• 既存研究では、白髪の原因のひとつに「遺伝」も関係していることはわかっているが、正確な原因までは究明されていない。
  • この新たな研究では、髪の色に寄与する遺伝子が免疫システムに影響されることがわかった。
  • その結果、一部の人々が時期尚早に白髪となる理由は説明することができる。

若い世代に急増中の若白髪

 20代で白髪の悩みが始まってしまう人もいれば、40代に突入してもまだ白髪はないという人もいます。それはなぜでしょう?

 「白髪になる原因には、『遺伝』も関係している」ということは知られています。ですが、ある特定の人たちが他の人よりも早く“銀狐(ロマンスグレイ)”になってしまう正確な理由は、未だに科学的な解明はされていません。

 ですが、学術雑誌「PLOS Biology」に掲載された研究結果により、その答えへと1歩近づいたかもしれません。

 その新しい研究によれば、私たちの免疫システムを調節するのに役立つ遺伝子は、髪の色を調節するのにも役立っているとのこと。この研究はマウスによって行われましたが、最終的には男性が「なぜ早く白髪になるのか?」を説明するのに役立つ結果を導き出しています。
 

白髪の原因をたどる研究、その背景とは? 

 ウェブメディアの「Gizmodo」によれば…共同研究者であるメリッサ・ハリス教授(アラバマ大学バーミンガム校の生物学教授)は、ラボラトリーマウスでメラニン細胞に関して研究することによって、「老化」についてのさらなる理解を深めようとしていたときのことだそうです。メラニンと呼ばれる色素は、私たちの皮膚、目、および髪の色を左右する元となるもの。メラニンは皮膚上に存在する、メラニン細胞によって生成されます。

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 彼女のチームは、そのメラニン細胞に見られる特定の遺伝子「MITF(メラニン形成関連転写因子)」を研究していました。この遺伝子は、メラニンの生成を制御するのに役立つと言われています。ですが、早期に毛の色が灰色に変色したマウスが現れました。そして、そのマウスを調べてみると、研究員はこれらのマウスが他のマウスに比べ、「MITF」を多くつくり出していることを発見したのです。

 ハリス氏は、より多くの「MITF」がメラニン細胞の数を減少させ、それによってメラニンが少なくなると理論づけました。つまり、「メラニンが少なくなった結果、多くの白髪を生み出す」という解釈になります。

 そして研究者たちは、「MITF」を少なくするようマウスを操作すれば、白髪化の経過が遅くなると考えるのです。そして操作してみると…マウスは思惑通りいかず、すぐさま灰色になってしまい驚いたと言います。

免疫系と私たちの髪の色の関係性

 最初は戸惑ったそうです。が、ハリス氏のチームは少量の「MITF」を持つマウスが、「インターフェロン」と呼ばれる免疫系に存在するタンパク質をより多く有することも発見したのでした。

 ウイルス増殖の阻止や細胞増殖の抑制、免疫系および炎症の調節などの働きをするタンパク質サイトカインの一種である「インターフェロン」は、あなたが風邪やインフルエンザなどの原因菌から保護する働きを担っています。本質的に、より高いレベルの「MITF」は、より低いレベルの「インターフェロン」と結びついていたという研究結果を導き出しました。

 そうして研究員たちは、「『インターフェロン』が多すぎるとマウスの免疫系の対処法に迷いが生じ、外的ウイルスと取り違えてメラニン細胞を攻撃したのだ…」という結論を導き出します。

これはGiphyの内容です。詳細はそちらでご確認いただけます。

 「MITF」をより多く持つことが「インターフェロン」を減少させるのか? または、より多くのインターフェロンを持つことが「MITF」の遺伝子濃度を低下させるかどうか? ということは、まだ明らかにはなっていません。ただ分かっていることは、「免疫系と私たちの髪の色に寄与する遺伝子との間に関係がある」ということだけです。そして彼らの発見は、「白斑(はくはん)のように皮膚の色素が白く抜ける疾患や色素沈着なども含めた他の症状に対するヒントになるかもしれない」と、研究者は言います。

 もちろん、これは免疫系と白髪とのつながりに関する多くの研究の出発点に過ぎません。つまり今のところは、毛染めに頼らざるを得ないということになります。またはジョージ・クルーニーのように、「セクシーさを演出する武器」にしてもいいでしょう。

Source / Men'sHealth US
Translation / Esquire Digital
※この翻訳は抄訳です。