大半の男性は、お酒を好んでいることでしょう。
平日の仕事帰りに同僚と一杯、
または週末にパートナーや友人たちと
飲み明かしている方々は多いことかと。

バーで飲むお酒は格別でありますが、
みなさんは高齢者バーや 
ダイブ(俗語:あやしい飲み屋)の
存在をご存知でしょうか。

そこで、今回『エスクァイア US』のエディターは、
日頃お酒をたしなんでいる普通のバーとはまた違う、
高齢者バーとダイブについて語ってくれました。 

高齢者=おじいちゃんのイメージを覆してくれる
楽しい社交場にぜひご注目ください!

高齢者バーとダイブをご存知ですか!?

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©Esquire US 

 高齢者バーは、しばしダイブ(いかがわしく怪しげなバー)と混同されますが、ようやくこの2つを区別するときが来ているのではないでしょうか。確かに、両方とも照明が悪い上にドリンクの質は低く、無数の疑わしそうな飲み客が一人で佇んでいます。 

 状況は大層いらだたしいものであり、ダイブバーの日中の時間帯においては、そういった疑わしそうな飲み客のほとんどは常に高齢者です。火曜日の午前11時に飲み始めることが可能なほどの自由時間を持ち、自らの肝臓の健康に無頓着だからでしょうか?

 ここからはポイントごとに、両方の類似点、相違点、軍配の上がるバーについての概要をお伝えします。

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1. 照明 

 高齢者バーの照明は、常に明るいです。その理由を知りたいですか? それは高齢者が典型的と言えるほど、暗いダイブでは視界が利かない」ためだからです。また「視界が利かない」ということが、非常に薄汚れたダイブではかなりの魅力となっている(とりわけ、ご自身の性的基準を下げたい場合)一方で、高齢者バーの照明は高齢者が字を読めるように明るくする必要があるのです。 

 彼らは、そこで本を読んでいるわけではありません。当然ながらスマートフォン(高齢者はまだ折りたたみ式の携帯電話を持っており、電源をオフにして車のグローブボックスに入れています)も使用していません。彼らが高齢者バーに来ている理由は、新聞を読むためです。『ポスト』紙や『デイリーニューズ』紙のような安物のタブロイド紙は、ちょうどストリップクラブのステージ上に見られるドル紙幣のように、高齢者バーでは常に最優先でカバーされています。中には、レースで賭けをしたり観戦したりする場所が近くにない場合でも、競馬新聞で研究する高齢者もいるみたいです。



2. ビール 

 ダイブと同様、高齢者バーにはタップ(ビールサーバーの注ぎ口)はほとんどありません。ビールリストを要求すると、バーテンダーはきっぱりと答えるでしょう。「何でも揃っていますよ!」と。「何でも」というのは、バドワイザー、ミラー、クアーズおよび、それらの低カロリー商品を指します。ラベルがついていない安物の地ビールが入ったロングネックは、ウェットクーラーから回収されました。おそらく、PBR、シェーファー、ジェニー・クリームのような、缶詰めにされている数点のクラシックビールのことかと。 

 ところが高齢者は皮肉抜きで、こうしたビールを飲みます。その理由はとても安いからです。どんなろくでなしが、ビールにお金をたくさん注ぎ込んでいるのでしょうか? 高齢者は、目下市場にあるそれほど重要ではない発酵食品のために、1オンス当たり1ドルも費やす人々がいると聞いて激怒することでしょう。あろうことか、ダイブですら、高価なIPAやトゥー・ハーテッド・エールの取り扱いを開始しました。これは、恥ずべき行為です!



3.

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写真:お酒を飲むときこそが、幸せのひとときですよね。©Esquire US

 
 高齢者バーの選りすぐりの蒸留酒については、カナディアン・ウイスキー、ブレンデッド・スコッチ・ウィスキーといったものがメインとなっています。これらのお酒は高齢者たちが若いころ、持てはやされた因習的な蒸留酒製造所でつくられた低価格のバーボンです。これらを豊富に備えたダイブの蒸留酒よりも、遥かに良いものである!とは言い切れないかもしれません…。でも、ただ(無料というわけではないようです笑)、ショットが必須であるダイブとは異なり、高齢者バーのドリンクはもっぱらストレートで出るか、またはホテル製氷機で作られた質の高い立方体の氷の山に注がれます。 

 ご自身が高齢者バーでオールド・ファッションド(ウイスキー、ビター、砂糖を混ぜ、飾りのフルーツを添えたカクテル)を所望するほど大胆であれば、バーテンダー(奇妙なことに、大抵は老婦人)は、フルーツカクテルに相当するバー飾りをゴッサム模様のロックグラスの下にスプーンですくい入れ、その上にシーグラムをいくらか注いでくれることでしょう。おそらくはスプレーで、ソーダ水のしぶきを上に吹き付けるでしょう。オールド・ファッションドが最新の流行であったときには、そのように作られていました。それはここにいる高齢者たちが、若かった頃の話です。でも、あなたはダイブで、オールド・ファッションドを所望したりはしないでしょう。散々バカにされてしまうといけませんからね。お酒を飲む時もTPOをわきまえて飲めば、よりお酒の素晴らしさを実感することができることでしょう。

娯楽的要素が盛りだくさん!

