人的には、楽しい思い出をつくってくれるような音楽が好みです。そしてランニング競技に出るときには、そんな楽しい思い出を持って臨むのです。 

 Jaybirdとのコラボでは、ランニングにぴったりのプレイリストを作成しました。とはいえ、最初から聞く必要はありません。好きなところから聞けばいいと思います。ロンドンで新たな流行となっている音楽を紹介したいと思っていますから、一部の曲は新鮮に思えるかもしれません。このプレイリストは、私のランニングアドベンチャーのあらゆる側面を反映させたものなので、お気に入りの1曲を選ぶことはできません。どの曲にも思いを込めて選んだ曲なので。 
 








これはThird partyの内容です。詳細はそちらでご確認いただけます。

 
 ランナーが音楽を聞くとき、そこには質感やカラーがあるべきです。音楽はランナーが没頭できる空間をもたらしたり、インスピレーションを与えるべきだと思います。 
 

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写真:イーストロンドンのハックニー・ウィックを走るダークさんとノックス・ロビンソンさん(ニューヨークのランニングチームのリーダー)。Courtesy of Jaybird

音楽とランニング、良い食事を通して人々を結びつける

【ラン後の楽しみ】 
 Run Dem Crewはキッチンのダイニングテーブルで始動しました。ですから、ランニング後にはいつも一緒に食事を取ります。チームで集まって、一緒に食事を取らなかったことはありません。私たちの拠点はロンドンですから、タイ料理やベトナム料理をよく食べます。 
 

 
 そして、素晴らしい出来事が起こるのは、ランニング中だけではありません。ランニング前やランニング後、食事中ということもあります。朝に歯磨きをするのが当たり前のように、私たちはランニングを生活の一部に取り込もうとしています。 
 

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写真:ウォータールー駅地下のリーク・ストリート・トンネル。Courtesy of Jaybird 


【コミュニティの精神】 
 Run Dem Crewには、ランニングをしないメンバーもいます。ですが、彼らも私たちのコミュニティの一員でありたいのです。それこそが、あらゆるバックグラウンドを持つ人々の居場所を作る上で重要な点です。ロンドンは様々な立場の人々が集まる街ですが、ランニングコミュニティはこれを反映していません。 

 私たちは音楽とランニング、良い食事を通して、人々を結びつけます。人種や階級、宗教が異なる人々が数々の瞬間を分かち合うために集まるのです。私たちはお互いを称え合い、その成功を祈ります。 

 Run Dem Crewのロンドングループは、「ある程度のタイムや距離を走らない限りランナーではない」というようなおかしな考えには賛同しません。私は、誰かのマラソンのタイムが2時間であろうと7時間であろうと、大きな敬意を抱いています。 

 Run Dem Crewは純粋にランニングにフォーカスしたグループとして始まりましたが、長年をかけて様々な取っ掛かりのあるコミュニティに進化してきました。

 私たちの目的はランニングの未来を知らせることであり、すでにあるものを模倣することではありません。Run Dem Crewは様々な領域の参加者たちによって、運動を実践する人々のチームへと進化を遂げました。私たちの日々の実践にはマインドフルネスやウェルビーイング(身体的、精神的、社会的に良好な状態にあること)、ヨガも取り入れられ、常にどのような方法でランニングカルチャーをリミックスできるかに目を向けています。









 
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 連載「Run in My World」では、Jaybirdとの協力のもと、世界のランニングシーンやそのコミュニティがもたらすこのスポーツの進化ぶりを追っています。次回の連載にも、ぜひご期待ください。

By Charlie Dark on July 12, 2018
Photos by Courtesy of Jaybird 
RUNNER'S WORLD 原文(English)
TRANSLATION BY Wataru Nakamura
※この翻訳は抄訳です。
編集者:山野井 俊