「セリーナ選手への違反判定はダブルスタンダードだ」と、主審を批判する元テニスの女王。

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Billie Jean King

 2018年9月8日(現地時間)、セリーナ・ウィリアムズ選手が全米オープンの女子シングルス決勝で主審カルロス・ラモスさんに猛抗議し、暴言を浴びせたことを理由に前代未聞のゲーム・ペナルティーが科せられました。

 これを受け、女子テニス協会(WTA)創設者の1人であるテニス界の重鎮ビリー・ジーン・キングさんが、米「ワシントン・ポスト」紙に寄稿。「それはダブルスタンダード(二重基準)だ」と主張したそうです。

 決勝で大坂なおみ選手に敗れたセリーナ選手は、違反とされる試合中のコーチング、ラケットの破壊、暴言などの違反行為で1万7000ドル(約189万円)の罰金を支払うことに…。

 彼女が主審に吐いた暴言はこちらになります。

「あなたが生きている限り、私のコートには2度と立たせない ― あなたは嘘つき。いつになったら、私に謝るの? 謝罪する必要があるでしょう。さっさと謝りなさいよ。ごめんなさいって。それに私からポイントを奪ったわね。この泥棒!」

 また試合後のプレスカンファレンスでは、男子選手が同様の行為を行っても罰せられないと語り、自分への違反判定は「女性への性差別的」と訴えたのでした。

「私は女性の権利と平等のために戦っている。『泥棒』と言ったことで1ゲームを奪われるのは、性差別だと感じた ― あの主審は、男子選手に『泥棒』と呼ばれても、ゲームを奪ったりはしない。とにかく衝撃を受けたわ」と。

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 それについて女子テニス協会と全米テニス協会は、「テニス界では、男子選手と女性選手の扱いが違う」とセリーナ選手を擁護するのでした…。

 そしてかのビリー・ジーン・キングさんも同じ意見のようで、セリーナは男子選手に比べて不当な扱いを受けていると吐露したんです。

「女性が自己主張をしたことでペナルティを科された ― 女性が差別を受けたのに、試合はそのまま続けられた」と。

 ビリー・ジーン・キングさんは他にも、「女性は完璧であるべき」と思われていることを問題視。

「私も選手だったころ、同じような経験をした。それに反発するため、試合を途中で放棄したこともある。それは私のテニス人生で最も誇りに思う瞬間ではないけれど、最もパワフルな瞬間だったかもしれない ― あのような行動を起こしたセリーナの気持ちは理解できる。彼女の試合を観た女性たちも、自分が正しいと信じたことを貫くことも大事だということに気づいてほしい。それがなければ、何も変わらない」と…。

 テニス界にはびこる性差別に立ち向かったセリーナ選手。彼女の言動をきっかけに、ダブルスタンダードが一掃されるのか、世界的問題とも言えるこの問題が、解決に向けてどう動くのか引き続き要注目したいと思います。

 …ですが、そうした差別があるにせよなしにせよ、セリーナ選手と同じ環境下条件下で、大坂なおみ選手は勝利したことは揺るぎない事実なのです。それは偉大なことであると改めて思うのでした…。

Courtesy of Billie Jean King Photo: Getty Image
Translation: Reiko Kuwabara From TOWN&COUNTRY