米フロリダ州マイアミにて開催中の
テニス・マイアミ・オープンにて、
2016年4月1日(金)に
男子シングルス準決勝が行われました。
そこで錦織 圭選手が快勝!
念願のマスターズ大会初優勝へ
王手をかけました。

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オポーメント(対戦相手)であるニック・キリオス選手と終了後、ネットを挟んで握手を交わす錦織選手。ニック・キリオス選手(オーストラリア:ATP世界ランク26位)は20歳。トップ30では最も若い選手です。Photograph/Matthew Stockman(Getty Images)

 錦織 圭:テニス・マイアミ・オープン

2016年4月1日(金)米フロリダ州マイアミにて、ATPツアーにおける最高峰となるマスターズ大会(優勝者は1000ポイントが加算)のひとつ、“マイアミ・オープン”男子シングルス大会12日目、準決勝が行われました。※この上の大会としてグランドスラム(全豪オープン・全仏オープン・ウィンブルドン・全米オープンの4大大会)がありますが、管轄はATPとは別団体のITF(International Tennis Federation)。優勝者には2000ポイント、準優勝には1200ポイントが加算されます。

 そこに登場したのが、現在世界ランク6位である我らが錦織 圭選手です。そして、そのオポーネントとして登場したのは、現在世界ランク26位であるニック・キリオス選手。キリオス選手はランキング上では格下となりますが、今季ここまで15勝3敗とキャリア最高の出だし。少々の不安が、我々錦織選手ファンにもよぎったはずです。ですが、キリオス選手はこの大会の4回戦(3月29日)でも試合中審判へ暴言を吐くなど、メンタル面での不安定さが目立つ選手でもあるな…と、自分に言い聞かせなら夜中のテレビにかじりついていた方も少なくなかったことでしょう…。 

 しかしながら、そう簡単には行きません。キリオス選手は2月、オープン13(Open 13 Provence 2016)を制し、ATPツアー初のタイトルを手にしたばかり。錦織選手にとっての課題でもある、ビッグサーバータイプの選手です。この一戦で、どう攻略するかも見物でした。
 

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Photograph/Mike Ehrmann(Getty Images)

 キリオス選手の身長は、登録では193cm。この恵まれた体躯から繰り出される強烈なサーブ、そしてフォアストロークを武器にする、前出でも述べているビッグサーバータイプなのです。このタイプの選手を克服し、勝利を繰り返すことが錦織選手にとっての課題の一つ。なので今回の勝利は、その喜びもひとしおではないでしょうか。ここでさらなる自信を得てほしいものです。

では、試合を少々振り返ってみましょう。

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安定したバックハンドストロークで着実にリターンする錦織選手。
Photograph/Matthew Stockman(Getty Images)

 
 第1セット第1ゲーム、キリオス選手のサーブで試合が開始しました。すると、さすが絶好調のキリオスが選手です。いきなりワイド、そしてセンターへと連続でエースを決める立ち上がり。錦織選手ファンも、ノッケからハラハラだったことでしょう。錦織選手の好不調も判断できないほど、ラリーに至る以前にサーブで圧倒してきたのでした。その後もサーブによるプレッシャーは続き、ラブゲームでキリオス選手がキープしたというわけです。

 続き第2ゲーム、サーブ権が錦織選手に移ります。ここで改めて、この日の錦織選手の調子を知ることができるでしょう…。15-15と初っ端から緊迫したムードとなりましたが、次のプレーでのフォア・ストロークが圧巻。相手の逆を突くウイナー(ラリーにおいて、相手がボールを少しも触れずに決まったポイント)で、30-15に。最後はセンターへの、サービスエースで錦織選手はあっさりとキープしました。このとき、多くのファンが安心したことでしょう。そして、「今日も勝てる!」と、誰もが確信を得たはずです。

 そして第3ゲーム。サーブ権はキリオス選手。錦織選手がここでブレークするか、それ如何で錦織選手の勝利は確実になる…と、多くのファンが望みながら凝視していた場面ですね。ここでコードボール(ボールがネットの白帯に当たって、相手コートに落ちること)となった場面が…。コードボールは、その試合の運を示すものでもあります。これを錦織選手は、見事にバックで力強くリターン。それがウイナーとなり、その後もストロークでも競り勝って0-30。続いて錦織選手がキリオス選手の強烈なファーストサーブを返すと、キリオス選手がミス。ここでトリプルのブレークポイントとなります。精神的にも優位に立つ錦織選手。しかしキリオス選手はここで集中し、エースなどで巻き返しを図ります。しかし、その集中も長続きしませんでした。最後にはキリオス選手がダブルフォールトをし、錦織選手がブレークしたのでした。

粘り強い錦織選手が、とうとう帰ってきました!

