英国ケンブリッジ大学の女子ボート部が、国際的なレガッタ競技会への参加を拒否するという事態にまで発展…海外メディアでは、大きな話題となっています。

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 Cambridge Male Rowing Team Given Five-Star Hotel While Female Team Offered Hostel 

 その理由は、男子部員の宿泊先が「5ツ星ホテル」であるのに対し、女子部員は「ホステル(安価な宿泊場所)」に宿泊させられるということに一因があります。

 女子のボート競技もTV中継されるようになり、また、開催日とコースも男子と同じテムズ川のコースに変更されて3年が経ちますが、今回明るみに出た一件のせいで、女子部員が男子部員と完全に対等になるまでには、まだまだ遠い道のりであることがここで浮き彫りになったのです。(次ページへ続く)

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The Sunday Times」紙によれば、クロアチアのスプリットで開催される名高い国際大会で同大学の女子ボート部員が、3年連続でホステルか学生用宿舎に宿泊することが発覚。よって、この招待を辞退したと報じています。

 その一方で男子部は、プライベートビーチや港、海沿いの遊歩道、テニスアカデミーを擁するエクスクルーシブなリゾートで、宿泊料金が1泊130ポンド(約2万円)以上する「ル・メリディアン・ラヴ(Le Méridien Lav)」に宿泊するのだそう。

 さらに、女子選手は現地までの旅費が自費であるのに対し、男子チームの旅費は大会主催者が手配したと報じられています。そこで女子ボート部・部長のダフネ・マーツチェンコさんは、次のような声明文を出しました。(次ページへ続く)

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ケンブリッジ大学女子ボート部・部長のダフネ・マーツチェンコさん。

「このイベントは、ケンブリッジ大とオックスフォード大を祝うものだと宣伝されています。男子と女子は対等な立場のチームとして存在しているにもかかわらず、宿泊条件には著しい格差がありました」とダフネ・マーツチェンコさん。

 そして、前部長を務めていたアシュトン・ブラウンさんも、大会の公式フェイスブックページに「もっと性差別のないイベントが見たかったです」と投稿。オックスフォード大やケンブリッジ大のOB選手たちから、女性部員の不参加によりその性差別に注目が集まっていると非難のコメントが主催者に寄せられています。 

 この件に関して、元オックスフォード大のレガッタ(ボート競技)の男性選手で大会創設者であるルカ・グルボー氏は、「これが不手際であることには同意します。ですが、このレガッタはいままで積み上げてきたものの上にあります。偶発的に生まれた1回ではないのです。いままで多くの人が努力を重ね、助け合い、そして後世へ貢献させるようと前進させ続けてきたものです。そして、あなたたち女子部員はそのレガッタをやらないことを選んだ…。あなたたちが選んだことは、ただひとつの問題だけに目を向け、そして境界線を引き、平等を求めているのですね」と、厳しいコメントを投稿しました。 

 それを受け、女子部の部長ダフネは、「大きな怒りと悲しみ、そして疲弊を感じています。もし逆の立場だったら、彼らは何と言うつもりだったのでしょうか…」とツイートしています。
 

 また、男子部長のクィンタス・トラヴィスさんは「サンデー・タイムス」紙に対し、宿泊先の問題はイベント主催者に向けられるべきだと語り、「選手はみんな、毎年テムズ川をはじめさまざまな場所で繰り広げられるスポーツイベントの振興のため、努力しています。スポーツにおける平等は、その使命の中心にあるものです」と述べています。

 実は最近でも同女子ボート部は、「男子選手たちが『女子選手があまり美しくない』という理由から、男女混合のイベントをキャンセルした」と非難していました。

 スポーツ界にもまだまだ根強く残る、賃金や待遇面での男女間の格差…。これからどのように改善されていくのかにも、注目したいところです。

From ELLE UK
Photography / Getty Images
Translation / Mitsuko Kanno