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ボーイング社、米海軍と艦載無人給油機「MQ-25A」の契約締結

まずは今後6年で、4機の無人機を製造する予定だそうです。

By
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ERIC SHINDELBOWER

 米海軍は初の艦載無人給油機、「MQ-25A ステイングレイ」の製造発注先をボーイング社に決定しました。

「MQ-25A ステイングレイ」は一定の情報収集作戦の遂行能力を持つ給油機になる予定で、他の艦載航空機の作戦範囲を拡大する目論見。これまで以上に、広範囲での飛行や攻撃を可能にする計画でいます。今回の決定までに米海軍の中でも、「海軍初の無人機をどのようなものにすべきか」という議論が長年続けられてきていました。なかには給油機よりも、長距離爆撃機を求める声も上がっていたのは事実ですが…今回、このような決定になった次第です。

 海軍航空システム司令部の発表によれば、ボーイング社との間に8億500万ドル規模の契約を交わしたとのこと。その内容は、「無人航空機『MQ-25A ステイングレイ』4機の設計から開発・製造・テスト・引き渡し・サポート・空母航空団への統合までを行い、2024年までに初度作戦能力に到達させる」というもの。

 そして米海軍は将来的に、11隻のニミッツ級およびフォード級空母すべてに配備することを計画し、それに伴って100台前後の「MQ-25A ステイングレイ」を購入すると予定だということです。


From POPULAR MACHANICS
By Kyle Mizokami
Sep 5, 2018



Translation / Wataru Nakamura
※この翻訳は抄訳です。
Edit / Lumiere Cooper, Kaz OGAWA

写真:冷戦時代のフォレスタル級空母は、約2000km先の目標を攻撃できました。

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Getty Images

 過去数十年の間に航空機の開発は急速に進むようになったことで、艦載機の作戦範囲もそれに伴って拡大していきました。 

 2015年の新アメリカ安全保障センター(CNAS)のレポートによれば、1944年のエセックス級空母は平均して1800ポンド(約816kg)の爆弾を搭載する戦闘機90機を送り出し、最大で約1200km先の目標を攻撃できたとのこと。

これはyouTubeの内容です。詳細はそちらでご確認いただけます。
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 また1956年までには、空母は4600ポンド(約2086kg)の爆弾を搭載する戦闘機46機を送り出しことが可能となり、約2000km先(「KA-3 スカイウォリアー」空中給油機を利用すれば、最大で約2900km先)の目標を攻撃できるよう進化していったのです。

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 そして冷戦の終結は、空母航空団の構成に変化をもたらしました。

 1988年に14隻であった空母の数は、1990年には12隻と減りました。このことは残った空母に対して、暗黙のうちに、これまで以上の奮闘努力を課すことになるのです。

 米海軍はその後、「将来の紛争においては、作戦範囲よりも航空機の信頼性や出撃実施率が重要になる」と予想。作戦範囲の縮小は、米海軍が各海洋における支配力を高め、空母が海岸により近い場所で作戦を遂行できるようになることで相殺される見込みだったのです。

 すると2006年までには、ニミッツ級空母は12040ポンド(約5460kg)の爆弾を搭載する62機の戦闘機を送り出せるようになったものの、作戦範囲に関しては思惑通り約796kmにまで縮小しました。海軍は作戦範囲を狭めつつ、爆弾の搭載量を増やしていったのでした。

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MQ-25 Concept
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「スーパーホーネット」戦闘機では、他の「ホーネット」や「スーパーホーネット」に空中給油できるバディ給油システムによって、作戦範囲を拡大することもできました。ですが、この仕事は「スーパーホーネット」隊に思わぬ負荷をかけることとなり、機体寿命を縮める結果となったのです。

写真:2015年9月に行われた軍事パレードで披露された、「DF-21D」対艦弾道ミサイル。

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Courtesy of @cleveland.com(via youtube)

 話は他国へ移ります。 

 米国の軍事力への対抗を目指す中国を見てみましょう。この国の軍の進歩は、これまでの空母航空団を時代遅れのものにしてしまいました。中華人民共和国が開発した核弾頭搭載可能な準中距離弾道ミサイル 「DF-21D」は米国の空母を攻撃するために設計されたもので、その射程距離は現在の空母航空団よりも480km〜800km程のアドバンテージがあります。 

 つまり米軍の空母が、地上配備の「DF-21D」移動式発射台を攻撃する目的で戦闘機を送り出すためには、この中国軍のミサイル射程範囲内で作戦を行わなければならないのです。これは、空母の5000人の乗組員の命を危機をさらすことになります。 

 艦載無人機は、空母航空団の作戦範囲を再び拡大するための1つの手段ですが、その支持者たちはどのような形で無人機を導入するかについて議論を繰り返してきました。あるグループは、1980年代の「A-6E イントルーダー」のように長距離爆撃が可能な無人機の必要性を主張。一方、別のグループは、「無人爆撃機は無人爆撃機に過ぎない」として、十分な数の無人給油機が戦闘機と電子攻撃機の5つの飛行隊を含む空母航空団全体の作戦範囲を拡大できると主張してきました。

 また給油機は、よりリーズナブルかつ迅速に導入でき、将来的により複雑な無人爆撃機への道を開くことにもなるとも考えられました。こうした問答が繰り返され、結果として給油機を推すグループが勝利し、「MQ-25A ステイングレイ」のプロジェクトが走り出したのです。

写真:ボーイングのプロトタイプ版「MQ-25A」。

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Getty Images

 この8億500万ドルにのぼる契約の中には、4機の無人機の設計や製造だけでなく、空母での運用やメンテナンスも含まれています。

 飛行甲板上でこれらの無人機をどのように操作するかは、大きな課題となります。無人機の場合、管制官の手信号などの合図を受け取るパイロットはいませんので…。またこの契約では、無線アンテナやターミナルやネットワーク機器など、「MQ-25A ステイングレイ」の操作に必要な機器についても指定されています。

 中国軍の「DF21-D」がすでに運用段階にあることを考えれば、6年で4機という「MQ-25A ステイングレイ」プログラムのペースは比較的スローと言えます。

 ですが、重要なのは初の艦載無人機をきちんと完成させることではないでしょうか。これはプログラムの方向性に自信をもたらし、将来のさらなる艦載無人機の可能性を開くことになるのです。長距離無人爆撃機についても、計画はキャンセルされたわけではありません、単に先延ばしにしているだけなのです。空母向けの艦載無人機の革新は、これからも続くことでしょう。

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