2017年10月、共和党上院議員のリーサ・マーカウスキー氏が医療費負担適正化法(Affordable Care Act:ACA)を窮地から救ったことで、ヒーローになったときのことを覚えていますか?

共和党上院議員である
リーサ・マーカウスキー氏の
行動を思い起こそう

 彼女があの忌まわしい税制計画(ここにはACAを損なう要素含まれています)について選択を迫られたとき、彼女は賛成票を投じたと疑われていることも…。それからの彼女の真意は、北極野生生物国家保護区(Arctic National Wildlife Refuge:ANWR)で石油や天然ガスを採掘することであり、それを許可する法案は税制改革法案とセットになっていることも、記憶にあるでしょうか。

 カリブー(北アメリカに生息するトナカイ)たち、気をつけてくださいね。ブルドーザーの音は迫ってきていますよ。その角が無事だといいけれど…。以下は「アンカレッジ・デイリー・ニュース」の記事になります。

 「内務省土地・鉱物管理担当国務次官補のジョー・バラシュによると、当局は護地区内カクトヴィクから西のアトジャグヴィクまで、ANWRのコミュニティを訪問した。その目的は、3月に発行される連邦広報の中で、計画中の土地の借用に関する環境影響評価報告書作成にむけて作業が進められる通達が出されるということを、事前に住民に知らせるためだという。ANWRの開放は、共和党の議員たちが要求し続けていたものの、40年もの間実現していなかった。しかし、連邦議会とドナルド・トランプ大統領は昨年12月に、ANWR内の1900万エーカーの土地で採掘を行うことを認めた。本案では、最初の鉱区借用権の売り出しを4年以内と定めている。しかし、保護団体は当局がもっと早いペースで動くのではないか、と危機感を募らせている。この緊張状態に拍車をかけたのが、アラスカ州選出の共和党上院議員ドン・サリバンが、テキサス州ヒューストンで開かれたエネリギー会議でした発言だ。彼はスケジュールを定めることができないものの、借用権の売り出しを来年には実行できると述べた。実際のことろ、今後10年の間採掘は予定されていない」

共和党は、
自らシャベルを
持ち出しそうな勢い

 おっと! そんな予測など私は信用しませんよ。石油ガス採掘業界の人々は、そんなに我慢強くありませんし…。アラスカ議会からの代表団や共和党の議員たちは皆、自らシャベルを持ち出して採掘を始めそうな勢いですから。

 「ドン・ヤング下院議員は、『状況さえ整えばANWRは開放されるのだということを、私はずっと知っていた』と述べました。彼はまた、代表団が税制法案の中に、ANWR開放に関する要求を盛り込むことを強く要求していると述べ、その理由を『率直に言って、この税制法案は通ると考えているから』と話しました。それに(ANWRに関する)この施策が単独で上院を通過するのは難しいでしょう。『私たちが今やっているのは、環境保護庁とアメリカ陸軍工兵隊、そして、魚類野生生物局を皆ひとつの場所に集めること。そうすれば、皆が同じ答えを出すから…。つまり計画を延期したり、あるいはゆっくりと実施しようなどということは考えないからだ』と彼は続けました。代表団は、早い行動を望んでいると言う。というのも、未来の政権では実行が阻まれる可能性があるからです。今のところ、当局は代表団にあることを伝えているとのこと。ヤング氏によれば、「彼らが伝えているメッセージとは『一致団結して、一度に片付けてしまわなければならない』ということ」であるようです。

カリブーたちの運命は、いかに?

 私は、2年間ほどモ・ユーダル氏をアメリカ大統領に選出させようと活動していたことがあります。ユーダル氏は、ANWRの設立の中心人物でした。

 だから、この保護地区の中心にあった考え方を剥ぎ取り、この土地をバラ売りしてクレーターだらけの月面のようにしてしまう取り組みに不安を感じています。

 環境保護の専門家がすでに指摘しているように、現政権はかねてから公有地を、野生生物とATMを共存させる土地にすることに力を注ぐことを公にしていた人々の集まりですから。

 「ウィルダネス協会のニコール・ウィッティングトン=エヴァンスアラスカ地区所長は、トランプ政権がまたもや『開発のためにアメリカの公有地を売りさばこうとしている』と述べている。それも石油・ガスが引き起こす悪影響についての情報を、十分に得ないままにです。彼女はまた当局が、『スケジュールをどんどん前倒しにしていくのだとしたら、環境に考慮した重要なプロセスを完了させることはできないし、地元コミュニティの懸念に対して、十分な形で対応することもできない』とも話しています」と。

 とにかく、リーサ・マーカウスキ氏は満足でしょうね。

Source / ESQUIRE US