なかでも強調すべきは、中盤の選手たち。ポール・スコールズ、スティーブン・ジェラード、フランク・ランパード、デヴィッド・ベッカム、ジョー・コールらが、各々のクラブチームでプレミアリーグや欧州チャンピオンズリーグを盛り上げていました。

 しかし、これほど多くの才能溢れる選手たちを擁していたにも関わらず、スヴェン・ゴラン・エリクソンやスティーブ・マクラーレン、ファビオ・カペッロが監督を務めた当時のイングランド代表は、主要な国際大会ではそのポテンシャルを期待ほど発揮することができませんでした。

 当時のイングランド代表が、これほどまでに期待はずれに終わった理由は何なのか? 黄金世代を支えたリオ・ファーディナンド、スティーブン・ジェラード、フランク・ランパードの3人が、BTスポーツの「プレミアリーグ・トゥナイト」のなかで語ってくれました。

◇リオ・ファーディナンドが語る

これはyouTubeの内容です。詳細はそちらでご確認いただけます。
Why did England's 'golden generation' fail? Lampard, Gerrard and Rio reveal all | PL Tonight
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 ファーディナンドによれば、彼自身は子供のころからランパードと仲が良かったそうですが、それぞれがプレミアリーグで競合するチームに移籍したことで、二人が話すことはなくなってしまったと言います。

 「クラブに忠誠を誓い、その成功に執着するあまり、周りが見えなくなるような強迫観念が、代表チームの選手たちの間に蔓延していました」とファーディナンド。

 「(ランパードとは)ウェストハム時代を一緒に過ごし、相棒としてどんなことも一緒にしたものでした…。ですがその後、私はリーズを経てマンチェスター・ユナイテッドに移籍し、フランクはチェルシーに行きました。そのころから、私たちのコミュニケーションは崩壊してしまいましたね」と、ファーディナンドは語っています。

 また、「勝利への強迫観念が理由だったんだと思います。フランクが自分よりも優れているところを見たくなかったんですね」とファーディナンド。

 次に、ジェラードとの関係も、ファーディナンドも語ってくれました。

 「スティービー(ジェラード)とのイングランド代表での関係も、ランパードと同じでした。リバプールFCとマンチェスター・ユナイテッドFCがプレミアリーグを争っていた当時、彼の近くに座り、一緒にビールを飲むなんてことはできませんでした。リバプールがどんな様子かなんて話は、聞きたくないですからね。こういったことが、当時のイングランド代表の足を引っ張っていたんだと思います」とのこと。

 当時のイングランド代表ではクラブごとの派閥ができ、監督はチームメンバー同士の強い絆を築くのに苦労していたと言います。

 また3人は監督、なかでもスヴェン・ゴラン・エリクソンの責任についても言及しています。戦略的失敗や、スター選手を外す決断をできなかったことを指摘しています。

  「あの当時、中盤の選手に関して、思い切った抜擢ができる監督はいなかったと思います。当時の代表には名目上、世界最高のミッドフィルダーが集まっていましたから…。ランパード、ジェラード、スコールズ、ベッカム、ハーグリーヴス、キャリックのような面々ですからね。そしてチームは、頑なに4-4-2でプレーしていましたから」

 「チームに世界最高峰のプレイヤーが揃っていれば、監督はできるだけスタメンに組み込もうとするものです。それはダイヤモンド型の中盤(4-4-2のフォーメーションの1つ)であっても、使おうとするんです」と重ねてファーディナンドは語ったのでした。

 そして最後に、「スペインやドイツならどうだったでしょうね。当時のイングランド代表ミッドフィルダーたちは、これらのチームにフィットしていたことでしょう。しがらみなくベストを尽くしていたでしょうし、ピッチでも最もクリエイティブな選手だったに違いありません」とのこと。

 そんな問題点を赤裸々に語ってくれたファーディナンド。この内情を把握しながら、かつて「黄金の中盤」と言われた元イングランド代表選手たちを振り返ってみましょう。

スティーブン・ジェラード

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2005年9月3日、ウェールズ代表とのワールドカップ予選試合に出場した中盤の要の一人、スティーブン・ジェラード。中盤で囲まれ、パスコースを塞がれる場面もありましたが、すべての能力が高いジェラードは相手陣地内をドリブルしました。イングランド代表では欠かすことができなく、またリーダーシップのある選手でした。

フランク・ランパード

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2006年10月7日、ホームで行われたマセドニア戦に出場したフランク・ランパード。ベッカムやジェラードらとともに、常にスタメンに名を連ねていた彼。そんなランパードの魅力は、運動量の多さとFW顔負けの力強いミドルシュートでした。端正な顔立ちから女性からの人気も高く、また、何事にも動揺しない沈着冷静な態度からは男性のファンも多いという、人気においてもユーティリティープレイヤーなのです。

デヴィッド・ベッカム

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2006年6月25日、2016ワールドカップのエクアドル戦に出場した「サッカー界の貴公子」こと、デヴィッド・ベッカム。誰もが憧れる彼の正確無比なクロス、パス、シュートは多くのサッカーファンに愛され続けました。彼の右足は、イングランドサッカー界で忘れられることはないことでしょう。そして、彼の声も。

ポール・スコールズ

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2004年6月17日、EURO2004のスイス戦に出場したポール・スコールズ。そんな彼の持ち味は、攻守共に高いレベルを披露してくれるところ。特に中盤でのボール争いやパンチの利いたミドルシュートが、彼の魅力でした。

ジョー・コール

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2006年11月15日に行われた、オランダとの親善試合に出場したジョー・コール。当時、代表の中盤では若手でしたが、エネルギッシュなドリブルやセンスのあるパスは多くのサッカーファンを魅了しました。「天才ジョー・コール」と呼ばれた時期が、とても懐かしく感じることでしょう。

オーウェン・ハーグリーヴス

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2006年9月6日、EURO2008のマセドニア戦に出場したオーウェン・ハーグリーヴス。中盤そして両サイドバックをこなすことから、イングランド代表で重宝されました。スタメン出場こそ多くはありませんでしたが、攻守のバランサーとして代表に招集され続けました。

マイケル・キャリック

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2006年6月25日、2006ワールドカップのエクアドル戦に出場したマイケル・キャリック。ボランチの位置から精度の高いグラウンダーのパスを供給したことで知られました。ハーグリーヴス同様、常に代表に招集され続けてきました。

Source / ESQUIRE UK
Translation / Wataru Nakamura
※この翻訳は抄訳です。