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想像を絶するロシア軍の兵器・未完成10選

「ゾンビ銃」や「地球物理学兵器」は単なるベーパーウェアだった…

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(C)DIA

「ベーパーウェア(Vaporware)」とは、簡単に言えば「理論だけで実現されてはいないソフトウェアまたはハードウェア(プロダクツ)」のこと。概要は発表できるものの、まだまだ構想段階や開発段階にあり、さらには完成・公開のメドも立っていないものを指します。つまり、まだ影も形も見えない状態なのですが、ことロシアに関しては、この段階で大見得を切ることが多々あるようです。

 ロシアの巨大な国営軍需企業である「ロステック」のCEOは2018年8月、世界を唖然とさせる発表をしました。それは、CEOであるセルゲイ・チェメゾフ氏自ら、ロシア国営通信社「TASS」に対して「新素材を用いた、『インビジブル・ヘルメット(不可視ヘルメット)』をトレードショーに出展する」と語ったのです。 

 光を屈折させることでまるで透明のように見える、メタマテリアルを用いたカバーを作ることは、(理論的には)可能であると言う専門家もいます。ですが、その実現にはまだまだ時間が必要ということだったのですが…。 

 見えない戦車もしくは見えないヘルメットなどは、いくら急速に発展を遂げた現代の科学においても理論上、まだまだ完成のメドは立っていません。

ハイパーソニック・ミサイル」、「可動式ハイパワー・レーザー」、「原子力魚雷」、そして「戦闘ロボット」など、近年においてロシアが生み出した驚異のハイテク兵器はいくつもあります。がしかし、同国の誇るハイテク兵器の多くは誇張されたものばかり…もしくは、まったくの架空の産物であることが判明しているのも事実なのです。

プラズマ・ステルス・シールド(Plasma Stealth Shield)

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Getty Images

 アメリカが世界初のステルス飛行機の開発に成功したころ、ロシアは大きく遅れをとっていました。レーダー反射を最小化するため、複雑なデザインを計算するために必要なスーパーコンピュータが不足していたからです。

「ケルディッシュ・サイエンス・リサーチセンター(Keldysh Scientific Research Center)」が1999年に代案として公表したのが、ボルトオンで外殻に装備するタイプの「ステルス・シールド」でした。 

 レーダーを吸収してしまうプラズマで機体を覆い、レーダー反応を1/100に減少させるジェネレーター装置ということ。

これはyouTubeの内容です。詳細はそちらでご確認いただけます。
 thumnail
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 この装置は「プロトタイプがスホイ27(Su-27=写真)」、通称フランカー(Flanker)に装備されたとのこと。ですが、「高速飛行になると、プラズマのシールドは形成すると同時に消失もしてしまう」という問題点が研究者によって明かされ、この技術についてはその後、聞くことはなくなりました。

地球物理学兵器(Geophysical Weapons)

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Getty Images

 1996年にモスクワ発のニュースとして、「地震や火山噴火を引き起こすことを目的とした、『地球物理学兵器』が極秘裏に開発されている」という計画が報じられました。

「あらゆる環境災害の背後に、プーチンの影がある」と妄想する陰謀論者たちは悦びましたが、事実はそれほど大したものではありませんでした。

「地殻に対し、電流を放射することによって地震活動に影響を与えられる」というのがロシアの研究者たちの主張でしたが、そのようなことは下水の排水や、地殻内の水圧破砕(フラッキング)など、その他、多くの方法でも可能なのです。 

 問題は開発したロシア人たちにさえ、その影響をコントロールする方法が分かっていなかった点です。また、遠隔での使用ができないので、その巨大な装置を現地まで移動させなければなりません。 そうなるともう陰謀どころか、なにもかも丸見えということになってしまいますので…。

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エリプトン・アトミックピストル(Elipton Atomic Pistol)

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(C)DAISY

 ロシアの原子力プログラムに関しては、数多の噂話や推論が飛び交っています。ミニチュア核弾頭もそうですし、「レッド・マーキュリー」と呼ばれる魔法のような、もしくは神話級の資源の存在も然りです。 

