アップルのジェフ・ウィリアムズCOOが、「アップルがユーザーの心臓をとても気にかける理由」について語ってくれました。

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 What The New Apple Watch Can Do For Your Heart

 Apple Watchのオリジナルモデルには通話機能がついておらず、またジム通いをする大勢の人々にとってApple Watchを欠かせないものとしたフィットネス・トラッキング機能もほとんどありませんでした。しかし、アップルのジェフ・ウィリアムズCOOが率いる開発チームは同製品の改良を続け、同Series 4では同製品をオールラウンドな健康関連の強力な装置に変身させました。2018年9月21日(米国時間)に発売された同Series 4には、心臓関連の革新的な機能が複数搭載されています。 

 
 そのひとつが内蔵の心電図(ECGまたはEKG)モニター機能で、ECG搭載のコンシューマー向け製品はこれが初めてとアップルは述べています。そのほか心拍数モニター機能(不整脈の可能性を検知するとユーザーに通知する)も搭載されています。不整脈は、卒中やその他の死につながる可能性のある症状のいちばん多い原因です。いずれの機能もFDA(米連邦食品医薬品局)から認可を受けており、今年中にもリリースされるとみられています。 

Apple Watchに心電図モニター機能を追加する 

 ウィリアムズ氏はこれら健康関連の画期的な機能について、「Apple Watch開発チームにとってこの機能は、以前から視野に入っていたものではなかった」と認めています。

 同氏はアップル本社で行った「メンズヘルス」への単独発表の中で、上記のようの切り出し、そして、このように補足してくれました。「開発チームがApple Watchの愛用者からのフィードバックに注力し始めたときに、すべてが変わった」と語ってくれました。 
  

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写真:アップルの新製品発表イベントで、Apple Watch Series 4についてプレゼンするウィリアムズCOO。Photograph / Getty Images 

  
「複数のApple Watchのユーザーから…『(同製品で)心拍数をチェックしていたら、自分の心臓に問題があることに気づき、それで医者に診てもらった』と書かれたレターをわれわれは受け取った」と、ウィリアムズ氏は話しました。

 このフィードバックがその後、「Apple Watch Series 3」に搭載された心拍数の異常を知らせる通知機能の開発につながったのです。同Series 3についてウィリアムズさんは、「Apple Watchが単なる心拍数測定装置から、本当の意味でユーザーのケアするツールとなった」と語りました。 

「アップルが、よりターゲットを絞り込んだ健康関連の機能をApple Watchに追加すると決めたときには、それに対して懐疑的な見方をする人たちもいた」と、ウィリアムズ氏は認めています。しかし、アップルはそれらのユーザーからのレターから大きな可能性を見い出し、その実現化することには見過ごせないほどの価値があることに気づいたのです。これは非常に素晴らしいことではないでしょうか。

EDGや健康関連情報というとある種の(ネガティブな)イメージが想起されるが、それはユーザーにとってフレンドリーなものであるべき

Apple Watch Series 4の紹介動画 

これはyouTubeの内容です。詳細はそちらでご確認いただけます。
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 ここで重要なのは、アップルがECG(Electrocardiogram=心電図)を「医者要らずになる(医者にかかる必要がなくなる)」ツールとしては発表していないことです。Apple Watchの心臓関連機能はユーザーがその担当医に対して、より多くの情報が提供できるように設計されているのです。

「この機能が規制対象となる医者の領域に踏み込むことなど心配する必要はありません。われわれは患者と医師との関係を、より良くしたいのです。多くの情報を提供する手助けをすることによって、ユーザーがより健康的になるよう考えています」と、ウィリアムズ氏は語っていました。 

 世界でもっともポピュラーなコンシューマー製品のひとつであるApple Watchに、心臓に関する健康関連機能を追加することには、別の潜在的なメリットもあります。それは、医師が患者の命を救うために使う実際の手続きにまつわるネガティブなイメージを払拭すること。Apple Watch に搭載されたECGは、通常のECGテストの現実(不毛な環境におかれた患者の体と計測装置をつなぐたくさんの線が伸びている)とはまったくかけ離れたものとなっています。

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写真:心電図機能のテスト画面。Photograph / Getty Images 

 
今後の展開について 

 アップルの心臓モニター機能がヒットするかどうかは、同機能がリリースされるまでわかりません。同機能のリリース時期については、すべてが予定通り進んだ場合でも今年中とされています。 

 それでもウィリアムズ氏と彼のチームは、さらに多くの健康・フィットネス関連機能をApple Watchに追加すべく同製品の開発に取り組んでいます。

 たとえば睡眠トラッキング機能に関して、Apple WatchはFitbitのような競合製品に対して大きく遅れをとっています。睡眠は、全般的な健康に関係する大きな要因として、いま、さらなる注目を集めている状況です。睡眠関連の機能追加に関する計画について尋ねられたウィリアムズ氏は言葉を濁し、「アップルには現時点で発表することは何もない」と答えただけでした。 

 ジムが大好きな人にとっては、ウェイトリフティング機能もまた夢のようなものとなるでしょう。

 しかし、そこには別の障害があります。その障害とは、製品にシンプルさと完璧さを要求する有名なアップルの姿勢のことです。ウィリアムズ氏は、「この要求水準をクリアして、初めて新機能を最終製品に追加することができる」と語りました。 

「するべきことはまだ残っているが、しかし、われわれは何かがとてもうまくできる状態になったときにしか、それをしたくない。われわれは、自分たちが投入するすべてのものが可能な限り精確であるよう確実を期すことに多くの時間を費やしている」とジェフ・ウィリアムズ氏。 

 アップルが現在開発している心臓モニター機能、さらに今後のApple Watchの進化に対しても、注目を怠ってはいけなそうですね。

By Brett Williams on September 25, 2018
Photos by Getty Images
ESQUIRE UK 原文(English)
TRANSLATION BY Hayashi Sakawa
※この翻訳は抄訳です。 
編集者:山野井 俊