ファッションモデルでありDJであり、ランニングチームのリーダーでもあるロノ・ブラジルさんが、ますます盛り上がる東京のランニングシーンについて語ってくれました。

Street, Recreation, Street performance, pinterest

Courtesy of Jaybird

    
Run in My World: Tokyo

 ランニングは変わりました。ランニングはもはや単なる趣味ではありませんし、体重を落とすために耐え忍ぶような行為でもありません。

 世界中の各都市で、新たなビジョンを持つひと握りの人々たちが実践するランニングに刺激され、このスポーツは文化となったのです。「ライフスタイル」あるいは「多様性や持久力を称え合う集いの場」と呼んでもいいかもしれません。 

 この連載では、イアホンやヘッドホンなどを手がける「Jaybird」の協力のもと、ビジョナリーな話を聞きながら、街のリズムに乗るためになぜランニングが最適なのかを探っていきます。

 彼らにとって「走るとは?」、どんなことなのでしょうか。彼ら自身の言葉で語ってもらいました。 

  
===================== 

 ファッションモデルでDJ、ランニングチームのリーダーでもあるロノ・ブラジルさんは、どのようにランニングシーンを楽しんでいるのか教えてくれました。 

 クリエイティブの世界でプロになってからは、従来のランニングシーンにはどうも溶け込むことができませんでした。また1人のランナーとして、従来のクリエイティブな世界にも上手に馴染めていませんでした。 

 そうした中での2012年のある日、ニューヨークのランニングチーム「Bridgerunners(新たなランニングシーンの先駆け的チーム)」と「Black Roses(シーン先駆者のノックス・ロビンソンが立ち上げたチーム)」に参加してみたのです。すると…以来私は、初めて自分の居場所といいものを見つけることができたのです。ランニングとクリエイティビティという、自分の2つの世界が交差したのでした。 
 

instagramView full post on Instagram

 2016年に自分が育った東京に戻ってから、似たようなランニンググループ「Athletic Far East Club(AFE)」を見つけました。 

 私たちは毎週水曜日に走っていますが、ランニングはおまけのようなもの。何よりも、友達と近況報告やおしゃべりをすることを楽しんでいます。トレーニングの側面もありますが、各々が自らの目標やスケジュールに沿って参加しているんです。チームには「ランナー?」、と思ってしまうような人たちもいます。 

これはyouTubeの内容です。詳細はそちらでご確認いただけます。
Run Wild / Freedom / 30 second
Run Wild / Freedom / 30 second thumnail
Watch onWatch on YouTube

 
 

 音楽やファッション、アートといった業界で働く人は、運動競技の伝統的な側面から距離を置きがちです。

 そして健康を志向するアクティブな世界では、めったにクリエイティブな業界の人を見ることはありません。ですが、AFEのようなグループでは、自分と同じような人に出会えるのです。このグループはインスピレーションの源です。ミュージシャンだろうが何だろうが…悪目立ちすることはなく…それが最高なのです。ランニングに必要なのは、自分の体だけです。興味・関心を共有するコミュニティがあれば、そこから絆が生まれますので…。

ランニングに必要なのは自分の体だけ

People, Crowd, Pedestrian, Street, Event, Urban area, Infrastructure, Road, Recreation, Walking, pinterest

Photograph / Courtesy of Jaybird 

 
【ランニングスポット】 

 東京では、午後7時ごろまで仕事が終わらない人もたくさんいます。だから、チームが集合するのは午後9時過ぎになります。

 AFEは毎週水曜日の夜、街の中心部の銭湯の前に集合するのがルーティンとなっています。銭湯に集合というのが、何とも日本らしいところ(心)です。個人的には皇居のような誰もが走る場所をランニングするのは好きではありません。が、AFEは毎週水曜日、東京の中心部で観光名所でもある渋谷のスクランブル交差点を目指して走ります。  
 

  
 都市のど真ん中で人々や街灯の間を走り抜けるのは、これがトレーニングのためのランではないからです。ソーシャルなランニングなのです。東京はますます人気の旅先になりつつありますし、チームはここを訪れる人を歓迎しています。それに、渋谷スクランブル交差点を走りたくない人なんているでしょうか。普通なら写真を撮るだけですが、ここを走り抜けるのはまったく異なる体験です。 

