話題を呼んだあのウエアには、血流の循環をよくするという機能も備わっていたという。
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Serena Williams
2018年5月、出産後初の全仏オープンに体にぴったりフィットしたナイキの漆黒のキャットスーツで登場した元世界ランキング1位のセリーナ・ウィリアムズ選手。するとFFT(フランステニス連盟)は、そのウエアの着用を今後禁止することを明らかにしました。
なぜ?
セリーナ選手は当時、いかにも映画『ブラックパンサー』に登場しそうなこの特殊スーツについて、「“ワカンダ(同作に登場する架空の国)風キャットスーツ”って呼んでいるの」とジョーク交じりにコメントしています。自身のインスタグラムでも、「産後の体が回復しきっていないすべてのママたちに、このキャットスーツを捧げるわ」とのメッセージを送っています。
その投稿には、約80万の「いいね!」を獲得。ですが、FFT(フランステニス連盟)はあまりお気に召さなかったようです。
AP通信によれば、FFTは新しいドレスコードを採用し、2019年大会から奇抜なウエアの着用を禁止すると発表。FTTのベルナール・ジウディセリ会長は、米『テニス・マガジン』誌に対して「たまに度を越していると思うことがあります」と語り、セリーナ選手のウエアを例に挙げ、「そのようなウエアをこれ以上認めることはできません。選手は、試合とその場所に敬意を払わなければなりません」と厳しく批判したのでした。
しかし、奇抜なのでしょうか!?
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おしゃれなデザインで会場中の視線を釘付けにしていたセリーナ選手のキャットスーツ。実は、基本的にはファッション性ではなく、血流の循環をよくするという機能性を優先した上での使用だったと思われます。
セリーナ選手は以前から血栓症を患っており、2011年には深刻な肺塞栓症を発症、緊急入院しています。セリーナは当時「両方の肺の血管内にいくつかの血栓があると言われた」「それで亡くなる人もたくさんいる」と英『ガーディアン』紙に告白してもいます。
また長女アレクシス・オリンピアちゃんを出産後、肺塞栓症で呼吸困難に陥り、命の危険にさらされたとの話も。
US版『ヴォーグ』誌のインタビューで、「血栓症を何度も発症した。この12カ月で、どのくらいの血栓ができたかわからないくらい。だから(キャットスーツに)機能性があるのは間違いない」「これまでも試合に挑むときはパンツを着用することが多く、血流循環を改善することができた。見た目は面白いけど、機能性もちゃんとあるの。このおかげで問題なくプレイができているわ」と振り返っています。
FFTのジウディセリ会長曰く、新しいドレスコードは白いウエアの着用を義務づけているウィンブルドン選手権ほど厳しくはないものの、ユニフォームのメーカーに事前にデザインをチェックさせてもらうよう頼み、「ある程度の制限」を設けるのだとか…。
注目を集める一方で、ウエアや体型について批判されることも多いセリーナ選手です。今回は彼女の命に関わるウエアを禁止されたため、ファンからは彼女の健康面や体調を心配する声もあがっています。FFTの新しいドレスコードが今後、セリーナ選手のプレイに影響しないことを祈りたいところです。
2018年9月開催の全米オープンテニス、準決勝でのセリーナ選手をご覧ください。
From ELLE
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Courtesy of Serena Williams via Instagram
Translation / Reiko Kuwabara