2017年末から、「2018年4月までに地球へ墜落する」と予想されていた中国の宇宙ステーション「天宮1号」ですが、とうとう大気圏へ突入していたようです…。

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An Out-of-Control Chinese Space Station Is Crashing into Earth This Weekend

 中国政府は1年以上前、同国初の宇宙実験室「天宮1号」が制御不能に陥ったとし、数年以内に大気圏に突入するとの見通しを発表しました。

 2017年5月、同政府は具体的な墜落時期について、2017年10月から2018年4月の間になるとの予測を発表。そして最新の予測によれば、天宮1号が燃え尽きながら地球に落下するのは、2018年3月30日の早朝から4月2日までの4日の間になる見込みでした。 

 その報道は2018年のイースター、そしてエイプリルフールでもある4月1日になる可能性がもっとも高いとも噂されていました。宇宙ステーションの墜落予想について、気になっていながらも忘れていた方も多いのではないでしょうか。 

「天宮1号」は2011年に打ち上げられ、いまとなっては重さ9.4トン全長10.4mの金属の塊です。この宇宙ステーションは、軌道が急速に減衰したため制御不能に。その落下経路については、様々な予測がこれまで出ていました。 

 ハーバード大学の天体物理学者であるジョナサン・マクドウェル氏は、2017年10月に「大気圏へ再突入する2、3日前の時点でも、天宮1号がいつ落下してくるかは6〜7時間の範囲でしかわからないでしょう」と、「ザ・ガーディアン」紙に語っています。さらに、「いつ落ちてくるかがわからないということは、どこに落ちるかもわからないということです」とも…。

 幸いにも、非営利企業であるエアロスペース・コーポレーションが天宮1号のその後を追跡していました

 同社は「天宮1号」の正確な再突入ポイントを確定するのが不可能という点には同意しつつも、「北緯43度~南緯43度の間の地点に落下することは、ほぼ間違いない」としていました。(次ページへつづく)

ほとんどの宇宙ステーションは、 大気圏再突入時に燃え尽きてしまう

 また、マクドウェル氏によれば、ほとんどの宇宙ステーションは大気圏再突入時に燃え尽きてしまうとも言っていましたが、燃え残った部品(最大で約100kg)が地表に落ちてくる可能性もあると言っています。

 そして「天宮1号」が落下する大陸については、ちょっとした大気の変化で変わる可能性もあると予想していました(制御された宇宙船の場合、下降の際には「太洋到達不能極(海上で最も陸から遠い点)」という特定の場所に誘導されます)。 

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写真:宇宙では、未知なることが常に起こると言われています。Photograph / Getty Images 

 
 ちなみに、落ちてくる「天宮1号」やその部品が人々の脅威になる可能性は限りなく低いとされており、中国は国連に対し、天宮1号の状況について注意深く監視するとしています。

 そもそも宇宙から人工物が落下してくるのは、今回が初めてではありません。しかも、これまで人に危害が及んだことは一度もありません。そもそも、地球の表面の71%は水ですから…。 

 とはいっても、最後は運任せなのかもしれません。「天国の宮殿」を意味する天宮という名前も、何となく不安にさせられてしまうのでした…。(次ページへつづく) 

「天宮1号」はどんな結末を 迎えたのでしょうか?

 そんななか2018年4月2日、中国の有人宇宙飛行を指揮する載人航天工程から、「『天宮1号』は世界標準時の2日午前0時15分(日本時間午前9時15分)ごろ、大気圏に再突入した」との報告を英「BBC」他が報告しています。
 

これはxの内容です。詳細はそちらでご確認いただけます。

 
 予想どおり、ほとんどが大気圏突入の際に燃え上がったようですが、やはり一部の部品は(実は恐ろしい話ですが…)地球に落下したようです。当局者らは、「南太平洋上」という多少ぼんやりとした表現をしていましたが、ハーバード・スミソニアン天体物理学センターのジョナサン・マクダウェル氏はツイッターで、「タヒチの北西に落ちたとみられる」と述べています。

「どこかに墜落するのでは?」と不安に駆られることは必要なことなのか? それとも無駄なことなのか? …あなたの頭上に落ちてくれる確率は、統計学的には0に近いくらい低いことかもしれません。ですが、それはまったくOではなないことも確かなのです。

 いわゆる「神のみぞ知る」こと。それはアメリカンフットボールにおける“ヘルメリーパス“のようなものでしょうか。できればこちらのパスは、キャッチしたくありませんが…。

By Sarah Rense on March 28, 2018
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ESQUIRE US 原文(English)
TRANSLATION BY Wataru Nakamura
※この翻訳は抄訳です。
編集者:山野井 俊