北朝鮮が平昌五輪に派遣したチアリーダーたちは、金正恩(キム・ジョンウン)氏による広報活動の一環とみられています…。

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 完璧な動きが目立つ、 北朝鮮のチアリーダー

 平昌(ピョンチャン)五輪開幕から数日、北朝鮮のチアリーダー軍団が注目を集めました。 

 この200人以上の応援団は、真っ赤なトラックスーツに身を包み、お面と小さな統一旗を持って熱の入った応援歌を披露するなどなど、「2週間の間、これまでの対立は忘れましょう」とも言わんばかりだったのです…。 

 彼女たちは、北朝鮮による広報活動の一環と言えるでしょう。北朝鮮のイメージと言えば「核戦力を保有しており、国民は餓え、奴隷のような状態にある」といったネガティブなものかもしれません。ですが、この応援団を通して「この国にはリラックスした雰囲気もあり、調和の取れた見事なダンスを披露することもできる」とでも伝えたいのかもしれません…。 

 
 2018年2月10日には、南北朝鮮の女子ホッケーチームの試合が行われました。このときの北朝鮮応援団の存在感は、かなり目を見張るものでした。試合自体はスイスの0-8で完敗し、残念な結果であったことには間違いありません…ですが、彼女たちは防弾少年団(韓国出身の人気男性ヒップホップアイドルグループ)のヒットソングに合わせて、見事なダンスを披露していルシーンには目を見張るものがあったのではないでしょうか。 
 

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手拍子のリズムを外すことがない、完璧な動きにビックリ!

 確かに魅力的な北朝鮮の応援団ですが、一方で、ゾッとするような面があることも無視できません。

 彼女たちがディストピア小説の『The Handmaid's Tale(侍女の物語)』(著:マーガレット・アトウッド)のような全体主義的な監視社会に生きているとしたら、ブルーノ・マーズやカニエ・ウエストに合わせてビクビクしながら踊っているのかもしれないのですから…。でも、そんな風に言うと、フェアではないかもしれませんね。

 この女性だけの応援団は、スタンドでの時間を楽しんでいるようにも見えましたので…。ただし、一つだけ言いたいのは、そう、一つだけ言いたいことが…彼女たちは、一人として手拍子のリズムを外すことがなく、こういったことが逆に異常で恐ろしく思えるということです。 
  

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 ちなみに『ワシントン・ポスト』紙は、平昌五輪における彼女たちや金正恩氏の妹の存在に、より大きな地政学的(地理的な環境が国家に与える政治的、軍事的、経済的な影響を、巨視的な視点で研究するもの)狙いがあると見ています。「北朝鮮は、魅力攻勢で米国と韓国の間に楔を打ち込む意図がある」と分析しているのです。 

 世界中のトップアスリートの活躍が目まぐるしい毎日ですが、違う目線で平昌五輪を観ている方もきっといるのではと思うのでした…。


By Justin Kirkland on February 11, 2018
Photos by Getty Images
ESQUIRE US 原文(English)

TRANSLATION BY Wataru Nakamura
※この翻訳は抄訳です。


編集者:山野井 俊