4. 食べ物 

 キッチンを所有していない場合でも、二つのバーでは食糧事情も異なります。誰もダイブへ食べに行こうとしないなか、ご自身が空腹になると、周りの人たちはバーの下にある、しわくちゃになったテイクアウトメニューの巨大なバインダーから注文するよう嗾(けしか)けることでしょう。高齢者バーでは、しばしポテトチップが簡素にディスプレイされたり、ホットドッグを調理するための映画館売店の機械装置や、唐辛子を煮詰める古めかしい電気鍋が使用されたりしています。 

 最良の高齢者バーであれば、あたかも祝宴がすぐにでも催されるかのように、その後壁にミニ・ビュッフェが設置されており、非高齢者バーの世界では何十年と見ていなかったような、少量のスターノ(缶入りの固形燃料)で加熱されたアルミ箔トレイの料理が出されます(ラッキーならばポットロースト、ソールズベリー・ステーキ、ポテト・スキン)。さらに素晴らしいことに、高齢者バーでは食べ物代を支払う必要がありません。飲んでいる限りは無料なのです。しかしダイブでは…。皆さん、ダイブで、何かしら無料で手に入れられるようトライしてみてください。



5. 娯楽

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写真:日本のバーでも、テレビや一般紙のみならず、タウン誌やグルメ誌などのフリーペーパーが置いてあったりしますよね。©Getty Images 

 
 しばしばジュークボックスが殺人的な大音量で鳴っている場合があるダイブとは異なり、高齢者バーではボリュームは常に低く設定されています。高齢者は必要な場合には、会話を望みます。同様の理由で多くの場合、高齢者バーでは21世紀のテレビ技術が不足しています。ダイブにテレビがあることは稀(一日中飲み続けている間に外の世界で何が起こっているか知りたいとは思いません)である一方、高齢者バーでは未だにV字型アンテナを使用した単管テレビにこだわるという意固地なケースがほとんどです。 

 でも、高齢者の方々は、飲むために高齢者バーへ来ているのですか? それともテレビを見るために入店しているのでしょうか? その答えとしては、前者がベターです。ニュージーランド国外で行われるラグビー試合の後半戦を、高齢者バーで観戦するつもりはないでしょうから。消音設定のローカルニュースで十分のはずです。華やかなニュースキャスターや、アメリカの政治状況がいかにひどいものであるかについてコメントし合っている高齢者たちの輪に加わることができます。



6. 人気

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写真:人類にとって永遠の人気飲料であるビール。我々の子孫にも引き継がれることかと。©Getty Images 

 
 残念ながら、高齢者バーは消滅しつつあります。最近は何かと、自家製の肉加工食品のためのプログラムや、長期にわたって選りすぐられたフレッシュジュースとシロップが存在しないのが「ダイブ」であると決めつけられておりますが、高齢者バーは単に、『ネブラスカふたつの心をつなぐ旅』のような芸術品まがいの映画の中で存在しているように思われます。Yelp(イェルプ、飲食店などの店舗のレビューを投稿できる口コミサイト)のサイトでは、「高齢者バー」でソートすることができません(「ダイブ」では可能)。ザガット(アメリカのレストラン評価会社)では、町別のランキングは上位、下位のいずれも作成されていません(こうした「無愛想」な「高齢者バー」には…で印がつけられています)。また、いわゆるダイブの多くが行っているように、「隣接3州で一番の高齢者バー!」と、ウェブサイトで誇らしげに宣言する高齢者バーは存在しません。 

 悲しいことに、高齢者バーが単独でマンハッタンに店を構えることが、まだ可能かどうかは疑わしいところです。ジミーズ・コーナーや、オランダバーは受け入れられると思うのですが…。アウター・ボロー(ニューヨーク市のマンハッタン以外の行政区)では高齢者バーをもっとたくさん見つけることができますし、もちろん全米の小都市でも見られます。おそらく若い男性は皆、無数のダイブで満ちあふれている大都会の喧騒のために、そのエリアから去ったのです。 

 それでも高齢者バーを愛する者として、私は心配していません。こうしたダイブはすべて、数十年のうちに高齢者バーになっているかもしれません。私はそれまでには高齢者になってしまいますが……、待ち続けます。


By Aaron Goldfarb on October 30, 2015
Photos by Esquire US and Getty Images
ESQUIRE US 原文(English)
TRANSLATION BY Spring Hill, MEN'S +
※この翻訳は抄訳です。


編集者:山野井 俊