軍需産業のなかでも、防衛システムの開発と製造に関する請負業者であるロッキード・マーティン社は、このたび戦闘機に配備可能なレーザーを設計するため2360万ドルの資金援助を受ける契約をこのたび獲得しました。

 今回の契約では、ペンタゴンのThe US Air Force Research Laboratory (AFRL) が開発中の「U.S. Air Force's Self-protect High Energy Laser Demonstrator(米空軍・自己防衛高エネルギー・レーザー・デモンストレーター)」いわゆる「SHiELD(シールド)」プログラムの一部で、空から敵ミサイルを撃つレーザーを作成することを目的としています。

 この「シールド」は3つのサブシステムで構成されています。

【1】SHiELD Turret Research in Aero Effects (STRAFE)はビーム制御システムで、これはレーザーをターゲットに直接向けることができるシステムです。
 
【2】Laser Pod Research & Development (LPRD)は、戦術ジェット戦闘機に搭載されたポッドで、レーザに動力を供給し冷却するもの。

【3】Laser Advancements for Next-generation Compact Environments (LANCE)は高エネルギーレーザそのものであり、敵対標的の無力化訓練ができます。

 これには、ノースロップ・グラマン社(Northrop Grumman)、ボーイング社(Boeing)、ロッキード社(Lockheed)が、これらのサブシステムをそれぞれ担当しています。契約社全体では2021年までに、テストの準備ができるだろうとのこと。

Airplane, Aircraft, Vehicle, Supersonic aircraft, Sky, Flight, Wing, Air force, Experimental aircraft, Military aircraft,
Courtesy of U.S. Air Force

 以前の高エネルギーレーザーでは、有用なレーザービームを生成するためには、大量の有毒化学物質を必要とする厄介な武器でした。それだけ扱いの難しいものだったのです。ですが、光ファイバー内で特定波長の光を増幅させることによって、小型・高効率・高信頼性・高ビーム品質そして高出力のすべてを実現できる理想的なレーザー「ファイバーレーザー」を開発に成功し訓練中です。これは驚くほどに小さく、より頑丈で軍事利用に適しています。現在、この「ファイバーレーザー」は、小型のストライカー(Stryker)戦闘車両に搭載されています。


◆今後はステルス戦闘機への対応策も開発中

「SHiELD(シールド)」はおそらく、敵の戦闘機から放たれる空対空ミサイルと防空システムによって発射される大きな地対空ミサイル、その両方の対空ミサイルから搭載機を守るように設計されています。この防御的レーザーを搭載するに最も有力な候補として挙がっているのは、F-15C、F-15Eストライクイーグル、F-16ファイティングファルコンなど。いまの戦場では生き残ることができないような古い戦闘機になります。このシステムは戦闘機用に設計されていますが、C-130 Hercules輸送機、KC-135 Stratotanker、さらには古の爆撃機B-52などを保護する等にも使用することができるでしょう。

 レーザーポッド(レーザー発射砲)はもはや空想の産物などではなく、実際に飛んでくる対空ミサイルを破壊することが実現できる初めての対空防衛システムなのです。ミサイルの発明以来、空対空そして地対空ミサイルは戦場で最大の勢力がありました。高速なものを迎撃することはとても困難なことで、パイロットは時間をほとんどかけずに飛行を開始し、フレア(赤外線誘導ミサイル)やチャフ(レーダー妨害ミサイル)などの受動的防御策を実施していました。オートメーション(自動化)と光速で対空物をターゲットとするこの能力は、航空ミサイルに対する積極的な防衛を実現することでしょう。

これはyouTubeの内容です。詳細はそちらでご確認いただけます。
 thumnail
Watch onWatch on YouTube

 興味深いことに、アンチミサイルレーザーはB-2スピリット、F-22ラプター、F-35ジョイントストライクファイターのような、新しいステルス機には搭載されない可能性があります。

 この「SHiELD(シールズ)」レーザーポッドは現在、レーダーで見つけやすい飛行機として認識される物体を破壊することは可能になっています。現状のレーダー探知にかからない航空機物体=ステルスタイプの戦闘機には、いまだその対応は追いついていないようです。しかし近い将来、「B-21」、通称「レイダー」爆撃機侵入対空戦闘機などのステルス機(レーダー探知にかからない航空機)にも搭載できる格納式レーザーポッドを開発中とのことです。


From POPULAR MECHANICS(原文:English)
Translation / Mirei Uchihori
※この翻訳は抄訳です。