 
 約5kmのランニングの後には、日本の文化に従って銭湯で汗を流します。古き良き伝統ですね。 
    

Head, Nose, Cap, Forehead, Headgear, Baseball cap, Ear, Facial hair, pinterest

Photograph / Courtesy of Jaybird 

音楽がランのテンポを決める

Recreation, Fun, Running, Night, Walking, Jogging, Leisure, Cap, City, Street, pinterest

Photograph / Courtesy of Jaybird 

【ラン中の音楽】

 東京を走り抜けるのは、想像よりもはるかにピースフルなことです。

 確かに目まぐるしい街ではありますが、いい意味で変化に富んでいるからです。東京では、喧騒の中であっても考え事をすることができます。「まさか…」と思うかもしれませんが、実際にそうなんです。 

 ランニングのときは、音楽を聴く気分じゃないこともありますが、大抵は音楽を聴いています。そのときの音楽がランのテンポを決めるのです。そうやってプレイリストを作ることもあります。Jaybirdとのコラボでは、タイプの異なるランニングにマッチするように様々な音楽を取り入れたプレイリストを作りました。 
 

これはThird partyの内容です。詳細はそちらでご確認いただけます。

  

【ラン後の楽しみ】 

 水曜夜のランの後には、いつもメンバーたちと飲みに行きます。外が気持ちいい季節には、ビールを買って銭湯近くの駐車場で飲みます。いつもは日本のビールを選びますが、緑茶と日本酒が混じったカクテルのようなお酒もお気に入りです。コンビニで買えるもので、とてもフレッシュな飲み物なのです。 

 外で飲まないときには、近くの中華料理屋に行くのが定番です。エビ入りチャーハンや揚げ餃子が美味しいんです。

クールなランニングウエアをコーディネートしてランに出かけるのは、日中の仕事以外で自分らしさを表現する優れた方法の1つ

Pink, Cap, T-shirt, Street fashion, Cool, Headgear, Photography, Neck, Baseball cap, Sportswear, pinterest

Photograph / Courtesy of Jaybird 

 
【ランニングスタイル】 

 ランニング自体はゴチャゴチャした頭の中を、スッキリさせるための気分転換のはけ口みたいなものです。ランニングに行けば、体が軽快に動くのです。私やクリエイティブ業界で働く多くのチームメイトにとっては、ランニングは自らを表現する方法でもあります。走るときに着るものを通して、自分たちを表現するのです。 

 もちろん高機能のウエアやシューズも魅力的です。それは走るときに、「快適さという歓びを体に刻んでくれるのでよても重要なのでです。

 私の場合、ランニングウエアをコーディネートするときには、特定のカラーパレットに注目し、ランニング用ではないアイテムを1つ取り入れることもあります。ときには、自分のショップ「Union Tokyo」(LAにあるストリートウエアショップの東京支店)の帽子をかぶることもありますね。この帽子はランニング用にデザインされたものではないのですが、目立ちますし、自分のあり方を示してくれるんです。 

 
【日本のランニングシーン】

Running, Recreation, Long-distance running, Marathon, Athlete, Jogging, Exercise, Individual sports, Fun, Half marathon, pinterest

Photograph / Courtesy of Jaybird 

 東京五輪2020をめぐっては、様々な話題が飛び交っています。

 人々はより健康になろうと努めており、ランニングなど運動に取り組んでいるのではないでしょうか。実際に参加してみないと実感はわかないと思うのですが、日本には本当にクールなランニングシーンがあり巨大なランニングコミュニティがあるのです。オリンピックの存在は、間違いなく人々を運動に駆り立てていることでしょう。 

===================== 

 連載「Run in My World」では、Jaybirdとの協力のもと、世界のランニングシーンやそのコミュニティがもたらすこのスポーツの進化ぶりを追っています。次回の連載にも、ぜひご期待ください。

By Lono Brazil III on August 22, 2018
Photos by Courtesy of Jaybird 
RUNNER'S WORLD 原文(English)
TRANSLATION BY Wataru Nakamura
※この翻訳は抄訳です。
編集者:山野井 俊