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粘り強くリターンすることで、相手のミスを誘発。
さらにスタミナを向上させたように感じさせた錦織選手でした。
バッグハンドに勝るとも劣らず、フォアからのウィナーも決めいました。
Photograph/Matthew Stockman(Getty Images)

  
 ここで多くのファンが、この日の勝敗に対し安堵を覚えたに違いありません。そして結果は……第1セットは6-3第2セットは7-5と、1時間24分でストレート勝ちとなりました。錦織選手、おめでとうございます!!

  錦織選手曰く、「出だしから感覚がすごく良かった。(ベースライ ンから)中に入って打つことができたんで…」と、念願のマスターズ大会初優勝に王手に歓びの表情を浮かべていました。これで2014年のマドリードオープン以来となる、自身2度目のマスターズ大会決勝にコマを進めたことになります。

  
 次なる決勝は、日本時間でいえば4月4(月)午前2時開始予定。そして肝心のオポーメント(対戦相手)は? 錦織選手にとっては大きな壁であり、勝利した経験もある王者・ジョコビッチ選手です。 

  
 この対戦カードは過去に7度もあります。肝心の対戦成績はと言えば……錦織選手の2勝4敗(1不戦敗)。でも我々には、この記憶が鮮明の残っているはずです。2014年の全米オープン。グランドスラムの準決勝という大舞台で、錦織選手は6-4、1-6、7-6、6-3のスコアで大金星を得たときのことを!  

 この日のように、再び錦織選手の勝利の雄叫びを聞きたいものですね。いやいや、必ずや聞かせてもらいましょう。そのためにも皆さんで応援しましょう。月曜日の出勤時間など心配せずに、モニタに映る錦織選手に大声援をおくりましょう!

心配なのは、体力の回復です!

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4月4日(月)、未明となりますが、再び錦織選手のこんな表情を観たいものですね。
そして元気よく、月曜日の出勤をしたいものです(笑)。
Photograph/Mike Ehrmann(Getty Images)

 
 錦織選手の武器、「粘り強いリターンが帰ってきた」。それを実感できる試合運びではなかったでしょうか。時速220km前後のキリオス選手のサーブを、完全に近い形で封じ込めていました。持ち前のしつこさを全面出し、力強いリターンを返すことで常に優位に立っていました。そこからキリオス選手のミスを誘発させる戦法はお見事でした。 

 しかし決勝は、あのジョコビッチ選手です。キリオス選手とは比べものにならない安定感があります。ですが、勝てない相手ではないのです。そのことは、本人が一番わかっているはずです。直近では1月の全豪準々決勝で対戦。結果は3-6、2-6、4-6で敗退しています。4月2日(土)のオフ。この日にいかにリカバリーできるかにかかっているのではないでしょうか。錦織選手も、「体力を回復することにつとめたい」と、万全の準備で王者に挑戦する意気込みを見せています。技術、そしてパワーはもはら同レベルではないでしょうか。問題は集中力と経験値。鍛え上げたスタミナで、絶え間のない集中を見せてほしいものです。錦織選手に勝利を!!

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ゲーム間、汗だくウエアを着替える錦織選手。
技術ばかりでなく、精神面そして試合勘に長けた錦織選手ですが、
ここで最近の強さの秘密が何であるか再確認できました。
やはり、パワーが確実に加わってきたのだと…。
肩の三角筋の隆起ぶりが素晴らしいですね。
これで190kn台だったサーブも200km超となったわけです。
Photograph/Matthew Stockman(Getty Images)

そして決勝の結果です。

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Photograph/Mike Ehrmann(Getty Images) 

 
 そうして現地時間2016年4月3日(日)、14日間におよんだマイアミオープン決勝が行われました。結果は、世界ランキング1位の絶対王者ノバク・ジョコビッチ選手に対し、3-6、3-6のストレー ト負けに。完敗とも言えますが、4大大会に次ぐ格付けの同大会で2度目の準優勝。今年の残る4大大会制覇に大きな期待を抱かせてくれました。次戦はバルセロナ オープンで3連覇に挑みます! 開幕は2016年4月18日(月)からです。

編集者:小川和繁