毎年恒例となっている『フォーブス』誌によるスポーツ界で最も稼ぐ人々のリスト…。最新のリストが発表されましたが、衝撃の事実が明らかになりました…。なんと、トップ100のなかに女性がひとりランクインされていなかったのです。


 公表されている報酬やボーナス、賞金、スポンサー契約金などを考慮し、アスリートの前年の推定年収をはじき出した『フォーブス』誌。

 その結果、2017/2018年の収入では、ボクサーのフロイド・メイウェザーが2億1200万ポンド(約310億円)で首位という結果でした。それに続いたのが、サッカー選手リオネル・メッシの8200万ポンド(約120億円)と、クリスティアーノ・ロナウドの8000万ポンド(約117億円)。MMAのコナー・マクレガーが4位で、報酬とスポンサー契約金を併せた収入が7300万ポンド(約107億円)。そして、サッカー選手のネイマールが6700万ポンド(約98億円)で5位にランクイン。

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写真左からルイス・ハミルトン、モデルのウィニー・ハーロウ

 
 因みに、イギリス人スポーツ選手のトップは、F1ドライバーのルイス・ハミルトンで、彼の年収は3700万ポンド(約54億円)、12位に。ボクサーのアンソニー・ジョシュアが2900万ポンド(約42億円)で25位、ウェールズ代表のサッカー選手ガレス・ベイルの年収は2570万ポンド(約38億円)と算出されました。

 スポーツ界で最もリッチなのが男性だということは、これといって驚きではありません。男性のサッカー選手やボクサー、バスケットボール選手が、女性選手と比べて涙が出るほど高額な給与を得るのが繰り返されるこの世の中の不公平は、誰もが承知しているところでしょう。

 しかしトップ100人のうち、どのスポーツの分野からも、女性がひとりも入っていないというのは、かなりの驚きではないでしょうか。

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 ランクインに至らなかった明らかな例が、セリーナ・ウィリアムズです。テニスのチャンピオンである彼女は2017年度、2000万ポンド(約29億円)を稼ぎ出し、51位にランクイン。

 しかし、2018年は出産で休んでいたため、ランクから外れているのです。ひとりの女性が出産休暇を取ると、リスト上にほかに女性が誰もいなくなってしまうというのは、実に寒々しい状況ではないでしょうか…。

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『フォーブス』誌のシニア・エディター、カート・バーデンハウゼン氏は、リストに女性がいないことを次のように分析しています。

「『フォーブス』の最も稼ぐアスリートのリストは、長年にわたり男性が優位です。しかし、2010年にリストが最低50人に拡大されてから、常に少なくとも1人、多い時には3人の女性アスリートがランクインしていました。が、今年はゼロ。昨年は、ドーピング疑惑で出場停止になったマリア・シャラポワがリストから外れたため、テニス界のスター、セリーナ・ウィリアムズただ1人でした。が、彼女は妊娠と出産で約12カ月間まるまる休んでいたため、ランクインは果たしませんでした。しかし、試合には出なくてもその間もパートナー契約は続き、ナイキやインテル、ゲータレードなどをはじめとする数々のスポンサーから、推定1800万ドル(約20億円)の収入を得ています」と。

これはxの内容です。詳細はそちらでご確認いただけます。

 ツイッター上では、著名なスポーツ団体やアスリートたちも、このリストはスポーツ界がいかに男性優位であり、直ちに正すべきであることの証拠かを強調しています。

 スポーツを通じて女性をエンパワリングしサポートする団体「ウーメン・イン・スポート(Women in Sport)」は、「2010年のローンチ以来初、フォーブスの最も稼ぐアスリートトップ100リストに女性がいない。報酬やスポンサー契約において男性選手と女性選手の間には大きな溝があり、いかに女性がスポーツ界で過小評価されているかが、明らかすぎるほどにわかる」とツイートしています。

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 また水泳選手のリジー・シモンズは、「このランキングが信じられない。トップ100に1人も女性がいないなんて。スポーツ界で男女同権を得るには、どれだけ遠い道のりかを表す顕著な例」と苦言を呈しています。

 2019年のリストは、大きく変わっているのを期待したいところですね。

From ELLE UK
Translation / Mitsuko Kanno