好調のイングランドよりも、さらに魅力的な5チームを紹介します。

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 2018年6月18日、サッカーロシアW杯2018でイングランドはFWハリー・ケイン選手の2ゴールでチュニジアに勝利しました。

 今後のイングランド代表の勝算について、わたしたちは皆さんと同じくらい希望を抱いています。それは、勝算があるようには思えない場合であっても、決して、それを口に出したりせずに…勝利を祈っていいます。しかし万一の場合に備えて、(応援する)2つ目のチームを選んでおくことが賢明かもしれません。

 わたしたちの代表チームがお化けのようなプレッシャーに負けてしまい、予選ラウンドにも関わらず崩れてしまうという可能性はないわけではないので…これは保険のようなものです。 

 そんなオプションで応援したくなるのが、強豪チームを相手に番狂わせを演じてくれるかもしれない(あるいは少なくとも善戦できる)活きのいい非強豪チームです。そこでここに、そんなチーム(しかも、ユニフォームがとてもかっこいい)を集めてみました。

ペルー

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 ペルーがワールドカップに出場するのは、1982年以来のことになります。なので今大会の同代表チームは、出場できなかった過去大会の分も取り戻そうと意を決していることでしょう。大会前にはサウジアラビアを相手に巧みなゴールを2本決め、自分たちが切れ味の鋭いカウンター攻撃の武器にしていることを世界に示し、そしてその過程もおいて、Twitter上のサッカーファンのハートを鷲づかみにしました。 
 

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ツイート内容: 
ペルー対クロアチア戦、ペルーによる完璧なカウンターアタックで、ペルーが2ー0でリード。クロアチアはボールの支配率で圧倒したが、トランジション(ボール奪取後とボール喪失後の切り替え)での弱さが露呈。フローレス選手のゴール、ファルファン選手による素晴らしい仕事、そしてクリスティアン・クエバ選手による見事なスルーパス(いまでもクエバ選手と契約する、MLSチームがあって欲しいと本当に思う)は素晴らしかった。 

 エースストライカーのパオロ・ゲレーロ選手は、ペルーの代表通算得点記録をもつ選手です。が、そのゲレーロ選手がドーピング疑惑による出場停止処分をめぐって争っていた件で出場停止凍結の暫定措置を勝ち取り、ワールドカップの試合に出場できることになりました。彼は対サウジアラビア戦で2本のゴールを決め、7カ月間遠ざかっていたゲームへの復帰をアピールしていました。

 ゲレーロ選手の復帰が、好ましい材料であることは間違いはありません。しかし、彼に長時間もちこたえられるだけの鋭さは、いまでも残っているでしょうか? そしてまた、世界でもっとも偉大かつサボることを知らないディフェンダーたちを、素早いパス回しで突破することはできるでしょうか? おそらく、そう簡単にはいかないでしょう…。 

 
 しかし私たちの中には、優勝オッズが200分の1しかないペルー代表チームを応援する人も少なくないでしょう(その理由の多くはリバープレートのそれに似た、可愛いユニフォームのためです)。

優勝オッズ:200/1

エジプト

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 スーパースター選手ひとりでは、ワールドカップで勝てない。…というのは、リオネル・メッシ選手がもつ不満の残る実績が証明しているかと思います。ましてや、そのスター選手が肩を故障しているとなれば、勝つのがさらに困難であることに疑いの余地はありません。

 しかし、常に笑顔を絶やさないFWモハメド・サラー選手は、そんな見通しをさほど負担に感じていないようです。 

 2017-18シーズンに英プレミアリーグのシーズン得点記録を更新したサラー選手が、いまワールドカップでディフェンス主体のエジプトチームのために「彼はゴールを決めることはできるのか?」に注目が集まっています。このチームにはサラー選手のほか、アーセナル所属のMFモハメド・エルネニー選手やウェスト・ブロムウィッチ所属のDFアハメド・ヘガジー選手といった、英国でも馴染みにある選手が代表として選ばれています。 

 サラー選手は復讐に燃えるタイプの男には見えません(彼の基本的な感情は、制約のない喜びです)。チャンピオンズリーグ決勝戦でサラー選手を負傷させたスペイン代表DFのセルヒオ・ラモス選手との対決が、非常に大きな注目を集めるでしょう。サラーが故障の懸念を乗り越え、プレミアリーグで見せた奇跡のような活躍ぶりをワールドカップでも見せられれば、ワールドカップがさらに一段と盛り上がることでしょう。 

優勝オッズ:150/1

ベルギー

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 ベルギーは決して弱いチームではありません。ですが、それでも同チームには「2002年大会のイングランド代表」を思わせる何かがあります。

 個人としてはものすごく才能溢れた選手が揃ったチームでありながら、チーム全体としては、うまく歯車が噛み合ったことが一度もないのです。前評判が高く、そのせいでプレッシャーを感じているのでしょうか。簡単に言うと、彼らは破滅しているということなのです。 

 プレミアリーグの各チームで活躍するベルギー選手について、皆さんもよくご存じのことでしょう。ただ、モナコに所属するMFユーリ・ティーレマンス選手のプレーは見逃さないほうがいいかもしれません。