 プーチンの古くからの協力者とされ、また、国家主義者として知られる右翼政治家ウラジミール・ジリノフスキーは1994年、旧ユーゴスラビアの紛争地帯に派兵する兵士に対し、「エリプトン(Elipton)」もしくは「アトミック・ピストル」と呼ばれる新兵器を装備させたと発言しています。小型のモデルを用いた実験では、一撃で12人のボスニア人を殺害したとしていました…。

「この新兵器の威力がどれほどか、想像も及ばないでしょう」と、ジリノフスキーの代理人がベオグラードのプレス・コンファレンスで語っています。当のジリノフスキーは、真偽の定かではない脅迫めいた言動をいまだに繰り返していますが、1994年以降、この「エリプトン」の話は聞かれていません。

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(C)U.S NAVY

 1997年、ロシアが特定の遺伝子だけを攻撃する「生物兵器」を開発していると、当時のアメリカ国防長官ウィリアム・コーエンは語っていました。 

 特定の人種に対してのみ攻撃力を発揮する、バクテリアとウィルスの実験が進められているというのです。中東地域の特定の民族をターゲットにした兵器をイスラエルが計画していたという話もありますし、南アフリカ共和国ではアパルトヘイト政策の時代に、非白人だけをターゲットとした生物化学兵器を開発する「コースト計画(Project Coast)」という極秘プロジェクトがあったとも言われています。
 
 その後、イスラエルの計画については、あるSF小説に端を発した作り話だったことが判明しましたし、コースト計画でも実際には生産にまでは至りませんでした。 人種の違いに関しては、単純な遺伝子の話で矮小化(わいしょうか)できるほど簡単な問題ではないことは当然のこと、他の人種に影響を及ぼさない形で特定の人種グループだけを攻撃する武器の開発など極めて困難であることも今日では常識です。 もし、ロシア政府がこのような取り組みを続けているというのなら、それは時間の無駄というものです。

ヒビネ電子爆弾(Khibiny Electronic Bomb)

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Getty Images

 2014年にロシアのメディアは、同国の爆撃機スホイ24(通称フェンサー)がアメリカ海軍のミサイル駆逐艦ドナルド・クックに対し、ヒビネ(Khibiny)というハイテク電子兵器を用いて同艦の電気系統を麻痺させたと、報じました。 

 防衛システムの電気系統を無力化することにより、イージス艦の対空シールドを無効化したというストーリーです。

「自艦とその乗員を、超ハイテク兵器から守ることができなかった米軍高官の失望は凄まじく、なかには任務を辞して海軍を去った者もいた」と、「スプートニック・ニュース」は報じています。 

 しかし、この件に対する米海軍の見解はやや異なります。

「騒ぎはおおよそ90分間におよびましたが、それで特に何が問題になったというわけではありません……。ドナルド・クックの防衛能力は無傷のままです」というのが米海軍側の見解。ロシアの攻撃機「スホイ24」がうるさく飛び回っただけで、なにも起きなかったに等しいということなのです。

「ロシアがヒビネ電子爆弾を完成させた」と言っても、それは有り得ることではあります。まだ、未完成だとしても、おそらく時間の問題でしょう。ですが、たとえ完成したからと言っても、「それは単なる防衛のための電子装置であり、米軍が広く配備しているシステムとさして変わりはない(というか、おそらく性能が低い)」というのが米海軍の見解です。

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粒子線(Particle Beam)

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(C)DIA

 アメリカがミサイル迎撃用のレーザーの開発に情熱を注いでいた冷戦下の1980年台、「ソ連が殺人光線の開発を秘密裏に行っている」という警告を分析官が指摘しました。

「発射された弾道ミサイルや、人工衛星までをも撃墜する高エネルギーの粒子線を用いた兵器」という話でした。『アビエーション・ウィーク』誌は1977年に、「破壊的テクノロジーに驚愕せよ」という内容で、「ソ連は粒子線兵器を1980年までに配備する」と警告していますし、CIAはソ連が「アメリカを超える可能性」を報告しています。

 セミパラチンスク核実験場に関する調査の結果、「これら粒子線の開発は、主に原子力ロケットのためのものだ」と、その後判明しています。 

 粒子線兵器は、未だSF小説の世界の幻想のままなのです。

ゾンビ銃(The Zombie Gun)

