2018年9月6日(現地時間)、ニューヨークのビリー・ジーン・キング・ナショナル・テニスセンター内アーサー・アッシュ・スタジアムで行われた「全米オープン女子シングルス」準決勝。ここで大坂なおみ選手が、日本初となる決勝進出を果たしました。
Getty Images
Naomi Osaka advance to US Open final
大坂なおみ選手をあまり知らない、という方はまず「大坂なおみ選手、わずか20歳で世界大会の頂点に!」で、彼女のこれまでの功績やプロフィールをチェックしてみてください。
2018年3月の時点で世界ランク44位だった大坂選手ですが、同年3月に行われたBNPパリバ・オープン(インディアンウェルズ・マスターズ)の女子シングルスでは、2018年9月7日時点でWTAランキング1位のシモナ・ハレプ選手をストレートで下し、決勝進出。そして決勝では、ダリア・カサトキナ選手を2セット連取で圧倒的な勝利で優勝をはたしています。
その後も大坂選手の活躍の勢いがとどまることはなく、WTAランキング19位と好調に登り詰め、女子シングルスでは日本人選手としてはトップの座に輝いているのです。(つづく)
そして迎えた全米オープン
2018年8月27日(現地時間)からスタートしたグランドスラムのひとつ「全米オープンテニス2018」にて、注目の大坂なおみ選手は1回戦(セットカウント:2-0対 シグムンド選手)、2回戦(2-0 対グルシュコ選手)、3回戦(2-0 対サスノビッチ選手)、4回戦(2-1 対叫び声が凄いサバレンカ選手)と順等に勝ち進みました。
そして同年9月5日(現地時間)に行われた準々決勝では、ウクライナのレシヤ・ツレンコ選手(世界ランク36位)に第1セット6対1、第2セット6対1と圧勝。続く翌日に行われた準決勝では、アメリカのマディソン・キーズ選手(世界ランク14位)に第セット6対2、第2セット6対4と楽勝とも言える見事な勝利を納めたのでした。
では、準々決勝を振り返ってみましょう。この日、ニューヨークの気温は34度と猛暑。男子選手で暑さで体調不良を訴えた選手もいたなか、「コンディションは良かった」と笑顔でコメントする大坂選手。「フロリダ出身ということもあって、暑さには強い」と、この環境下での自信も示していたのです。
続いて、その翌日である6日(現地時間)の準決勝戦後のインタビューでは…「すごく疲れた、疲れた!」と冒頭から前回とは一転したコメントが。とはいえ、ここには決勝進出をはたした歓びと恥じらい、そこに彼女の謙虚さがミックスしての発言ではないでしょうか。インタビュアーである松岡修造氏がさらに「どうして?」と聞けば、「なんか今回はすごく、なんか走った…すごく頭を使うプレーだった」と、とても素直に明解に応じていました。
準決勝では、我慢のテニスで走りに走った大坂選手。 Photograph / Getty Images
グランドスラムと呼ばれるテニス4大大会の中でも、大坂選手が育ったアメリカである全米オープンに特にこだわりをもち、「勝つなら、全米オープンで勝ちたい」と話していた大阪選手にとって、今大会は夢の舞台とも言える場所です。
これまでの全米オープンでは、予選敗退経験しながら2017年には3回戦で敗退し、準決勝まで手が届きませんでした。そして今大会でついに…準決勝への進出したかっと思ったら、あっという間に決勝進出の切符までも手にしていたのです。
試合後、マディソン・キーズ選手と固く握手する大坂選手。 Photograph / Getty Images
試合後、インタビューに応じる大坂選手。 Photograph / Getty Images
同大会での決勝進出が決まり、準決勝後は松岡修造氏ばかりではなく世界中のメディアからインタビューされる大坂選手。プレスカンファレンスでは、決勝進出の歓びを噛みしめながらも冷静に、各国の記者から多くの質問を受けていました。
その中のひとつでは、「憧れのセリーナ・ウィリアムズ選手との試合に向けてどんな気持ちですか?」という質問に対し、「少し緊張しているけれど、セレナとの決勝はすごく楽しみ」と語っています。さらに「セリーナと対戦する夢を見るとき、その夢はどう終わりますか?」と聞かれると、「答えはもう分かっていると思いますが、負ける夢は見ませんので(笑)」と大坂選手。
そして後半の日本人記者からの質問で、「セリーナに勝つ自信はありますか?」という質問には、「No!」と即答する大坂選手(場内爆笑)。ですが、そのあとに「いや、Yesです…」と笑顔でかぶせる彼女。実に微笑ましく、驕りのないところが素敵でした。
お時間があれば、下のプレスカンファレンスの動画をご覧ください。20分以上ありますが…。
では皆さん、日本時間2018年9月9日(日)午前5時からスタートする予定の「全米オープン女子シングルス」決勝、大坂なおみ選手 VS セリーナ・ウィリアムズ選手を楽しみに待ちましょう。この20歳の若きヒロイン大坂なおみ選手が、さらに歴史を塗り替えることを期待して。
大坂選手の準決勝を見逃した方は、こちらのダイジェストでご確認ください。
そして彼女の夢が続くのでした。
それは現実へと、アップグレードするかもしれません。
Photograph / Getty Images
Text & Edit / Mirei Uchihori, Kaz Ogawa