テニスの全米オープン2018で決勝に進んだ大坂なおみ選手は2018年9月8日(現地時間:日本時間9日)、準決勝の会場と同じくビリー・ジーン・キング・ナショナル・テニスセンター内アーサー・アッシュ・スタジアムにて、元女王のセリーナ・ウィリアムズ選手と対戦しました。

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  Naomi Osaka Captures First Grand Slam

 結果は6-2、6-4で見事、大坂なおみ選手がセリーナ・ウィリアム選手に対してストレート勝ち。男女シングルス日本人史上初の、グランドスラム優勝の快挙を成し遂げました!

 大坂選手にとって憧れの存在であるウィリアムズ選手。しかし、そんな対戦相手にも、決して臆することなく一貫したプレーぶり。第1セットからパフォーマンスを最大化し、あっさりと奪取します。さらに続くセットも正確なショットから、ウィリアムズ選手のミスを誘います。すると、さすがの元女王も次第に苛立ちを見せるように。

 その苛立ちがピークに達したのか、「嘘つきはあなたじゃない!」とウィリアムズ選手は審判へ暴言を放ったり、自らのラケットを破壊するなどの行動も…。会場はひとたび異様な雰囲気にもなりしたが、それでも大坂選手は冷静にプレーを続行。そうして気づけば、ストレートで元女王をねじ伏せることとなったのです。

 こうして大坂選手は、男女通じて日本人初の4大大会制覇。涙の快挙達成となったのです…。
  

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 大坂なおみ選手をあまり知らない、という方はまず「大坂なおみ選手、わずか20歳で世界大会の頂点に!」で、彼女のこれまでの功績やプロフィールをチェックしてみてください。

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 優勝した大坂選手に対し、会場ではウィリアムズ選手の勝利を期待したファンによってブーイングが起こります。

 そんななか、ウィリアムズ選手によって「おめでとう! なおみ! もうブーイングはやめましょう。彼女はグランドスラムにふさわしい良い試合をした」とコメントすると会場は静まります。そして大坂選手は、「全米オープンの決勝でセリーナと対戦するのが夢でした。それができて、とてもうれしいです。ありがとう!」と。
 

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 それでは、セレモニーで優勝トロフィー授与前に行われた、大坂選手への質問に対するコメントを一部紹介しましょう。準優勝選手としてスピーチ際にウィリアムズ選手は、「良いプレーをしてグランドスラムで初優勝した」と大坂選手の勝利を認めるよう観客呼びかけます。そして観客のブーイングは、次第に拍手へと変わっていくうちに大坂選手も次第に落ち着きを取り戻していったのでした。

 そうして、司会者は大坂選手へマイクを向けます。

司会者:夢の決勝に進みました。そこでセリーナに勝ち、夢をかなえたわけですが、いまの気持ちは?(略)
大坂選手:会場の皆さんがセリーナを応援しているのは、しっかりと感じとっていました。こんな終わり方になってすみません…ですが…、「試合を見てくださってありがとう」と言わせてください。

 
司会者:試合後、お母さんと抱き合っていましたが…
大坂選手:お母さんがこの会場に来てれたことは大きな力になったと思います。でもお父さんのほうが、生で観るのが辛いらしく、残念ながらここには来ていないのですが…。(会場爆笑)

   
司会者:男女を通して、始めて日本人がグランドスラム王者になりましたが、いかがですか?
大坂選手:セリーナと決勝で戦うことが夢だったので、それがかなって本当にうれしいです。(ウィリアムズ選手のほうへ振り向き、お辞儀をしながら…)プレーしてくれてありがとう!

 この後、大坂選手は優勝トロフィーを受け取ったのでした…。

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 セレモニー終了後、今回の全米オープンの日本での放映権を持つWOWOW専用のカウンターに場所を移し、日本人女子史上最高位の元世界ランク4位であり、WOWOWテニス アンバサダーである伊達公子さんからのインタビューも行われました。その後、伊達公子さんはオフィシャルブログでこう語っています。


「大阪なおみちゃん優勝おめでとう 書きたいことはたくさんあるけど日本人がグランドスラムに勝てる日が訪れたことも嬉しく、心からおめでとう。この2週間素晴らしいプレーと成長がすごかった。強い!」と記しています。

 
 また、同じく日本のテニス界のレジェンドでありWOWOWテニス解説者である松岡修造さんはオフィシャル公式サイト内「修造ブログ」にこう記しています。大興奮気味の様子なので、一部のご紹介になります。

「なおみエクスプレスは終着駅『全米オープン優勝駅』に辿り着いた。これからは、新しい旅が始まる。なおみスーパーエクスプレスの行き先は、なおみさんの夢でもある『グランドスラム全制覇駅』、『世界一駅』、そして『オリンピック金メダル駅』だ!なおみキャンドルの炎は、今後より強い炎として日本だけではなく、世界中に幸せな炎を灯し続けてくれる!なおみさん、おめでとう!ありがとう!そして大好きです!」と。


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Naomi Osaka Captures First Grand Slam Title at 2018 US Open
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 長年、自身のアイドルであったウィリアムズ選手のラケット破壊や主審への暴言などによるペナルティを受ける事態で大荒れの展開となりながら…、完全アウェーの状況にも負けず勝利を収めた大坂選手。まさにアメージングな勝利を得たのでした。

 このような状況下での大坂選手のウィリアムズ選手との対照的な振る舞いにも、多くの人々から称賛を浴びています。

 中でも、テニス界の大先輩も胸も打ったようです。

 
 グランドスラム優勝12回の元女王であり、この会場の名前にもなっている「キング夫人」ことビリー・ジーン・キングさんは試合の直後に、公式ツイッターにこう記しています。
    

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ツイート引用:
「2018年の全米オープン優勝おめでとう、ナオミ・オオサカ。この勝利は、あなたの輝かしい未来の始まりにしか過ぎません。テニスというスポーツがエキサイティングなのは、あなたのような選手がいるからなのよ」と祝福の言葉を放っていました。

 
 こうして大坂なおみ選手は、観ていたファンたちのほうが「夢では?」と思えるような偉業を成し遂げたのでした。アイドルであり夢であるセリーナ・ウィリアムズ選手を全米オープンというまさに夢の舞台で超えた大坂選手。それを成し遂げた喜びの涙と、そして、超えられたウィリアムズ選手にも涙が…。

 そんな涙と感動が交差する素敵な全米オープン大会女子シングル戦でした。子どものころからのヒーローと対戦し、その喜びだけで満足するようなことなく堂々と戦った大坂選手。この20歳の新女王は、この先も大躍進を続けるはず。これから何度もトロフィーを手にするチャンスを掴むだろう彼女を一緒に見守っていきましょう。エールとともに…。

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2018 US Open Press Conference: Naomi Osaka (Japanese Media)
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 最後に、大坂選手優勝後のプレスカンファレンス、日本メディアの様子をご覧ください。

 これ以前の海外メディアの質疑応答の際の発言。

「コートに足を踏み入れたら、私は別人になったような気持ちになります。そこでは、私はただのセリーナファンじゃない。ただのテニス選手。でも試合後、彼女とハグした時は...ごめんなさい」と改めて流れ出した涙をぬぐいながら、少々の沈黙ののち…大坂選手はこう答えています。

「ハグしたときは、小さな子どもに戻った気持ちになりました」と。


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大坂なおみ選手、わずか20歳で世界大会の頂点に!


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Text & Edit / Mirei Uchihori, Kaz Ogawa