2018年2月9日に韓国の平昌(ピョンチャン)で開幕した、2018年冬季オリンピック(五輪)。2018年最初の大イベントとして注目されている今回のオリンピックですが、出場国や競技など、まだまだ詳しく知らない人も多いことでしょう。
そこで、今回は平昌五輪に関して押さえておくべきポイントをQ&A形式で解説します。
スキージャンプ女子ノーマルヒルで、日本人初の銅メダルを獲得した高梨沙羅選手。Photograph / Getty Images
公式マスコットの名前は?
Photograph / Getty Images
平昌五輪のマスコットは、白虎の「スホラン」とツキノワグマの「バンダビ」の2匹です。可愛らしいマスコットですよね。
開催地・平昌はどこにあるの?
Photograph / Getty Images
韓国東部の山間部の平昌と沿岸部の江陵で開催しています。過去2回の冬季五輪では、暖か過ぎる天候が批判を浴びましたが、今回のオリンピックは1994年のリレハンメル大会以降で、もっとも寒いオリンピックになる可能性があります。
平昌は標高およそ700mの場所にあり、五輪組織委員会からは、開会式で氷点下13度の風にさらされる観客たちを心配する声も上がっています。2018年1月に平昌の五輪スタジアムで行われたコンサートでは、観客の6人が低体温症の症状を訴えたと言います。なぜこんなに寒いのかというと、主催者が資金不足のため、セントラルヒーティングを導入できなかったためとのこと…。
現地で鮮魚店を営むナム・サンウーさんは、AP通信に「外部から来る多くの人にとって、この地がどれほど寒くなるかということは理解できないでしょう。彼らが来た土地の寒さとは、確実に質が異なりますから。ここの寒さはまったく違うんですよ」と語っています。
北朝鮮は参加しているのか?
Photograph / Getty Images
はい、参加しています。
北朝鮮と韓国は、2006年アジア競技大会以来初めて「統一旗」で合同入場行進が行われ、1991年の世界卓球選手権以来初の、南北統一チームが結成されました。両国は、女子アイスホッケーで合同チームを結成しています。また、最近は大げさな物言いを控えていた金正恩氏ですが、妹の金与正氏を五輪観戦に送り出しています。
とはいえ、これは南北関係の修復を意味するものでありません。オリンピック会場は、北朝鮮国境からわずか80kmほどの場所にあります。ですが、韓国は万が一に備えて、この会場付近の地下に巨大な避難施設を準備しています。
平昌五輪の競技種目は?
Photograph / Getty Images
スキー、スケート、バイアスロン(スキーとライフル射撃を複合した競技)、ボブスレー(映画『クール・ランニング』でお馴染みのソリ競技)、リュージュ(仰向けでソリに乗る極限的な競技)、カーリング、アイスホッケーと、7競技102種目の競技が行われます。
もっとも危険な競技は?
Photograph / Getty Images
過激とも言えるスポーツはたくさんありますが、想像するだけでも身震いするようなもっとも危険な競技と言えば、おそらく「ボブスレー」競技に属する「スケルトン」でしょう。
この競技は、金属製の平らなソリにうつ伏せに乗り、頭を進行方向に向けて氷のトラックを時速80マイル(約128km)以上で滑走するというものです。選手はソリを手で押しながら全力で50mほど加速してからソリに乗り、重力に身を任せます。このソリに舵取り装置はなく、方向を変えるときには脚や肩を使い、顔を氷すれすれまで近づけながら滑ることになります。言うまでもなく、全身に大きな重力加速度がかかり、頭はボウリングの球のように重く感じられるとのこと。
そうわかれば、観念にも熱が入るのでは? 今大会は、ぜひこの競技に注目ください!
英国が金メダルを取れそうな競技は?
Photograph / Getty Images
※ESQUIRE UK編集部からのメッセージになります。
英国のリジー・ヤーノルド選手は、2014年ソチオリンピックのスケルトン競技で金メダルを獲得しました。現在29歳になった彼女は、前回優勝者として今回のオリンピックに臨みます。英国は2010年からスケルトン競技で金メダルを連続して獲得しており、今回も金メダルが取れる大きなチャンスがあることでしょう。
とはいえ、ヤーノルド選手にとって、平昌までの道のりは平坦なものではありませんでした。彼女はソチで金メダルを取った後に「燃え尽き症候群」に陥り、1年間にわたって競技を中断。その後再開しましたが、調子を取り戻すのに苦労してきました。このためワールドカップでは、同じ英国出身のチームメイトであるローラ・ディーン選手にも敗れています。
英国代表チームは、ソチオリンピックで4つのメダルを獲得しました。ですが、平昌でのメダル争いは前回オリンピックよりも厳しくなることが予想されています。
ロシアは出場禁止なのか?
Photograph / Getty Images
はい。ロシアは国として、出場禁止です。
ロシアはソチオリンピックで国ぐるみのドーピングスキャンダルを引き起こした罰則として、平昌オリンピックへの選手団派遣を禁止されました。このスキャンダルをめぐっては、23人のアスリートがメダルを剥奪され、このうち金メダルも8つありました。
しかし、その後ロシア人選手28人の永久追放処分は解除されました(現在、さらに32人が異議申し立てを行っています)。また、潔白が証明された169人のロシア選手は、NATION表示を「OAR(Olympic Athelete from Russia=ロシアからのオリンピック選手)」として、個人資格で平昌オリンピックに出場します。
ロシア国歌や国旗の使用、ウラジミール・プーチン大統領のしかめっ面を見ることはなさそうですが、ロシアの選手は参加するということになります。
注目すべき裏話とは?
Photograph / Getty Images
アメリカ生まれの3人のナイジェリア女性(セウン・アディグン選手、ヌゴジ・オンウメレ選手、アクオマ・オメオガ選手)は、アフリカのボブスレーチームとして史上初めて冬季五輪の出場資格を獲得しました。
3人は陸上競技出身で、これまではほとんど温暖な環境下でトレーニングを積んできたと言います。ドライバー(ソリの前方に乗る選手)のアディグン選手は、初めてソリに乗ったときには震え上がったそうです。彼女はAFP通信に「平静を保つことに唯一役立ったのは、昔ゲーマーだったことです。そう、ボブスレーを始めた当初は、テレビゲーム感覚で心を落ち着かせたんです」と語っています。
今回のオリンピックでは、ジャマイカの女性ボブスレーチームも初めて出場資格を得ました。ジャマイカのボブスレーチームといえば、カナダのカルガリーで開催された1988年の冬季オリンピックで話題になった男子ボブスレーチーム(映画『クール・ランニング』のモデルになったことでも有名です)が知られていますが、女子も男子の成功に続いたというわけです。
また、トンガのピタ・タウファトファ選手にも注目です。2016年にテコンドーのトンガ代表として夏季オリンピックに出場したタウファトファ選手は、今回のオリンピックのために新たなスポーツに挑戦。平昌ではクロスカントリースキー競技に出場する予定です。
By Esquire Editor on February 8, 2018
Photos by Getty Images
ESQUIRE UK 原文(English)
TRANSLATION BY Wataru Nakamura
※この翻訳は抄訳です。
編集者:山野井 俊