トム・ブレイディ選手(NFL、ニューイングランド・ペイトリオッツのクォーターバック)は、黄金色に焼けた肉体のもち主。そしておそらく、永遠に生き続けたいと思っていることでしょう(当り前のことですね…)。

 少し前に出版された同選手の著書『TB12 Method』には、「自分は今後も望む限りアメリカン・フットボールをプレイすることができ、その間に、さらに多くのスーパーボウルの優勝杯を勝ち取り、そして45歳になったら優雅に引退する。しかも、故障やスランプで引退を余儀なくされることはない」という彼の考え方が綴られています。

 ブレイディ選手の外見やプレイぶりから判断する限り、そうした可能性もまったくないとは言い切れません。 

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Photograph / Getty Images 

 現役生活を長く続けるというブレイディ選手の使命のなかには、「世界でもっとも水分補給が充実している」男であり続けることも含まれています。そのために同選手は、飲料水のボトルを1日に12本から25本も空けます。米TV局「ESPN」に最近出ていた同選手についての記事のなかには、彼の水分補給に関する次のような詳細も記されていました。 

<ESPN記事引用> 
ブレイディは毎朝6時に起きると、すぐに20オンス(約590ミリリットル)の濾過水を飲み、そのほかに「TB12 Electrolytes」というスポーツドリンクも口にします。この電解液のなかには、一般に発汗で失われる72種の微量ミネラルが含まれているのです。その結果、ブレイディの体には非常によく水分が行き渡っているので、「多少日光にさらされたくらいでは、自分は日焼けもしないだろう」と彼は述べ、さらに皮膚の下にある筋肉も、「“しわの寄った干し肉”ではなく“素晴らしいテンダーロイン(ヒレ肉)”のように見えるはず」との仮説を口にしました。 

 電解質に対するブレイディ選手の並外れた強調ぶりの話はさておき、ここでは十分な水分補給で、日焼けによるダメージを防げるとする同選手の考えの当否について検討してみましょう。

 
 彼の肉体が水分を処理する仕組みが、われわれのそれと異なっていない限り、彼の考えは間違っています(ただし、彼の肉体の仕組みが、われわれの肉体の仕組みと異なっている可能性は十分にあり得そうですが…)。

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Photograph / Matt Winkelmeyer / MG18 / Getty Images for The Met Museum 

 米疾病予防管理センター(CDC)が公表している日焼け対策のリストのなかには、残念ながら「水分補給」という記述は含まれていません。

 同センターがリストに挙げているのは、日焼け止めを塗ったり、帽子を被ったり、長袖の服を着るといったものです。また、同センターでは男性のほうが、女性よりも皮膚ガンになりやすく、これは日光に肌をさらすことが男性のほうが多いためと説明しています。さらに戸外に出る際に日焼け止めを塗る男性は、全体の14%に過ぎないそうです。 

 
 日焼け止めを塗らない残りの男性たちは、庭仕事に取りかかる前に水分をとっておけば、皮膚ガンにはかからないと考えているのでしょうか。そんなことはないでしょう。たしかに、ブレイディ選手なら40歳代になっても「素晴らしいヒレ肉」のような筋肉を維持し、十分な電解質を補給することでゲータレード工場ともいえる肉体を動かし続けることが可能でしょう。しかし、それは彼がトム・ブレイディだからであり、また彼が永遠に生き続ける道を進んでいるからです。 

 トム・ブレイディが美人モデルのジゼル・ブンチェンと結婚できたのも、おそらく、おそらくですが…彼の活躍ぶりがあってのこと。そんな彼のプレイなどが彼女の目に留まったことが切っ掛けになったに違いありません。ある意味、日焼け止めを塗っていなかったら……、妻ジゼルと出会えていなかった可能性は高くなっていたことでしょう(笑)。 

 われわれのような他の人間はどうすべきでしょうか……。やはり、日焼け止めを使い続けるべきでしょうね。


From ESQUIRE US 原文(English)
Translation / Hayashi Sakawa
※この翻訳は抄訳です。