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(C)NEXUS MAGAZINE

 2012年、「プーチンが『ゾンビ銃』を開発している」というニュースが、派手な見出しとなりました。人々の精神に作用し、狂気に至らしめる武器だというのです。 

 これは、「精神工学」兵器を将来的に開発する可能性を示唆するプーチンの発言がきっかけとなってのこと。精神工学はロシアの科学者たちが何十年も研究しながらも、大きな進歩を達成しないまま取り組んできた領域になります。 

 案の定この情報、大したことのない現実をかなり誇張したものに過ぎませんでした。現存する「経頭蓋(けいとうがい)磁気刺激法」のような技術は、マインドコントロールとは程遠いものです。 

 ロシア科学アカデミーの物理学者であり、精神工学の先鋭的研究家であるウラジミール・ビンヒ氏は、「現状においての成果は『悲観すべき』ものであり、実用的な兵器の開発には未だ長い時間を要するだろう」と語っています。

S-100爆撃機(S-100 Super Bomber)

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(C)ROMAIN ENSELME

「S-100」、「SU-100」、もしくは「T-4」と呼ばれる超高度を飛行可能な爆撃機は、飛行速度の速さと飛行可能な高度から追跡が困難とされており、アメリカ空軍の「XB-70(通称ヴァルキリー)」と同様のコンセプトで開発された機体になります。 

 高速飛行で生じる超高温に耐えるには、構造の主要部分がチタン製であることが必要です。コンコルドのように可動式の機首をもち、その機首が上がっている際には、潜望鏡が視野を確保する構造になっています。 

 いくつかのプロトタイプが作成され、そのうちの一機が飛行テストを行いました。しかし、このプロジェクトはそれ自体に明らかな無理があることが明確となった1974年に中止され、その後、より現実的な「TU-22M」の開発に計画は切り替えられたのでした。

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プラズモイド(Plasmoids)

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UNIVERSITY OF ALASKA

 1993年4月、ロシアの新聞「イズベスチア」紙の1面を飾ったのは、ある技術の取り引きに関する詳細な記事でした。アメリカのスターウォーズ計画の情報と引き換えに、ロシアは「プラズマ・ミサイル防衛システム」の情報を提供するという内容です。 

 マイクロ波の光線を交差させ、遙か上空の大気をイオン化し、プラズマかプラズモイドを生成する技術でした。そのプラズモイドが弾道ミサイルの軌道を遮り、ミサイルを破壊するか、もしくは乱気流によって進路を狂わせるという構図になっています。

 プラズモイドを生成するのは確かに可能です。巨大な「HAARP(ハープ)」が電波とともに「人口的なオーロラ」を生み出すのです。しかしながら、仮にそれが正しい位置に、時間的余裕をもって生成されたとしても、実際にミサイルを止める効果があるのかは不明と言う他ありませんでした。 

 新技術への変換も実現できず、プラズマ防衛の計画もまた実行されることはありませんでした。

スカラー波(Scalar Weapons)

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スカラー波(Scalar Weapons)

 最大の脅威とは、いつだって物理学の最新領域よりもたらされるものです。 

 19世紀中期から20世紀中期の電気技師・発明家で、エキセントリックな天才として知られるニコラ・テスラの研究から生み出された「ねじれ率場(Torsion Fields)」の原理とスカラー兵器が、それに該当します。

「弾道ミサイルを撃墜し、全人類に対する攻撃を可能にする」、そんなストーリーで描かれた兵器の開発へ向けた取り組みがなされていたのです。 

 1987年、ソ連の軍部は「ねじれ率場」の研究を開始しました。西側の物理学者たちにとっては全く未知の、電気と重力に影響をおよぼすエネルギー・フィールドについての研究になります。 

 ソビエト連邦の科学アカデミーによって1991年、ねじれ率場の情報はアメリカより金をせしめるための詐欺であったと結論づけられています。 

 極めて精巧な偽情報ゆえに、多くの研究者たちは信じ(未だに信じている人もいます)、5億ドルもの値がつけられたわけです。 

 このように請求額は巨大でしたが、実際に「スカラー兵器」は未だ実現していません。

 
From POPULAR MACHANICS
By David Hambling
Aug 3, 2018 

Translation / Kazuki Kimura
※この翻訳は抄訳です。
Edit / Hikaru SATO, Kaz OGAWA

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