2018.03.30

アメリカ人の記憶に残るあの爆発事故から学べるものとは?

大規模な爆発事故「ディープウォーター・ホライズン」による、学ばざる教訓とは?

「ディープウォーター・ホライズン」と「教授可能な瞬間」の欠陥理論に注目してみましょう。

大規模な爆発事故「ディープウォーター・ホライズン」による、学ばざる教訓とは?
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Lessons, Unlearned

 ここ十数年で流行ってきた表現ですが、“teachable moments”という言葉をご存じですか? 日本語では表現しにくい言葉になりますが、「教えるのに絶好の機会」とでも訳せばいいのでしょうか…。
 
 簡単な例としては、子供が「なんで?」と疑問を抱いた際、単に答えを提示するだけで終わりにするのではなく、その子の年齢などに合わせる必要はあるでしょうが、その疑問および解答の背景となる部分も加えて説明してあげる方も多いと思います。そのときのことを指しています。
 
 基本的には、日常の生活の中でふと生まれてくる「何か新しい知識を教えるに絶好の機会」となりうる状況のことを、“teachable moments”と言うのです。 
 
 つまり、カリキュラムにそって知識を詰め込むという手法ではなく「何か新しい知識を教えるに絶好の機会」を通して、興味/感情に即した教え方をするのが効果的である…という考え方から重要視されるようになり、時代のキーワードとなったのでした。元々は学校教育関係の用語だったようですが、今では一般に用途が広まり、「良い教訓」とか「見せしめ」のような意味でも使われることも多いそうです。
 
 そんな時代のキーワードである“teachable moments(何か新しい知識を教えるに絶好の機会)”は、いわば21世紀のニュースピーク(世論操作のために、故意にあいまいとした国家権力が使用する言葉表現)ように思え、個人的には最も滑稽なワードだと考えています。 
 
 たとえば、テキサス州ヒューストンでの外来感染症の発生やコネチカット州で起きた小学校銃乱射事件、さらにメキシコ湾原油流出事故など、いくつかの重大ニュースがありますが、実際、これらの重大事件・事故の最初の報道後、私たちは得るべき新しい情報は数日間これといってあまりなかったのではないでしょうか。 
 
 しかし、そんな過熱報道が収束に向かっているときにこそ、私たちはこのような重大な事故・事件から、どのような教訓を学ぶべきかを熟考することができる“teachable moments(何か新しい知識を教えるに絶好の機会)”を迎えるのです。 
 
 今日、このような重大な事故・事件の解決策として、半分馬鹿げたことやあまりにユートピアすぎること、そして単に、完全に実行不可能なものを提案されることがしばしばあります。
 
 もちろん、それらの中には共感できるものもいくつかあります。が、このような出来事の多くは政局に利用され、学ぶべき意義はゆっくりと煙に巻かれてしまうものなのです。その間に、また他の事件や事故が起こり、せっかく何か教訓を得ることができたはずの“teachable moments(何か新しい知識を教えるに絶好の機会)”は、私たちが何も学ぶことなく終わってしまうのです。 
 
 「永続的な進展がなければ、何の成果も得るものはない」ということは、歴史が証明しています。
 
 大幅な財政赤字が引き金となり、1980年代に行われた大きな政府からの縮小(修正)もその一つです。そして、「永続的な進展がなければ、何の成果も得るものはない」ということこそ、時の政権によってコロコロと気まぐれに変わる政策によって何度も何度も教えられてきた、“唯一の教訓”でもあるのです。まずは、その例を見ていきましょう。(次ページへつづく)

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By Charles P. Pierce on March 12, 2018
Photos by Getty Images
ESQUIRE US 原文(English)
 
TRANSLATION BY Nana Takeda 
※この翻訳は抄訳です。
編集者:山野井 俊

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