 この選手には何年も前から、テレビゲーム「Football Manager」から刺激を受けたかのような過剰な期待が寄せられているのです。しかしながら、そうした期待に添う結果を彼が出せるのかどうかは、まだまだわかりません。なので、今大会はぜひとも注目してください。もっとも、彼が実際にそれなりの出場時間を与えられれば…の話になりますが。 

 ベルギーはワールドカップの欧州予選でエストニアを8-0、またジブラルタルを9-0でそれぞれ破っていました。ですが、そうしたゲームは例外して除くなら、その他のゲームで自らの強さを確信させるところはまったくなかったのが現実と言えるでしょう。2017年11月に行われたテストマッチである対メキシコ戦では、3-3の引き分けです。その後、MFケヴィン・デ・ブライネ選手がロベルト・マルティネス監督を批判したことさえありました。

 デ・ブライネ選手はその際、「チームにとって戦術的によいシステムがない限り、われわれは困難に直面することになる」と語っていたのが思い出されます。いま、マルティネス監督にはやるべきことがたくさんありますが、彼と彼の無頓着なアシスタントである元フランス代表FWのティエリ・アンリ氏の頭上には、大きな疑問符が浮かんでいるのが現状と言えるでしょう。 

  
優勝オッズ:11/1

ナイジェリア

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 ナイジェリア代表は一部のベテラン勢は残っていますが、そんな彼らが効果的に才能のある若手選手を率いる注目のチームです。

 MFミケル・ジョン・オビ選手は、最近では中国のプロリーグの天津泰達でプレーしていますが、彼はいまでも頼りになるチームの支柱です。そしてFWビクター・モーゼス選手は、ディフェンスの任を解かれたのちにナイジェリアの攻撃を支える役にまわることによって、自分の才能を新たに発見することとなりました。そしてレスター・シティFCでプレイするMFウィルフレッド・ディディ選手は、プレミアリーグの試合で見せた素晴らしい活躍ぶりをこのW杯でも見せてくれるはずです。 

 ただし、このチームがどうやって点を取るのかに関しては、そう簡単にはイメージできないでしょう。 

 しかしながら、FWアレックス・イウォビ選手のミスキックまでも、これほど格好よく見せてくれるユニフォームは世界中どこを探してもないでしょう、それは事実です(笑)。そんななか彼は、シーズン中には惨めな結果しか残せなかった自分に対して悔しさを覚え、きっとこの大会でその実力を示そうと躍起になっているのは確かなはず。

 同様に、プレミアリーグのレスター・シティFCで1シーズンしかプレーできなかったFWアーメド・ムサ選手、そしてマンチェスターシティを放り出されたFWケレチ・イヘアナチョ選手は、クラブチームでも代表チームでも安定しない結果しか残せていな自分に苛立ちを感じているに違いありません。そんな彼らの奮起を期待して止まないのです。 

  
優勝オッズ:200/1

クロアチア

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 MFイヴァン・ラキティッチ選手とMFルカ・モドリッチ選手は、クロアチアを決勝トーナメントへ進出させることができるでしょうか?

 このスペインリーグで活躍するベテランプレイメーカーたちはまだまだ期待できます。「もう過去の選手でしょ!」などとディスるファンはいないでしょう。もし彼らが、「まだまだ年齢的なピークには達していないだろう!」とは言えない32歳のFWマリオ・マンジュキッチ選手に決定的なアシストができたなら、クロアチア代表は確実にグループステージで勝ち残ることができるでしょう。アルゼンチンだって撃破できるはず…。 

 とはいえ、2014年大会でクロアチア代表は、グループステージを勝ち抜くことはできませんでした。また、2010年大会に出場した代表チームは技術的に恵まれたチームではありましたが、決勝トーナメントに進むことはできなかった…。1998年大会で第3位という素晴らしい結果を収めた際の記憶がいまだに残っていますが、それを除けば、クロアチア代表は国際的な大舞台で長い間もの足りない結果しか残せていないのが事実ではあるのです。 

 
 それでも、かつてトッテナム・ホットスパーFCでプレーしていたDFヴェドラン・チョルルカ選手、リヴァプールFC所属のDFデヤン・ロヴレン選手、それにバイエル・レバークーゼン所属で、非常に高い評価を得ている若手DFのティン・イェドバイ選手らの存在は非常に大きく、これを突破できるチームは少ないでしょう。できたとしても、かなり苦労するはずです。

 そしてさらに加えるなら、あのユニフォームのデザインはすでに決勝リーグへのシード権を渡したいぐらいの価値があると思うのです。そう、彼らには、サプライズを起こすだけの材料が揃っているのです。
 そうして、最初のサプライズは2018年6月21日に起こりました。メッシ選手を有するアルゼンチン戦を迎えてとなった予選グループD第2節、クロアチアはアルゼンチンに3-0で勝利したのでした…。今後が楽しみでしょうがありません。 

優勝オッズ:33/1

By Nick Popeon June 7, 2018
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ESQUIRE UK 原文(English)
TRANSLATION BY Hayashi Sakawa 
編集者:山野井 俊