「とても空腹だ!」というわけでもないのに…、あの音は突然やってきます。
小さなクジラが求愛しているかのようなあの低い音は、職場の会議やデート、採用面接など、「なんでタイミングが悪いときに限って、鳴ってしまうの?」と感じている人も多いのではないでしょうか。そう、お腹の音とは厄介なものです。
そんな困ったお腹の音ですが、アメリカではこれにとても面白い名前がつけられています。これを正式には「ボーボリグミ(borborygmi、腹鳴)」と、プリンストン大学メディカルセンターの消化器学部長であるアニシュ・シェス医師が呼んでいます。そして、これは正常な生理的プロセスだと言います。
◇お腹が鳴る原因とは?
「私たちがしばらくものを食べていないとき、腸は『清掃』機能を活発化させ、残った内容物を一掃しようとするのです」と、シェス医師。
この素早く腸をきれいにしようとする動きは、「伝播性消化管収縮運動(でんぱんせいしょうかかんしゅうしゅくうんどう=migrating morter complex、略称MMC)」と呼ばれるもので、腸を次の食事に備えさせるための体の働きもます。
この「MMC」は、空気や液体を次なる消化器へと押し出す運動のとき生じる音なのだそうです。
つまり、これは本質的には体にとっての「トイレを流すような」働きと言えるでしょう。とても便利な清掃のメカニズムなのですが、トイレを流すのと同じように、音が鳴ることを避けることはできないというわけです。
私たちはこの音を、「空腹」と関連付けて考えてきました。ですが、シェス医師によれば、お腹の音の原因は空腹だけではないと言います。
◇お腹の音の原因は空腹なだけじゃない
たとえば昼食と夕食の間の時間帯、午後のミーティングの最中です。「このようなときに限って、この“気まずい音”が鳴ってしまうんだ」と思っている人は少なくないでしょう。このようなタイミングは、昼食を食べてからしばらくは経つとはいえ、再びお腹が空いてくるほどではないはずです…。
◇お腹が鳴るときの対策
幸い、この音に関しては簡単な対策があります。
それは単純です。ちょっとした軽食を取ることです。ほんの数口食べ物を口に入れるだけでも、お腹の「清掃係」は仕事をやめてくれるのです。「水やその他の液体も効果的ですが、食べ物ほどではありません」と、シェス医師は言います。
◇やっても無意味なこととは?
それはお腹が鳴ってしまったとき、衝動的にお腹をひっこめたり、息を止めたりしてしまうことです。「これは無意味な行動です。こういった行動をとると、さらなる空気を次なる消化器へ運ぶことを促進し、状況を悪化させる可能性もあるので注意が必要です」と、シェス医師。
◇まとめ
この「腹鳴(ふくめい)」に悩まされているという人は、軽食を準備しておき、特に次の食事まで数時間があるときに摂ることが効果的な対策となるでしょう。
また、「腹鳴」自体に害はありませんが、これと同時に消化上の変化があったときはご注意ください。たとえば、腹鳴に加えて胸焼けや吐き気、過度のガス、便秘、下痢などの症状があり、これらの症状が数週間続くようなら、医師に診てもらったほうが良策でしょう。
Source / Men's Health
Translation / Wataru Nakamura
※この翻訳は抄訳です。