ハグは相手と場合に応じて、使い分けましょう。
欧米人や欧米文化に慣れ親しんだ方であるなら、あらゆる局面でハグをする機会は多いことでしょう。そして誰もがそのあと、「いまのハグは成功だな!!」「あ、いまのハグは失敗だったかな⁉」などと、自分なりの評価を下していることでしょう。
そんななか、ここ最近ではカナダのジャスティン・トルドー首相以上に、「いまのハグは失敗だったな!」とツブヤキながら、居心地の悪い思いをした方はいないでしょう。
しかし、ハグが日常化している生活の方にとっては、実際問題なかなか大変なものです。
それは2018年4月17日のこと、訪仏中のカナダの首相トルドー氏が、フランス首相のエマニュエル・マクロン氏と挨拶をした際のことになります。
下掲の写真をご覧ください。トルドー首相は全身を密着させてながらも、お尻だけは後ろに突き出し状態です。これは見るからに居心地が悪そうですね。それに対してマクロン首相のほうは、逆に棒立ち。トルドー首相のハグを受け流しているように見受けられるのです。
その様子は彼らの後方に立っている衛兵たちの様子からもうかがえます。お2人のハグの様子を流し目で確認しながら、少々震えているのが明らかですから…(衛兵は感情を表に出さないことで給料を貰っている人たちなので、で、代わりに解説しました)。
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提案として、初対面の相手とはハグではなく握手をするほうが間違いありません。決して、初対面からふざけた真似はしないほうがいいでしょう。
トルドー首相とマクロン首相を見ていると、互いにまだまだ初々しい様子を見せています。ハグというのは、以前会ったことのある相手にはすべきもの。なので、今回が2回目の対面となったこの2人は、まだまだハグ初心者同士であるわけなので、大目に見てあげましょう。
基本ハグは、2回以上に会った方には率先してすべき挨拶です。ハグをしたがらない人たちは、ハグをうまくできなかった人たちと同じくらい不格好に見えますから…。
そして、今一度確認しておきましょう。ハグをする際に大切なのは、「相手がどんな人なのか、そして、どんな状況なのかをわきまえてする」ということになるのです。
それではここで、トルドー首相がこれまでに見せたハグのテクニックを振り返ってみましょう。今回のハグは不具合が生じているようですが、実は世界の首相の中でもトルドー首相はハグの達人とも言えますから。
ハンドシェイク・パット(握手しながら軽くたたき合うハグ)
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この「」他人の体に触れることに関して、強硬に反対する人向けのハグ入門編と言えるでしょう。これは「私がここにいるのはあなたと握手するためだが、同時に私は共感する心が欠落した完全な怪物というわけではない」ということを、相手に伝えるためのハグになります。
写真における、ふたりの手の位置を確認してください。完璧な肩のつかみ方をしていることが分かります。
まず、手を置く位置に気をつけてください。相手の肩の上に手を置いてしまうと、相手を支配しているように受け止められてしまい、そうなると非常に繊細な男性としてのプライドをもつ相手の場合、攻撃されたように感じてしまうでしょう。
…ということで、この「ハンドシェイク・パット」は、相手が同僚やちょっとした知り合いの場合におすすめとなります。
ハンドシェイク・ハグ(握手しながらのハグ)
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これはあらゆるハグのなかでも、いちばんよく目にするものです。こちらのタイプの場合、握手から生じた愛があふれ出し、思わずハグに至ってしまったという自然体なものになります。
この「ハンドシェイク・ハグ」を行う場合には、どちらかが相手を一方的に引っ張っているというふうに感じられないようにしてください。ふたりの人間が互いのことを気にかけていれば、ふたりの握手は自然とハグになるものなのです。
ただし、このハグは長くやり過ぎてもいけません。長くやりすぎると、握手によって串刺しになったような奇妙な状況に陥る恐れがあるからです。さらにハンドシェイク・ハグでは、全身を密着させるのもいけません。全身を密着させてしまうと、先に述べたお尻を後ろに突き出すことになるからです。
こちらは相手が友人や学校時代の同級生、親しい同僚の場合におすすめとなります。
サイド・ハグ(相手の背中に軽く手を添えるハグ)
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「サイド・ハグ」は、気まずさを効果的に和らげるジェスチャーになります。このハグは、相手の警戒心を解くために相手に示すべきハグです。しかも、相手の体にあまり触れずに済むやり方になります。
たとえば、たくさんの人で混み合った部屋のなかで誰かに挨拶するような場合、スペースがなくて「ハンドシェイク・パット」ができないといった場合には、この「サイド・ハグ」を使いましょう。
これはハグのまねごとに過ぎないという人もいるかもしれません。「サイド・ハグ」をするには、相手の後ろに腕をまわし、背中か右肩の上のほうに触れるようにしましょう。その際「あなたにスペースがあるのはわかっている、そして、そのスペースに私を入れてもらえることに感謝している」という感じにしてください。相手の背中の下の方に触れるのはいけません(社交ダンスの教室なら話は別ですが)。
「サイド・ハグ」は、ハグするほど親しい間柄の相手なら誰にでも使えるハグで、年配の女性たちのキスを避けたいときにも使えますよ。
ベア・ハグ(抱きしめ合うハグ)
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「ベア・ハグ」は、いくつかあるハグのなかでも正しく実行できれば、いちばん素晴らしいもの。お祝いごとのときにおすすめのハグとなります。
「ベア・ハグ」をする場合には、必ず両方の腕で相手を抱きしめるようにします。そして相手を警戒させず、必ず積極的にハグしてください。そうしないと、一部の人たちがやっているような奇妙な背中のたたき合いになってしまいます。
あなたは相手の背中をたたいて、相手の胸に苦しさをゲップで直してあげようとしているわけではないのですから…。「やあ、いまはお祝いすべきときだから、一瞬だけ抱き合おう」と、お互いに言い合う瞬間を認めているのです。
「べア・ハグ」は自然な感じがしますし、お互いに了解し合って躊躇さえしなければ、ぎこちなさは霧消(むしょう)します。これは仲の良い家族や親友、そしておばあちゃんを相手にするときに相応しいハグになります。
By Justin Kirkland on April 18, 2018
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ESQUIRE US 原文(English)
TRANSLATION BY Hayashi Sakawa
※この翻訳は抄訳です。